傾聴のトレーニングをある程度積むと、オウム返しや共感のことばなど、一定の傾聴技法は使えている感じがするけれども、今一歩不自然な会話になる、何かが足りない感じがする雰囲気になることがあります。
この記事では、その理由とそこを突破する方法を紹介します。
傾聴が不自然な感じがする理由
理由は非常に簡単です。話を聞きながら、意識が自分に向いているためです。
例えば、相手が話している最中に、次はどんな質問をしようかとか、この共感のことばで合っているだろうか?といった点が気になったり、オウム返しをする時に、オウム返しを言うことに強く意識が向いて、その言葉を相手に届けられないと不自然な会話になります。
これは傾聴トレーニングをすると、ほぼ誰しも通る道です。慣れるまではどうしても傾聴を行う自分自身に意識が強く向きます。少しキツイ言い方をすると、会話しながら自分の事ばかり考えているような状況ですので、不自然になります。
突破する方法
意識を相手に向け続ける
ここを突破する方法は、非常にシンプルです。まずは、意識せずとも楽にオウム返し出来るように、何度もトレーニングを繰り返すことです。
そしてトレーニング中に意識が自分に向いたら、その事実にまずはしっかりと気付くことが大事です。意識が自分に向いていると気付いたら、再び相手に意識を向けるようにしていきます。
相手に意識を向けるとは具体的にどういう事かというと、相手の視線や表情、姿勢、声のトーン、言葉の内容に強く意識を向けて、相手はどういう状況なのか、どんなことがつらいのかという点に意識をフォーカスさせていくことです。これは実践して慣れるしかありません。
相手と良い関係を築こうと思って関わる
傾聴は、カウンセリングでは「かかわり行動」とも言われています。話を聴くことを含めたかかわりで信頼関係を築くためのスキルです。
様々な傾聴技法は、「相手のことをよく知りたい」「相手と良い関係を築きたい」という聴き手の核の思いが、形になって現れたものです。トレーンングに夢中になっていると、時にこの核の思いを忘れて、枝葉の傾聴技法が上手くできているかどうかに意識が強く向くことがあります。
そんな時は、「良い関係を築こう」と思って関わっていくことで、思いとスキルが融合し、自然な傾聴が生まれます。
どうしても意識を相手に向けられない時は
そんな時は、傾聴している時に自分自身がどんな気持ちなのか?を振り返ってみて下さい。そしてその気持ちがなぜ湧いてくるのかを掘り下げてみていくと、突破するきっかけに出来ることがあります。
まとめ
傾聴が不自然に感じられるということは、今一歩傾聴を使い切れていないということでもあります。そしてそれは、傾聴にしっかりと取り組んだからこそ見えてくることです。
ここを突破するのに時間がかかる方もいらっしゃいますが、突破できると聴く人にとっても、話した人にとっても、そしてその傾聴を側で見ている人にとっても感動モノの傾聴になります。