傾聴されると腹が立つ、気持ち悪く感じられる理由3つ

傾聴で話を聞かれたけれど、癒やされるどころか逆に腹が立ったり、イライラしたりすると、本当に嫌な気持ちになると思います。

この反応はあなたが悪いわけではなく、比較的よくあるケースです。傾聴は本来、人の心を楽にする技法ですが、適切に使わない(使えない)と逆に強い違和感や怒りを生むことがあります。

実は私自身も、傾聴を日常生活でトレーニングしているとき、カウンセラーとして駆け出しの頃に傾聴時に相手から怒られたことがあります。

こうした反応が起きる理由はとてもシンプルで、カウンセラーまたは傾聴者が未熟で適切に傾聴を使えていないことが原因です。この記事では、

  • なぜ傾聴されると腹が立つのか
  • なぜ気持ち悪く、不自然に感じられるのか

その心理的な理由を、わかりやすく解説します。

傾聴されて腹が立つ理由3つ

いずれか1つだけの場合もあれば、複数該当する場合もあります。ご自身のシチューエーションと一致したものをご参考下さい。

1 形だけの共感は逆効果

傾聴で最も反感を買いやすいのが、共感を形だけ行っている場合です。

共感とは、「相手の気持ちを汲み取って伝えること」です。会話の内容と相手の感情を見て、辛いですよね、さみしいですよね、悲しいですよねといった感情の言葉を伝えます。
詳細:共感の言葉の使い方 |相手の気持ちを汲む方法

この会話の形だけを見て、相手の気持ちを汲み取らずに「それはつらいですよね~」と伝えると、その言葉で「わかってもらっていない・わかろうとしてくれていない」ことが相手には感じられます。

こうなるとカチンとくるのも無理はありません。

私の傾聴失敗談

私自身カウンセラーとして駆け出しの頃、現役予備校で予備校生のメンタルサポートを担当していたことがあります。当時のセンター試験で結果が出せなかった生徒さんと関わっていた時、私自身は「センターがうまくいかなくても、別に何とかなるだろ」と感じていました。その思いのまま、「つらいよね」と伝えてしまい、「もうあっちに行ってよ!」と言われてしまった経験があります。

共感は伝えるのであれば、しっかりと相手の気持ちを汲み取って伝える必要があります。

カウンセラーが、スキルの形だけを意識して使ってしまうとこうなります。スキルとセットで、傾聴の本来の目的である「相手を理解したい・相手と良い関係を築きたい」思いを持ちながら関われば、相手から反感を買うことはありません。

2 「わかります」は言ってはいけない

実は「わかります」は、傾聴の時にカウンセラーが言ってはいけない言葉です。

というのも、これを言われた側は、「かんたんにわかられてたまるか」という思いが湧きます。この思いが出るのは自然なことで、そもそも100%相手のことをわかるのは、絶対に無理です。

  • 話を聞いただけで、実際にその方と同じ状況にいたわけではない
  • 育ってきた環境や感じ方が同じ人間は、1人としていない

上記の理由で、相手のことを100%わかるのは無理です。わからないからこそ、相手の言葉をコピーできる勢いで聞き、相手の表情や姿勢などに意識を強く向け、少しでもわかろうとして関わるのが傾聴です。

傾聴時に「わかります」と言われると、「そんな訳ないでしょ」と感じられるのが自然です。

3 信頼関係が出来ていない段階でアドバイスしている

これはアドバイスしているのでそもそも傾聴ではないのですが、ある程度話を聞き、質問力が無い傾聴者はどうしても間が空いてしまいます。その間をどうにかしようとして、ついついアドバイスに走る場合があります。

信頼関係が出来ていない状況でアドバイスされると、今の自分自身を否定された気持ちになり、カチンときます

心理カウンセリングではアドバイス・状況提供も行いますが、相談者が「しっかりと話しを聞いてもらえた、わかってもらえた」と感じられた、カウンセリング終盤のタイミングでのみ行います。
※継続カウンセリングで、すでにラポールが築けている場合を除く。

傾聴されて気持ち悪い、不自然に感じられる

うなずき、あいづちが不自然

うなずき=首を縦に振ってうなずくこと、
あいづち=「はい、えぇ、そうなんですね」などの合いの手 です。

うなずきとあいづちは普段の会話でも入れますが、傾聴技法の一部です。そのため傾聴を習った方は、「うなずきとあいづちを意識して入れるんだな」という思いがどうしても働きます。

すると、話している相手の表情や声のトーン、会話の内容に意識が向くのではなく、
傾聴している自分(うなずきとあいづちを入れること)に意識が強く向きます。

結果として、うなずきとあいづちは入れているけれど、話している相手はおざなりになり、毎回同じ深さのうなずきや、同じ声のトーンの不自然なあいづちになります。

わかりやすくいうと、「世間話のうなずきの深さ・あいづちの声のトーン」と、辛い体験を聞いたときの「うなずきの深さとあいづちの声のトーン」は違うのが自然ですが、傾聴技法(うなずき・あいづち)に慣れていないと、どうしても相手よりも傾聴する自分に意識が向くため、会話の内容に合わない不自然なうなずきとあいづちになります。

関連:うなずきとあいづちの使い方|レパートリー、動画有

オウム返しは慣れていないと不自然になる

オウム返しは相手の言葉を繰り返すスキルですが、慣れていないと傾聴技法で最も不自然になるスキルです。

というのも、慣れていないと言葉を繰り返すことに意識が向くため、発した言葉を相手の目や表情を見ながら届けるのではなく、あさっての方向に言葉が出てしまいます。

オウム返しは、相手の状況やその時の相手の気持ちをイメージしながら出来るようになると、自然で効果を発揮しますが、慣れないうちは難しいスキルです。

話を聞いてもらっている人にお金を払っていないのであれば、トレーニング中なんだなと察してあげてください。お金を払っている場合は、他のカウンセラーを当たるのをお勧めします。

関連:オウム返しのやり方と効果を動画付きでプロが解説

まとめ|傾聴は適切に使えないと逆効果

傾聴されると腹が立つ、気持ち悪く感じられる理由は以下の3つです。

  • 傾聴スキルを形としてのみ使っており、傾聴の核である「相手を理解したい」思いが抜けている
  • 慣れていないと「傾聴を使う自分」に意識が向き、肝心の話し手の状態や気持ちに意識を向けられない
  • そもそも傾聴ではない(信頼関係が出来ていない状態でのアドバイス、「わかります」という発言)

一言でいうと、カウンセラーまたは傾聴者が未熟で適切に傾聴を使えていない状態です。

傾聴のトレーニングをしていると、実は多くの人が通る道です。腹が立つとは思いますが、適切に使われると、非常に大きな効果があることを知って頂けると幸いです。

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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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