来談者中心療法(傾聴技法)のデメリットを先にお伝えすると、心の問題解決のためには、来談者中心療法だけでは限界がある点です。
というのも私自身プロの心理カウンセラーとして20年以上来談者中心療法を使用していますが、これだけでカウンセリングが完結することもあれば、そうでないことも多々あります。
割合としては、来談者中心療法と合わせて他の心理学・心理療法や情報提供・アドバイスを交えることの方が多いです。
つまり来談者中心療法だけで心の問題解決になるケースは、心理カウンセリングでは少ないです。
ただしほとんどのカウンセリングで基本的に来談者中心療法を使います。理由は次のメリットがあるためです。
来談者中心療法のメリット7つ
- 話し手の承認欲求が満たされる
- 話し手の自己肯定感が高まる
- 相手を的確に理解できる
- 相手の問題点や求めている事、ニーズが明確になる
- あなただからこそ話せるという信頼関係を築ける
- 比較的短期間で習得できる
- 汎用性が高く、使えるシチュエーションが多い
1~5までの理由詳細は、傾聴の効果とメリット5つをご参照下さい。
メリット6と7は、使用する側にとってのメリットです。補足解説します。
比較的短期間で習得できる
来談者中心療法(傾聴技法)は、平均すると3~6ヶ月程度で習得することができます。(週に1回1時間のトレーニングをプロとマンツーマンで行い、そこで出た課題について日常でも取り組まれた場合)
心理カウンセリングの場合はどうしても習得までに2年近くかかりますが、来談者中心療法は聴くスキルであり、身に付けるポイントもそれほど多くないため、習得期間は短めです。
関連:傾聴とは|意味と使い方
汎用性が高く、使えるシチュエーションが多い
来談者中心療法の多くのスキルは、心理カウンセリングだけでなくビジネスや日常生活、子育てにも応用できます。
来談者中心療法は、いわゆる聴くスキル・コミュニケーションスキルですので、使用用途は非常に広いです。
来談者中心療法を細分化した説明は、傾聴技法一覧ページをご参照下さい。
来談者中心療法のデメリット
来談者中心療法ではアドバイスや情報提供は行わないため、心の問題解決のために具体的にどうすれば良いかが強く求められるケースでは、他の心理学・心理療法と合わせて使う必要がある点です。
これだけで心理カウンセリングを行うと、
というクレームが出ても無理はありません。
もちろん来談者中心療法だけで、相手が自分の方向性を自分で見つけるきっかけにできることもありますが、カウンセリングでは主に次の目的で使います。
来談者中心療法の役割
来談者中心療法を使う目的は、大きく以下の2点です。
- 来談者中心療法で絶対的な信頼関係(ラポール)を築くことで、より深い悩みを打ち明けてもらったり、こちらの情報提供を受け取ってもらう
- 来談者中心療法で状況を客観的に整理し、何が問題の本質なのか、どんなことが辛いのかを明確にする
相談者が話すのも難しいくらい疲労していない限り、話を聞かないカウンセリングは基本的にありません。
つまりほとんどのカウンセリングで来談者中心療法を使いますが、これと合わせて他の心理学・心理療法・情報提供やアドバイスを交えることが圧倒的に多いです。
来談者中心療法は心理カウンセリングの基盤になるため、ほとんどの心理カウンセラーが使用しています。