グループカウンセリングとは、相談者(参加者)が複数のカウンセリングのことです。通常のカウンセリングは相談者とカウンセラーで一対一ですが、グループカウンセリングは参加者が2人以上になります。
夫婦や恋人同士でカウンセリングを受けることも、グループカウンセリングになります。
カウンセラーは通常1人ですが、参加人数が多い場合はサブのカウンセラーが同席する場合もあります。
参加者の上限は特に定義されていませんが、4~10人くらいが適切だと感じます。20人以上になるとどうしても発言出来ない人も出てきます。
グループカウンセリングの内容とやり方
内容は様々ですが、次の2つが多いです。
- 同じ悩みを持った人が集まり、今の自分の悩みや問題を話すタイプ
- 自己理解を深める、肯定感を高める、与える力を感じてもらうタイプ
同じ悩みを持った人が集まるタイプでは、カウンセラーが問題解決のサポートをするケースが多いです。
例えばADHD(注意欠如多動性障害)の人達が集まって、自分自身が今困っている事について話します。シェアされた内容について、さらに参加者から解決策がシェアされることもあります。担当のカウンセラーは、時としてその導き役になったり、解決策や楽になる方法を伝えることもあります。
他には、アートセラピーと組み合わせて行われるタイプのグループカウンセリングもあります。
- 与えられたテーマで絵を書く(例:嫌いなもの、苦手なもの)
- それについて参加者それぞれがシェアする(※必要に応じて担当カウンセラーが質問で深める)
- 隣の参加者が元気になれそうな絵をプレゼントする
といった流れです。
仕切るカウンセラーには、当然ながら一定のカウンセリング力が求められます。
開始時に伝えるべきルール
始めにリードするカウンセラーが参加者に、ここで話された内容は外に持ち出さないという守秘義務をしっかりと守るように伝える必要があります。
その場で話した悩みが知人に言いふらされていたり、無許可でネットにアップされていたりすると逆に傷ついてしまいます。
また、他の参加者の発言は否定せずに受け止めるというルールを伝えるのも大切です。
例え正しいことであろうと、自分の発言を否定されたり、良い悪いなどの評価を言われると思ったことが自由に話せない空気感になるだけでなく、傷つく可能性が出るためです。
カウンセラーの仕切りも重要
参加者の中には、まれにグループカウンセリングのテーマとは関係の無い事を延々と話す方もいます。それを聞かざるを得ない周りのメンバーは疲れます。
そんな時は仕切り役であるカウンセラーが、その話を要約して返した後
次にマンツーマンのカウンセリングと比較してのメリット、デメリットを紹介します。
グループカウンセリングのメリット3つ
1 参加しやすい(料金が安い)
自分自身の他にも参加者がいるので、マンツーマンのカウンセリングよりも圧倒的に参加しやすいです。
仮に自分が話したくなければ話さなくてもその場は成立するため、参加のハードルが低いです。
料金についてもマンツーマンカウンセリングよりも圧倒的に安く、90分であれば料金の目安は
- 個人カウンセリング:9,000円
- グループカウンセリング:3,000円
です。ちなみにカウンセラー養成スクールの講座では心理学やカウンセリングを学べますが、空気感はグループカウンセリングそのものでした。
2 他の人のリアルな悩みが聞ける
人間関係や恋愛、生き方等で自分自身と同じような悩みを持っている人の話が聞けます。
「これで悩んでいたのは自分だけじゃなかったんだ」と思えると不思議なもので、それだけで気持ちが軽くなります。
3 複数の人に対して話す事で気持ちが楽になる
もちろん無理に話す必要はなく、話せる範囲で自分の悩みや感じている事を複数の人に向けて話すと、それだけで心が整理される一面があります。
ただし悩みは話せる時期とそうでない時期がありますので、話せなかったからといって落ち込む必要は一切ありません。
グループカウンセリングのデメリット3つ
1 深い悩みは個人カウンセリングよりも話しにくい
悩みには言いやすいものとそうでないものがあります。
例えば職場の人間関係の悩みであれば比較的言いやすいですが、自分が虐待を受けた詳細は、複数人が参加しているグループカウンセリングよりも、マンツーマンカウンセリングのほうが話しやすいです。
2 パーソナライズしにくい
グループカウンセリングだと、すべての参加者に個人個人に合った問題解決のための具体的な方法を、カウンセラーが提案するのは難しいです。もちろん他の参加者に提案された方法を参考にして、自分自身の問題解決に取り入れていく事はできます。
3 参加者が多い場合、長く話せない
カウンセラーがきっちりと話を振ってくれる場合もありますが、カウンセラー1人に対して参加者が6人以上になると、どうしても参加者が話す時間が短くなります。
人数が多いと参加者によっては、気を使って話すのを遠慮される方も出てきます。
もちろんそれでもその場の一体感が得られたり、他の参加者の会話から刺激を受けれるメリットもありますが、参加者が多ければ多いほど話しにくいのはデメリットです。
自助グループとの違い
自助グループとは、主にアルコール依存症や薬物依存症の人たちが集まり、今感じている事や思っている事を自由に話す場です。
こちらはグループカウンセリングと違い、基本カウンセラーが参加しません。当事者だけの場です。また、言いっぱなし、聞きっぱなしが基本で、参加者の発言に対して自分の思ったことや、アドバイスを伝えることもありません。
そのため、「今の自分が抱えている課題を克服する」という大きな目標はありますが、1回1回の会合の細やかなゴール設定は基本的にありません。
グループカウンセリングには様々な種類がありますが、その回毎に「こういうイメージになって帰ってもらいたい」というゴールをカウンセラーが基本的に設定してます。(例:癒やしを実感として持ってもらう。自分自身の与える力を実感してもらう等)
参加費は自助グループは基本的に場所代程度の事が多いです。グループカウンセリングよりも安めです。
まとめと事例
グループカウンセリングの一番のメリットは、参加者が癒やしを実感出来る事と合わせて、自分自身の関わりで他の参加者の方に喜んでもらえたり、元気になってもらえる与える・役に立てる力も実感出来る事だと感じます。
クリニックやカウンセリングルーム、カウンセラー養成スクールによっては、グループカウンセリングや、それに近いセミナーを実施している所もあります。
料金の目安は90分3,000円程度で、マンツーマンのカウンセリングよりも敷居が低いです。自分をより深く知りたい、心理学に触れてみたいというきっかけでも参加できますので、興味のある方はお近くの実施している所を探して、参加してみて下さい。
↓は私自身が開催したグループカウンセリングですが、HSP交流会という名称で実施してます。参加者の感想も掲載しており、当日の様子は新聞にも掲載されましたのでぜひご覧下さい。
https://www.iyasi-tukurimasu.com/blog/hsp-meeting-20230528/