受容的な態度とは、相手の存在そのものを受け止めている事が形になっている態度です。
言葉を変えると、とにかく話しやすい態度です。
話し手は、聞き手の態度や関わり方を見て、どこまで話すかを無意識のうちに決めます。なぜかというと深い悩みを話してそれを受け止めてもらえないと、逆に傷ついてしまうためです。
受容の意味は、相手の存在そのものを受け止める事です。
良い悪い、正しい間違っているといった評価や条件無く相手を受け止め、それが目に見える態度として現れているのが受容的な態度です。
受容的な態度で関わられると、単に話しやすいだけでなく素の部分を出せたり、自分でも思っていなかった事が話せるケースもあります。
この記事では、カウンセラーが使う話しやすい雰囲気の作り方と、受容的な態度について具体的に解説します。
話しやすい雰囲気、空気感の作り方
緊張感をほぐし、リラックスしてもらう
会話で話し手が緊張したままだと思ったこともなかなか言えませんし、自分自身の素の思いも出せません。
素の思いが出せないと「わかってもらえた」という安心感も持ってもらえず、それ以上の深い内容が話せる信頼関係も築けません。
また、会話で緊張すると純粋に疲れますし、安心できる場ではない感じがします。特に初対面だと緊張しない人の方が珍しいです。話しやすい空気作りのために、まずはこの緊張にアプローチします。
聴き手自身が緊張していると、どうしてもそれが話し手に伝染します。まずは聴き手が緊張と上手く付き合い、出来るだけリラックスして関わる事が大事です。
詳細:絶対に緊張しない方法7つ
相手に緊張させない、相手の緊張をほぐす7つの方法の記事にも詳細を書いていますが、ここでは会話する場所について出来る事を解説します。
リラックスして話してもらうために必要な場所作り
まず簡単に出来るポイントはその場の音に気を配ることです。当然、会話をする場所は雑音が少なければ少ないほど良いです。
車が行き交う音や、電話の呼び出し音など出来るだけ聞こえない環境だと会話に集中しやすくなります。自分の会話が外に漏れない安心感にも繋がります。
リラックスしてお話してもらうために、さらに話し手の方の視界に気を配ると効果的です。注意するのは聴き手の視界ではなく、話し手の方の視界、話し手の方から何が見えているか?です。
これは逆に考えて、話し手の方の視界に何が入っていると話をしにくいか?を考えていくと、色んな場面に応用できます。
例えば、話し手の方の視界に、外で人が行き来するような窓が入らないようにしたり、ドアが視界に入らない場所作りをすると、落ち着いて話しやすい場所になります。
特にドアは人が出入りする場所で、状況によっては会話中に実際に人が入ってくる事もあります。こういった場所作りは考えるだけででき、スキルが必要ないのでお勧めです。
受容的な態度|表情や姿勢で話しやすさを作る
傾聴やカウンセリングでは、受容的な態度と受け止めて聞く姿勢をセットで行います。
態度だけ話しやすくても、実際に話してみてすぐにアドバイスされたり否定されると、シンプルに話して嫌な気持ちになります。
受け止め方の具体例は受容とは|意味をわかりやすく解説の記事で紹介してますので、ここでは具体的な態度について解説します。受容的な態度を細分化すると以下になります。
- 相手が安心できる笑顔
- 姿勢(身体を相手に向ける)
- 視線を合わせる
- 相手が安心出来る声のトーンで関わる
- 安心出来る目の表情で関わる
具体的に解説します。
相手が安心できる笑顔で関わる
当然ですが初対面で会った人がムスッとした表情をしていると、話す気が失せます。笑顔だとウェルカムされている感じがします。
もちろんマイナスの感情の部分を話された時は、それに添う表情になります。
動画の方がより理解しやすいかと思います。↓で解説してますのでよろしければどうぞ。
聞き手の姿勢について
姿勢は腕組みしたりのけぞったりせず、若干前のめりになると、自分に関わろうとしてくれているんだな、と感じてもらえます。
そんなの当たり前でしょ?と思うかもしれませんが、実際そうでないカウンセラーも存在します。
良くない姿勢・態度
もしあなたが何か聴いて欲しいことがあるとき、初対面で出会ったカウンセラーが、←のような感じの態度の人だと話す気が失せると思います。
この態度だと、聴く気があるように見えないですよね。ふんぞり返って座っている人には、話をしようという気が湧きません。
心は目に見えませんが、態度は目に見える形で現れます。
「話したい」と思ってもらえる態度
相手の方のことを知りたい、良い関係を築きたいと思うと、傾聴する側の態度は自然と←のような感じになって現れます。
聴き手の身体の姿勢についても、話し手が「わかろうとしてくれているんだな」と感じられる姿勢を意識してとっていくと効果的です。
身体の姿勢のように「実際に現れる形」も大切ですが、その前に「態度として現すための思い」も大切です。そのため、まずは
- 話し手の方を知りたい
- 話し手の方と良い関係を作りたい
と思いながら傾聴するのがポイントです。
受容的な態度は、一言で言うと話し手が聴き手の態度から
自分の話を聴こうとしてくれている。
自分のことをわかろうとしてくれている。
と感じられる態度になります。そのため、視線はしっかりと合わせます。
視線を合わせる理由
多少肩やアゴ辺りに視線をずらす事があってももちろん良いのですが、傾聴ではしっかりと相手の目を見る関わりは必須です。
というのも、しっかりと見られている事で関わってもらえていると感じられ、「これだけしっかりと関わってくれるのであれば、この事を打ち明けても受け止めてくれるかな」と感じてもらえる事に繋がるためです。
しっかり見る事で、相手の状態もより的確に理解できます。
※視線を合わせるのが得意でない方は、目を見て話せない事を簡単に克服する方法7つの記事をご参照下さい。
聞き手の声のトーンと目の表情について
相手が安心できる声のトーンと目の表情で関わります。
ここについても上記の動画だと、より実感としてわかりやすいと思います。
受容と共感の違いについて
共感とは、相手の気持ちを汲み取って伝えることです。
詳細:共感とは |カウンセラーが使う気持ちを汲む聴き方
受容は、相手の存在そのものを受け止める事です。
話を聞いて相手を否定したり、すぐにアドバイスせずに受け止める姿勢は受容で、相手が言ったことに対してその気持ちを汲む言葉を伝える(例:辛いですよね。苦しいですよね等)のが共感です。
傾聴やカウンセリングでは、受容と共感はセットで行います。
まとめ
受容的な態度は、カウンセリングでは常に行い続けます。
カウンセリング中は他の傾聴技法のオウム返しや共感は信頼関係が築けるとカットする場合もありますが、受容的な態度は取り続けます。
普段無意識でやっている関わり方も多く含まれるので、日常生活でトレーニングしやすいです。特に相手が安心できる声のトーンは、起きている時は常に心がけると無意識のうちに出るようになって便利です。
受容的な態度は、信頼関係を築く上で大切な関わり方です。上記すべてを意識的に出来るようにしておくと、相手へのかかわり方、話の聴き方に自信が持てます。
上記の関わり方に加え、さらにうなずきとあいづちを使って「聞いてもらえている」を作っていきます。
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