ラポールとは、カウンセラーとクライアント(相談者)との絶対的な信頼関係のことをいいます。
ただの信頼関係ではなく、あなたであればこそ話せるという深い信頼関係です。
ラポールが築けていれば、クライアントは打ち明けにくい深い悩みや、抑え込んでいた思いを出せる(話せる)ようになります。
カウンセラーからの助言や提案も聞き入れてもらいやすくなり、クライアントにとって納得感の強いカウンセリングのゴールを作ることが出来ます。
ちなみに「ラポール」は「意思の疎通性」を意味するフランス語です。
動画で知りたい方はこちら
ラポールを築く方法
ラポールはカウンセリングでは不可欠です。ほとんどのカウンセラーは来談者中心療法(傾聴技法)を使いながら、クライアントとラポールを築いていきます。
受容的な受け止める関わりで、しっかりと相手を見て、うなずきやあいづちをしっかりと入れ、オウム返しや共感の言葉、効果的な質問などの傾聴のスキルを使いながら関わります。↓のような関わり方になります。
この関わり方で、「この人であれば、つらい体験を言っても受け止めてくれる。自分の気持ちをしっかりとわかってもらえる、出せる。」と感じてもらうことができ、ラポールを築けます。
ミラーリングについて
ネット上には相談者と同じ行為をする(相手が足を組めば自分も足を組んだり、同様に飲物を飲んだりする)ことでラポールを築くという記事もありますが、正直信じがたいです。
私自身カウンセラーとしてそのような行為をすることはありませんし、自分が相談者だったとしても同じ行為をされたら不信感を抱くだけです。
体験を通して1つハッキリ言えるのは、ラポールを築くには相手と良い関係を築きたい・知りたいという思いを持ちながら傾聴技法を使う必要があります。関わる側にこの思いが無い場合、すべてのスキルは上滑りして効果がありません。
ラポールを築く目的2つ
1 気軽には他人に言えない思いを出してもらうため
悩みや辛い体験は、比較的話しやすいレベルのものと、思い起こすのにかなり抵抗感のあるもの(深い悩みや苦しみ)があります。
ラポールがかかっていれば、話しやすいレベルの苦しみだけでなく、さらに深い悩みや苦しみを打ち明けてもらえるようになります。
特に乱暴された体験は人にはなかなか言いづらいです。言えないと、その時の悲しみや苦しみを心のどこかに抱えたままです。「自分の苦しさは、誰にもわかってもらえていない」という思いも湧いてきます。
過去のつらい体験を話し、それをカウンセラーがしっかりと受け止めることで、苦しさ、悲しさ等のマイナスの感情が浄化されていきます。
また、悩みを抱える方には自己表現が得意でない方が多いです。自分はこうしたい、こう思う、これは止めて欲しいなど、自分の思いを無意識に抑え、言いたいことを抑え込むクセがあると、ストレスはどんどん溜まります。
ラポールが築けていれば、クライアントはより自分のことを持ち出して話せますので、クライアントにとって納得感の大きいゴールを作れます。
もちろん深い苦しみであればあるほど、話せる時期とそうでない時期があります。
話せる準備が整っていない時に、カウンセラーが問題解決を急いできつい質問を重ねてしまうと、関係性そのものが壊れてカウンセリングに来れなくなります。この辺りはカウンセラーの腕が問われます。
2 カウンセラーからの提案や助言を受け入れてもらうため
カウンセリングでは、終盤になるとカウンセラーから情報提供や、普段の行動目標など、何らかの提案やアドバイスをすることがあります。
例え適切なアドバイスでも、誰のアドバイスでも人は受け入れられる訳ではありません。自分自身の状況や気持ちをしっかりとわかってくれている人からのアドバイスであれば、クライアントも納得感を持ってそれを実行できます。
ラポールが築けていないと、問題解決の方法は適切だったとしても、それをクライアントに聞き入れてもらえず、結果として良いカウンセリングにはなりません。
ラポールが崩れてしまった場合
プロとして活動されている方であれば、一旦築いたラポールが崩れてしまった経験をされた方も多いと思います。これはハッキリ言ってカウンセリングになりません。話をしてもらえないどころか、ほとんどの場合カウンセリングに来なく(来れなく)なります。
原因としては、
- まだ問題に向き合える時期ではないのに向きあわせようと関わった
- クライアントが動けない状態・理由をしっかりと受け止め切れていなかった
- クライアントへの総合的な理解が浅かった
場合にそうなります。
問題解決を急いで、カウンセラーの焦りがあったり、相手をよく見れなかった事も原因1つとしてありますが、こればかりはその経験を次回の別の人のカウンセリングに活かしていくしかありません。
まとめ
ラポールとは、カウンセラーとクライアントとの絶対的な信頼関係のことです。
カウンセリングではクライントは、「どこまで話せる相手なのか?」をカウンセラーの姿勢や関わり方を見ながら見定めています。自分のつらい体験を話して、それを受け止めてもらえなかったり、「あなたが悪かったから」などと評価されると、話すことで余計に傷ついてしまうからです。
ラポールを築く事でより深い悩みを打ち明けてもらえ、こちらの情報提供・アドバイスを受け入れてもらえるようになります。カウンセリングにおいて必要不可欠な要素です。