3分でわかる「国家資格・公認心理師になるには」必要な費用や期間

2016年8月1日

公認心理師とは

一言で簡単にいうと、心理カウンセラーの国家資格です。

臨床心理士を始めとして、心理関係の資格は民間資格のみだったのですが、2015年9月の通常国会で「公認心理師法」が可決されました。2017年9月15日に施行されています。

第1回の試験は2018年9月9日に実施され、27,876人が資格取得、合格率は79.6%
第2回は2019年8月4日実施、7,864人が資格取得、合格率は46.4%です。

他の民間心理資格と比較すると受験資格が厳しいため、取得難易度は高いです。

活動分野は、「保健医療、福祉、教育その他の分野」とされています(公認心理師法第2条)。つまり、病院や学校での活動がメインです。

「公認心理士」ではなく「師」の字が正しい表記になります。

社会人になってから公認心理師になるには

まずは受験資格を満たす必要があります。独学では絶対になれません。

受験資格

公認心理師法施行前(2017年9月15日)に心理系の大学・大学院に入学していない、実務経験が無い方は次のいずれかを満たす事で受験資格が得られます。

  • 「公認心理師になるために必要な科目」を心理学関係の大学と大学院を出て修了する。
  • 大学で公認心理師になるために必要な科目を修めて卒業し、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設で、規定の期間以上(2年以上標準3年)心理関係の仕事に従事する。

上記が厚労省資料の区分A、Bになります。

「公認心理師になるために必要な科目」ですが、大学で合計25科目、大学院で合計10科目です。科目詳細は、厚労省資料の5ページ目にアップされています。

受験資格の特例に該当する方以外は、まず心理関係の大学、または専門学校を卒業する必要があります。
詳細:公認心理師資格対応大学・大学院一覧

夜間の大学や大学院では、規定の実習時間(大学80時間、大学院450時間以上)が膨大なため、公認心理師の受験資格を満たせません。

受験資格の特例について(区分D~G)

※次の特例措置は、2017年9月15日から5年間(2022年9月15日まで)有効です。

施行前に大学院に入学、または修了している場合(特例区分D)

心理学関係以外の4年制大学を卒業している場合でも、2017年9月までに臨床心理士指定大学院に入学し、規定の科目を履修すれば心理学関係の大学に新たに入学する必要はありません。

施行前に心理系の大学に入学している場合(特例区分E・F)

「公認心理師になるために必要な科目」の5割程度を大学で修め、その後心理系大学院で必要な科目を修めるか、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設で、規定の期間以上(2年以上標準3年)心理関係の仕事に従事するればOKです。

心理の仕事に従事していた場合(特例区分G)

次の実務経験があればOKです。

保健医療、福祉、教育、司法、産業関係で心理の仕事を5年以上しており、文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了する

実務経験の施設詳細については、受験の手引きP53にあります。
個人事業として行っている私設の心理相談室でもOKです。

上記の心理の仕事での経験が必要ですので、介護相談員や看護師、教員の経験では特例になりません。ボランティアの経験も不可です。

※仕事内容について、厳密には公認心理師法第2条第1号から第3号までに掲げる行為と定義されており、その行為の詳細はこちらに(注1)として記載されています。

施行時期(2017年9月15日)までに、保健医療、福祉、教育関係で心理の仕事に就いている場合、そこから仕事を5年以上続ければ受験資格の特例が満たせます。

対応している通信制大学について

2020年度、通信課程の大学で公認心理師資格に対応しているのは、

のみです。4校とも4年間の学費は、スクーリング・実習費等を含めると約100万円です。
3年次編入した場合の注意点はこちら

大学院の通信課程では未対応

上記の放送大学以外は、大学院の通学コースでは公認心理師資格に対応していますが、現状通信課程の大学院では公認心理師の受験資格は満たせません

聖徳大学大学院に問い合わせたところ、規定の実習時間の多さから通信課程では対応を見送られているとの事です。今後も↓の理由で対応は難しいと感じます。

規定の心理実践実習が大学院では合計450時間以上と定められています。

この合計実習時間の450時間を換算していくと、1日5時間として約90日間です。これを大学院の3年間で割ると、年間30日間になります。これだけの実習日数を通信課程でこなすのは現実的ではありません。

唯一、佛教大学大学院の通信制で対応していますが、対象は公認心理師法施行日前(2017年9月)に心理系の大学または大学院に入学しており、規定の科目を履修(又は履修中)している方のみです。

受験資格を得るための費用と期間

上記の受験資格の特例を使わない場合、以下のいずれかで受験資格を満たす必要があります。すべて生活費、交通費は含んでいません。

大学は通信、大学院は通学の場合

3,243,100円

内訳=通信の大学費用4年間:868,100円+大学院2年間費用:2,375,000円(両方聖徳大学の場合)

社会人向けですが、大学院からは仕事を辞めるしかありません。上記に加えて+530時間分の実習費が必要なため、350万円以上は見積もっておいたほうが無難です。

通信課程の大学に3年次編入した場合

すでに4年制大学を卒業している方は、心理系以外の学部卒業でも3年次編入が可能です。

3年次編入で公認心理師の対応科目、実習時間が満たせるかどうか東京福祉大学に確認したところ、2年間で満たすのは難しいため、3年次編入しても4年を2回することになる(合計3年間在籍する事になる)との事でした。(4年在籍と比較して授業料の15万円が安くなるのみ。

大学、大学院とも通学を利用する場合

約500万円(私立大学の場合650万円)

内訳=国立大学約250万円または私立大学約400万円+大学院約250万円

国立の大学院だと費用は2年間合計で1,383,600円になります。(上越教育大学の場合)受験の難易度は私立より高いです。

現在学生の方向けで、受験資格が満たしやすいのがメリットです。とはいえ大学院入試は、ほとんどの大学院が定員30名以下で絞っているため、やさしいとはいえません。

金持ちじゃないと無理か・・・と感じた場合の救済措置かどうかはわかりませんが、大学院をカットして約250万円安く取得出来る方法も、一応公式に用意されています。

通信大学卒業後、実務経験を積むケース(最安)

868,100円(通信の心理系大学4年間の費用、聖徳大学の場合)+標準3年の実務経験

最安の方法です。心理系の大学を卒業後、規定の実務経験を積めば大学院修了無しで受験資格が満たせます。

実務経験については、厚労省資料の区分Bには、次のように記載されています。

施行規則第5条で定める施設で施行規則第6条で定める期間以上の実務経験

施行規則第6条で定める期間は、2年以上(標準的には3年間)です。

施行規則第5条で定める施設詳細は、こちらです。

注意ポイント

この場合、必要な費用は大学卒業分のみになりますが、大学院に通う費用と期間を考えると、かなりの人はこちらの方法で受験資格を満たそうと考えるはずです。

実務経験を積むため施設採用の競争率は、非常に高いのは間違いありません。施設の採用面接に落ちると、いつまでたっても受験資格が満たせないリスクがあります。

実務経験が満たせる施設について

法施行規則第5条では、下記施設と定められています。
※下記施設で2年以上(標準3年)心理関係の仕事に従事する必要があります。

保険医療分野

病院、診療所、介護療法型医療施設、保健所、精神保健福祉センター、介護老人保健施設等。

福祉分野

児童福祉施設、児童相談所、障害者支援施設、地域活動支援センター、発達障害者支援センター、老人福祉施設、婦人相談所、婦人保護施設、知的障害者更生相談所、ホームレス自立支援事業を行う施設、若者育成支援推進法に規定する子ども・若者総合相談センター等。

教育分野

学校教育法で規定される学校、教育委員会での活動。

司法分野

刑務所、裁判所、少年院、保護観察所等での活動。

産業・労働分野

組織内健康管理センター・相談室、地域障害者職業センター及び障害者就業・生活支援センター。

認定施設一覧(2020最新)

厚労省ページにアップされています。2020年現在10もありませんが、民間の施設名もアップされてますので、実務経験で受験資格を満たそうと考えておられる方は要チェックです。

資格試験の受験料と登録料

公認心理師法施行令(平成29年政令第243号)第2条~第4条、登録免許税法によると

試験受験手数料:28,700円
登録手数料:7,200円
登録免許税:15,000円

と定められています。いずれも税込み金額です。

更新の有無

更新の必要は無く、更新料もかかりません。

問題視されていることもあり、今後変わる可能性もあります。

まとめ

医療分野・公的な教育分野で心理カウンセラーとして活動したい方は、この資格の取得を考えておいたほうが良いと感じます。信頼性において、国家資格に勝る民間資格はありません。

ただ、一旦社会人になってからこの資格を取得するのは、心理学系の大学+大学院修了が基本のルートとなり、時間的にも費用的にもハードルは高いです。実習時間が多いため、正社員で仕事を続けながらチャレンジするのが極めて難しいです。

カウンセリングを受ける方には、~症、~障害と名のつく医療関連の悩みを持っておられる方だけでなく、自己肯定感を高めたい、コミュニケーション・人間関係で悩みを抱えている、恋愛での悩みをなんとかしたいという方も多いです。

そういった方をサポートするカウンセラーになるには、公認心理師資格を取得せずとも、民間のカウンセラー養成スクールに通う事でも可能です。

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