社会人から公認心理師になるには|必要な費用と期間

公認心理師試験会場の写真

社会人になってから公認心理師資格を取得する方法は、主に2つです。受験資格を満たすために、以下のいずれかをクリアする必要があります。(高校生以下の方も同様です)

  1. 心理系の大学・大学院を修了する
  2. 心理系の大学を卒業後、規定の施設で2年以上の実務経験を積む

1の場合、期間最短6年、費用は最安で約330万円。現実的ですが大学院からは働きながらは無理です。

2の場合期間最短6年、費用は約100万円、こちらは働きながら取得可能ですが、難易度は非常に高いです。(理由は後述します)

※2017年9月15日より前に心理系の大学を出ている人の場合、受験資格の特例が使えます。

この記事では社会人になってから公認心理師資格を取得する方法、費用や期間などを解説します。

公認心理師とは

一言でいうと、心理カウンセラーの国家資格です。

臨床心理士を始めとして、心理関係の資格は民間資格のみでしたが、2015年9月の通常国会で「公認心理師法」が可決され、2017年9月15日に施行されています。

2022年現在資格取得者数は71,435人、試験の平均合格率は53.9%です。

他の民間心理資格と比較すると受験資格が厳しいため、取得難易度は高いです。

活動分野は病院や学校がメインで、「保健医療、福祉、教育その他の分野」とされています。

「公認心理士」ではなく「師」の字が正しい表記です。

公認心理師の受験資格について

受験資格を満たした後、国家試験に合格することで資格取得できます。独学では絶対になれません。

公認心理師法施行前(2017年9月15日)に心理系の大学・大学院に入学していない社会人の場合、下記厚労省規定の受験資格の区分AまたはBを満たす必要があります。※↓に画像が表示されない場合、再読み込みしてみて下さい。

まずは一般的な社会人向けのルート、区分Aと区分Bについて詳細を解説します。

心理系の大学・大学院を修了するルート|区分A

公認心理師資格対応大学・大学院を修了するルートです。対応大学・大学院以外では受験資格を満たせません。(対応大学以外の大卒の方は、対応大学に3年時編入が可能。)

大学・大学院とも通学を利用する場合、大学受験勉強をする必要があります。

大学は通信課程でもOKで、通信の場合は入学試験はなく、書類審査のみです。そのため、入学はしやすいのですが、卒業率は50~70%の大学が多いです。
対応している通信制大学

夜間の大学や大学院では、規定の実習時間(大学80時間、大学院450時間以上)が膨大なため、公認心理師の受験資格を満たせません。

大学は通信、大学院は通学利用時の費用

社会人向けで、実務経験を満たすルートより安定感があります。

費用合計:3,243,100円

内訳=通信の大学費用4年間:868,100円+大学院2年間費用:2,375,000円(両方聖徳大学の場合)

デメリットは大学院受験が難関で、大学院からは基本仕事を辞める必要があります。(規定の実習時間が大学院450時間以上のため)

大学、大学院とも通学利用時の費用

約500万円(私立大学の場合650万円)

内訳=国立大学約250万円または私立大学約400万円+大学院約250万円

現役学生向けです。国立の大学院だと費用は2年間合計で1,383,600円になります。(上越教育大学の場合)受験の難易度は私立より高いです。

受験資格が満たしやすいのがメリットですが、ほとんどの大学院が定員30名以下で絞っているため、大学院入試はやさしいとはいえません。

最安の実務経験ルート|区分B

心理系の大学卒業後、実務経験を踏むルートで最安の方法です。大学は通学・通信どちらでもOKです。実務経験とは、実際に働いて経験を積むことでボランティアではありません。

費用合計 868,100円(通信の心理系大学4年間の費用、聖徳大学の場合)+標準3年の実務経験を積めば大学院修了無しで受験資格が満たせます。

対応している通信制大学について

2022年現在、通信課程の大学で公認心理師資格に対応しているのは、

のみです。4校とも4年間の学費は、スクーリング・実習費等を含めると約100万円です。

通信課程の大学に3年次編入した場合

すでに4年制大学を卒業している方は、心理系以外の学部卒業でも3年次編入が可能です。

3年次編入で公認心理師の対応科目、実習時間が満たせるかどうか東京福祉大学に確認したところ、2年間で満たすのは難しいため、3年次編入しても4年を2回することになる(合計3年間在籍する事になる)との事でした。※ 4年在籍と比較して授業料の15万円が安くなるのみ。

Bルートの実務経験について

法施行規則第5条にて規定の施設が決められており、↓の規定の施設に2年以上(標準3年)勤める必要があります。

実務経験が満たせる施設の都道府県一覧
少年鑑別所及び刑事施設 全国各地の少年鑑別所や少年院、刑務所、少年刑務所及び拘置所
一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院 青森県弘前市
裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所 全国各地の裁判所・家庭裁判所
医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ 静岡県浜松市
医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック 北海道札幌市
学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院 岡山県倉敷市
社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園 福岡県筑後市
社会福祉法人楡の会 北海道札幌市

上記認定施設は、厚労省ページにアップされています。2022年現在、合計9つで少ないです。

「少年鑑別所及び刑事施設」 は法務省専門職員採用試験の合格者、
「裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所」は裁判所職員採用の試験合格者が対象となり、どちらも国家公務員になる必要があります。

注意ポイント
この場合必要な費用は大学卒業分のみですが、大学院に通う費用と期間の関係から、施設採用の競争率は大学院入試以上に高いです。採用面接に落ちると、いつまでたっても受験資格が満たせないリスクがあります。

また、実務経験が積める施設は当然ながら該当地域大学の実習先にもなっています。大学4年間その施設で実習していた人と、採用面接で競うことになります。

採用された結果、当然ですが上記認定施設がある場所に引っ越さなければなりません。社会人で家庭がある人にとっては特にハードルが高いです。

大学院の通信課程は未対応の理由

現状、通信課程の大学院では公認心理師の受験資格は満たせません。

聖徳大学大学院に問い合わせたところ、規定の実習時間の多さから通信課程では対応を見送られているとの事です。今後も↓の理由で対応は難しいと感じます。

規定の心理実践実習が大学院では合計450時間以上と定められています。

この合計実習時間の450時間を換算していくと、1日5時間として約90日間です。これを大学院の3年間で割ると、年間30日間になります。これだけの実習日数を通信課程でこなすのは現実的ではありません。

唯一、佛教大学大学院の通信制で対応していますが、対象は公認心理師法施行日前(2017年9月)に心理系の大学または大学院に入学しており、規定の科目を履修(又は履修中)している方のみです。

公認心理師試験用紙の写真

公認心理師試験会場にて ペンと消しゴム以外は机上に置けません

受験資格の特例について(区分D~G)

公認心理師法施行前(2017年9月15日より前)に心理系の大学または大学院を修了している方の場合、受験資格の特例が使えます。

施行前に大学院に入学、または修了している場合(特例区分D)

心理学関係以外の4年制大学を卒業している場合でも、2017年9月までに臨床心理士指定大学院に入学し、規定の科目を履修すれば心理学関係の大学に新たに入学する必要はありません。

Dルートでの受験期限は定められていません。

施行前に心理系の大学に入学している場合(特例区分E・F)

2017年9月15日より前に「公認心理師になるために必要な科目」の5割程度を大学で修め、その後心理系大学院で必要な科目を修めるか、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設で、規定の期間以上(2年以上標準3年)心理関係の仕事に従事すればOKです。

E・Fルートでの受験期限は定められていません。

心理の仕事に従事していた場合(特例区分G)

※Gルートでの特例措置は2022年9月15日までで、今後はこのルートでは受験できません

次の実務経験があれば受験できるルートでした。

保健医療、福祉、教育、司法、産業関係で心理の仕事を5年以上しており、文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了する

個人事業として行っている私設の心理相談室でもOKだったため、Gルートで合格された方の中には大学を卒業していない方もいます。

資格試験の受験料と登録料

公認心理師法施行令(平成29年政令第243号)第2条~第4条、登録免許税法によると

試験受験手数料:28,700円
登録手数料:7,200円
登録免許税:15,000円

と定められています。いずれも税込み金額です。

各回の合格率

開催日 合格者数 合格率
第1回(2018年9月9日) 27,876人 79.6%
第2回(2019年8月4日) 7,864人 46.4%
第3回(2020年12月20日) 7,282人 53.4%
第4回(2021年9月19日) 12,329人 58.6%
第5回(2022年7月17日) 16,084 人 48.3%
トータル 71,435人 平均53.9%

更新の有無

更新の必要は無く、更新料もかかりません。

問題視されていることもあり、今後変わる可能性もあります。

他の心理カウンセラー資格は撤廃される?

当サイト読者のYさん(女性)より、以下のようなご質問を頂きました。

近日、国家資格で公認心理師が確立されますが、他の心理カウンセラーの資格は撤廃されず来年再来年でも取得可能なのでしょうか?心理カウンセラーは民間資格のままなのでしょうか。

公認心理師が確立されてからでも心理カウンセラーの需要があるならとりたいなと思っております。教えてください。

結論:撤廃されません

結論からお伝えすると、公認心理師以外の心理カウンセラー資格が撤廃されるような事は一切ありません。もちろん来年、再来年と取得可能です。

これは公認心理師資格は、医師のようにその資格を所持している人のみが医療行為を行えるような業務独占資格ではないためです。

注意点

注意点として、公認心理師は法的に名称独占資格のため、「心理師」という名称は使えません。「心理士」なら今まで通り大丈夫です。

心理カウンセラーは民間資格のままなのでしょうか?という問いに対しては、心理カウンセラーとしての公認心理師資格は国家資格ですが、それ以外の臨床心理士や産業カウンセラー資格等は民間資格のままです。

心理カウンセラーとは、資格名ではありません。悩みや心の問題を抱えている方を、会話や心理療法でサポートする人の事です。図で現すと↓のようなイメージになります。

心理カウンセラー資格全体説明図

民間のカウンセラー資格が無くならない理由

公認心理師が確立されてからでも、それ以外の心理カウンセラーの需要は確実にあると感じます。現に今も臨床心理士資格が民間資格では最も認知度が高いですが、それ以外のカウンセラーの需要もあります。

これは、病院に行くような~症とつく精神疾患は臨床心理士や公認心理師の対応分野ですが、病院に行くようなものではない、なんとなく生き苦しいので自己肯定感を高めたいケースや、コミュニケーション力やストレスマネジメント力を高めたいケースの需要があるためです。

心理カウンセラーとして活動したいわけではないけれども、仕事で話を聴く機会や相談される機会が多く、実践的なスキルを身に付けたい、資格を取得したいという方もおられます。

そういった方をサポートするカウンセラーになるには、公認心理師資格を取得せずとも、民間のカウンセラー養成スクールに通う事でも可能です。

関心のある方は↓から様々なスクールの資料を一括で請求できますので、比較検討してみて下さい。

資料請求(無料)はこちら

まとめ

社会人になってから公認心理師資格を取得するルートは、以下のいずれかです。※いずれも対応大学・大学院のみ可

  1. 大学は通信+大学院通学(期間6年、約330万円)
  2. 大学は通信+実務経験3年(期間7年、約100万円)
  3. 大学は通学+実務経験3年(期間7年、約400万円)

1が最も安定感が高いですが、大学院入試が難関です。
2は最安ですが、実務経験を積む施設採用が難関です。
3は実務経験可能な施設で実習が行われる大学に入学すれば施設採用は有利ですが、大学入試が難関&学費4年間が高いです。

上記を踏まえた上で、スクールカウンセラーとして働きたい、または病院で働きたい方は、診療報酬の関係で公認心理師資格が求められるため、取得した方が良いです。信頼性において、国家資格に勝る民間資格はありません。

それ以外の方は、民間のカウンセリングスクールを活用し、プロになる道もあります。私もこの方法でプロになっており、19年以上活動しています。
費用は合計50~100万円で、プロになるまでの期間は2年は見ておいた方がよいです。↓からお近くのスクールの資料を無料で請求できますので、チェックしてみて下さい。

資料請求(無料)はこちら

一旦社会人になってから公認心理師を取得するのは、時間的にも費用的にもハードルは高いです。実習時間が多いため、正社員で仕事を続けながらチャレンジするのが極めて難しいです。

取得難易度は高めですが、取得=仕事があるタイプの資格ではありません。特に正社員として病院に勤務する難易度は高く、勤務できても年収400万円ほどです。スクールカウンセラーは地方公務員以外は非常勤です。公認心理師は、取得難易度が高い割にリターンが低いのが非常に残念な資格と感じます。

関連:心理カウンセラーの年収・給料・勤務体系を解説|年収1000万円も有


ピックアップ心理スクール

ヒューマンアカデミーは全国各地に23校舎あり、多くの方が学ばれています。

実践的な心理学、コミュニケーション力アップに関心のある方は、是非チェックしてみて下さい。詳細な資料も↓から無料で取り寄せられます。

ヒューマンアカデミーの公式ページへ

心理資格取得を目指す女性
  • この記事を書いた人

井上 隆裕

心理カウンセラー、傾聴トレーナー、2004年からプロの心理カウンセラーとして活動し、2013年に独立開業。 詳細なプロフィール

-公認心理師

© 2022 心理カウンセラーの種