
講座で傾聴を行っている様子
実際に傾聴したり、長時間話を聞くと、はっきり言って疲れます。特にやさしい方ほど「役に立ってあげたい」思いが強く、気づかないうちに消耗してしまいます。
また、「HSP(非常に繊細な方)だから、人の話を聞くと疲れてしまうのは仕方ない」と感じている方も多いかもしれません。
たしかに繊細さは影響しますが、実は疲れの原因はHSPそのものにあるわけではありません。(私自身、心理カウンセラーとして活動しながらHSPの気質を持っていますが、カウンセリングの仕事を続けて20年以上になります)
この記事では、傾聴すると疲れてしまう本当の理由と、話を長時間聞いても消耗しにくくなる考え方、そして「つらい疲れ」ではなく「心地よい疲れ」に変えていく方法について解説します。
傾聴すると疲れる理由
集中力を使うため
傾聴技法は、TVを見たりラジオを聞く時の聞き方(なんとなく聞く)のではなく、相手の状態に強く意識を向けて聞くため、集中力をかなり使います。特にオウム返しを的確にしようとすると、本当の意味で聞いていないと繰り返せないため、どうしても疲れます。
関連:オウム返しのやり方と効果
そのため講座やトレーニングで傾聴の聞き方をやってもらうと、数分で汗をかく方も多くおられます。
傾聴すると集中力を使うため、心理カウンセリングの時間は50~120分程度で区切られています。プロの心理カウンセラーでも、それ以上集中して聞き続けるのは難しいです。
その分話し手にとっては、「これだけ真剣に関わってもらえるのであれば、この人になら自分の悩みや辛い過去を打ち明けても大丈夫かな」と感じてもらえます。
「正しく聞こう」という意識が働くため
特に習い始めは、「様々な傾聴技法を正しく使いながら聞こう」という意識が、どうしても働きます。
つまり普段やっている聞き方ではなく、慣れない聴き方のため疲れます。
ここについてはシンプルに傾聴トレーニングを繰り返し、慣れてくれば疲れは大きく軽減されます。ジョギングでもそれまで全く身体を動かしていないと始めはきついですが、何度も行って慣れると持久力が付き、疲れにくくなります。傾聴はコミュニケーションスキルですので、そのイメージとかなり近いです。
人の話を聞きすぎて疲れたと感じるとき
普段の世間話のような、「双方が話す・聞く関係」なら疲れにくいですが、聞く一方だとどうしても疲れます。これは
話す側:自分の自由に出来る・話せる
聞く側:自分よりも「相手の思い、話した内容」に意識を向ける必要がある
ためだと私自身考えています。特にグチや悩み相談だと、ここに相手のマイナスの感情が上乗せされるため、どうしても聞く側には一定の負荷がかかります。
以下の点を意識すると、これが楽になります。
- 悩み相談を持ちかけられたら、事前に「●時までなら聞ける」と時間を区切る
- 会話が長くなった場合、「後の予定がある(または今日はしんどいので)ので、また後日聞かせて」と伝える
- うなずきやあいづちは、あえて使わないことで、今は聞ける状態ではないことを示す
人の話を聞きすぎて疲れたと感じられる場合、エンドレスで相手のグチや悩みを聞いていないかどうか振り返ってみて下さい。
ただし話を区切る時は、相手の方に「ちゃんと聞いてもらえている」感覚を持ってもらえていないと、信頼関係が崩れます。
要約のスキルで会話を一旦まとめ、「また今度聞かせて」というクロージング(会話の締め)が適切です。
関連:長すぎる話を相手が不快に感じないように止める、区切る方法
HSPだから人の話を聞くと疲れる…は本当?
HSPの方は、人より繊細な性質があるため、どうしても相手の影響を受けやすいのは間違いありません。
ただしHSPの人すべてが、人の話を聞いて疲れ果てるわけではありません。
実際に疲れやすいのは
- 相手の期待を先回りして応えようとする
- 無意識に相手の思いを優先し、自分の思いを抑え込む
上記のような行動パターンを、自分でも無意識に行ってしまう場合です。必然的に自分の言いたいことや、希望は抑え込まれるため、どうしても人と接すると疲れます。
つまりHSPだから人と会話して疲れるのではなく、自分でも無意識に上記のような「いい人でなければならない」思いが働き、結果として疲労感が積み重なる状態です。
これについては、上記行動パターンの心理の部分を理解していくと、必ず改善できます。詳細は以下の記事をご参照下さい。
人の期待に応えようとする心理とやめる方法5ステップ
重い相談を受けるとしんどい理由と軽くする方法
重い相談=非常に不幸な体験を聞いた場合です。
この相談を受けた時、相手と同じ気持ちになって聞く(同感)と、相手の影響をそのまま受けるため、聞く側も非常にしんどくなります。
相手の気持ちと、それを聞いて湧き出た自分の気持ちを分けながら(整理しながら)聞く方法だと、まともに相手の感情を受けないため、聞く側の負担はかなり軽くなります。
詳細:悩みを聞くと自分も同じようにつらくなる、自分の悩みのように受け止めてしまう時の対策2つ
上記の聞き方だと聞く側の負担は段違いですが、全く相手の影響を受けないというのは、傾聴で関わる以上無理だと思います。
私自身心理カウンセリングの仕事で傾聴を使っていますが、あまりに不幸な体験をされた方が来られた場合、どうしてもこちらもその影響を受けます。そういう仕事ですのでやりがいを持ってやっていますが、自分なりのストレスケア方法を持っておけばOKです。
関連:心と身体が疲れた時の効率的な対処法7つ
まとめ|傾聴は疲れます
傾聴で聞くと集中力を使うため、どうしても疲れます。トレーニングである程度鍛えられますが、疲れるといっても気疲れではなく、身体を動かして疲れるような、自然と眠りに落ちる感じの疲れです。
傾聴して疲れたという事は、真剣に集中して話を聴こうとしたからであり、新しい聴き方にチャレンジしているからこそです。是非疲れながら傾聴力を高めていって下さい。
話を聞きすぎてしんどくなる場合、会話の区切り方を覚えれば簡単に改善できます。是非やってみて下さい。
