
しかし思い返してみると、自主トレのロールプレイは数えることが出来るくらいで、それ以上に日常で傾聴の練習をしていました。
日常生活の中で傾聴を実践すると良いところは、真剣味が増すところです。自分は練習と思ってやっていても、相手は練習と受け止めてくれないのです。
練習生同士だと、ついつい甘えてしまって質問などにつまると途中で立場を下りる(ロールプレイをカウンセラー側から止める)こともあるのではないでしょうか。そんなトレーニングだとどうしても真剣味が弱く、なかなか力は身に付きません。
この記事では、日常生活の中で簡単に取り組める傾聴の練習方法を紹介します。
受容的な態度
受容的な態度は、いつでもどこでも実践できます。特に取り組みやすいのは、次の2点です。
相手の方が安心出来る笑顔
一番取り組みやすいのはなんといっても笑顔です。傾聴時に相手の方がつらい事を話された時は、もちろんその気持ちを汲みとった表情になりますが、ノーマルな出来事を話して頂く時は聴き手が笑顔だと圧倒的に話しやすくなります。笑顔だけで、もっと話していいんだな、受け入れられているんだなということが伝わります。
傾聴時に使う受容的な笑顔は、相手の方がその笑顔を見ただけで安心できるような表情です。使い所ですが会話の時はもちろん、一番使いやすいのは毎日の朝、退勤時などのの挨拶の時です。
是非朝の挨拶は、相手の方が安心出来るような笑顔で、そして目を見ながらやってみて下さい。ちなみに現在私がよく利用させて頂いているコワーキングスペース(共同オフィス)の受付の方の笑顔はとても素敵です。
なぜ素敵かというと、笑顔の軸が完全にプロなんです。とても落ち着いていて、こちらに対する心使いが伝わる笑顔なのです。カウンセラーの私も癒やされる笑顔です。
相手の方が落ち着ける声のトーン
これは逆に傾聴ロールプレイの時だけ気をつけていても、一朝一夕にはなかなか身に付きにくいものです。
声については以前読んだ中谷彰宏さんの本の中で、とても印象に残っている言葉があります。銀座トップクラスのクラブのママに自分に合う男の判断基準を聞くと、
「声が心地良いと感じられるかどうか。声はごまかせない。」
という言葉。どんなタイトルの本か忘れました。すみません。
声はその人自身が現れるように思います。
傾聴の時も声はとても大切で、聴き手が暗い声だと話し手はウェルカムされている感じがせず、話す気が起きなくなります。
落ち着ける声の日常での練習方法は、ハッキリ言って46時中です。出来るだけ。
私自身は傾聴がどうこうよりも、「自分の側にいるだけで、その人が落ち着いた気持ちになれるような人になりたい。」という思いがあったので、声については46時中出来るだけ落ち着けるトーンになるように気をつけていました。日常に練習を組み込むと、取り組む機会が圧倒的に増えます。身に付く速度もそれだけ早くなるのは間違いありません。
うなずきとあいづち
是非使いまくって下さい!
うなずきとあいづちは傾聴技法の1つでもありますが、誰でも日常で使っているものです。この使用頻度を増やしたからといって何か弊害が出るようなことは一切ありません。使えば使うほど、適切なタイミングや気持ちを汲み取ったあいづちにも繋がります。
親子・夫婦間の会話で、職場の上司・同僚・お客さんとの会話などで是非実践しまくってみて下さい。相手の方も話しやすくなります。
ただ例外として、もう聴く時間がない、この話は聴きたくないわ!という時にはあいづちを入れないが吉です。時間無制限で愚痴を聴き続けるのにも限度がありますから。
オウム返し
ここからですね。オウム返しについてはなかなか普段の生活で実践しづらいと思っている方も多いのではないでしょうか。相手の方が言った内容をそっくりそのまま繰り返すことは、やり慣れていない内はやっている方は違和感がありますが、やられている方(話し手・オウム返しをされた方)は、思ったほど違和感を感じていないものです。
試しにやってみて相手の反応をよく見てみて下さい。もし違和感があるようであれば、親しい人ほどそれを言ってくれるはずです。
特にオウム返しを入れやすいポイントとしては指示を受けた時や、取り決めた日時を伝えられた時です。
例えば「9月25日の13時までに、新規で始めたリラクゼーションの仕事の内容を会社のブログにアップしておいて。」
と指示を受けたら、「9月25日の13時までに新規のリラクゼーションの仕事の内容を会社のブログにアップですね。わかりました。」と繰り返して伝えます。そのほうが伝えた方は、ちゃんと伝わっているんだなという安心感が持てます。特に日時については、すれ違いがあると大変です。
長いセンテンスで話された場合は、大事な部分を掴んで返せばOKです。どこが大事なのかも、繰り返してやっているうちに掴めます。
オウム返しのスキルは、やらない限り身に付きません。やればやるほど磨かれます。
要約
ポイントを掴んだ要約は、実は難しい部類に入ります。
私自身は要約のトレーニングを意識したことはありません。要約が出来るようになった経緯を振り返ってみると、基本は的確なオウム返しに尽きます。的確なオウム返しが出来るようになると、相手とのすれ違いがなくなりますし、気持ちも的確に汲み取りやすくなります。さらに会話の全体像も掴めるようになります。
会話の全体像が掴めるようになると、要約すべきポイントも見えてきます。
要約してみて間違っている点があれば、そこですれ違いを無くせます。間違いの無いように気を付けることよりも、要約をやってみて間違いがないか確認していくほうが大切です。
共感の言葉
共感の言葉は、感情の反映とも言われています。要するに相手の気持ちを汲み取った言葉を伝えます。
これについての練習方法は簡単で、なお且つ1人で出来るという優れた方法があります。どんな方法かというと、普段の自分自身のマイナスの気持ちに繊細になるということです。
自分自身の辛さや、寂しさ、腹立たしさ、悔しさ、悲しさ、憎さなどのマイナスの感情をしっかりと見ていきます。何かマイナスの感情が湧いてきたら、それに対してどんな状況で、どんな時に、誰に対して、どんな言葉を言われて湧き上がってきたのかを振り返って、さらにメモをつけておくと効果的です。
これはやり方自体は簡単なのですが、やってみるとハッキリ言ってしんどいです。マイナスの気持ちが浮き上がってきますので。苦しくなったらご自身のストレスのセルフケアをしっかりとやっていく必要があります。
特に男性は女性に比べて気持ちを汲み取るのが苦手な人が多いです。私も得意な方ではなかったのですが、この方法は非常に効果的でした。
自分自身のマイナスの気持ちを感じることが、それを自分で受け止めていくことに繋がります。それがさらに他の人のマイナスの気持ちを的確に汲み取っていくことにも必ず繋がります。
効果的な質問
練習する必要があるのは、相手の方が自由に答えられるオープンクエスチョン(開かれた質問)です。オープンクエスチョンとは、例えば「この記事をここまで読んでみてどうでしたか?」といった質問です。自由に答えられます。
この記事をここまで読んでみて何かの参考になりましたか?といった質問は「はい」か、「いいえ」で答えられるのでクローズドクエスチョンと言われています。当然答える側に自由さはありません。
オープンクエスチョンもうなずきとあいづち同様、日常で非常に実践しやすいです。親子関係、友人関係で特にやりやすいです。ポイントは、「その人自身」が浮き上がる質問を心がけるということです。方法については質問力を身に付けるために必要な事のページに紹介してますのでご参照下さい。
まとめ
他の記事でもお伝えしていますが、傾聴は完全にスキルです。スキルなので、やれば誰でも身に付けることが出来ます。車の運転のようなものです。
どうしてもうまくいかない!!という時は↓の記事をご参考下さい。
傾聴できない理由とその改善方法