ゲーム分析とは|不快なコミュニケーションのパターンを掴み、変える心理学

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ゲーム分析とは、人がはまりやすい不快なコミュニケーションのパターンを分析し、その改善に役立てるための心理学です。

TA交流分析のプログラムの1つで、

  • いつも目の上のタンコブのように注意される
  • 長い時間をかけて話し合ったけれど、ただ時間とエネルギーを浪費しただけだった
  • あの人と会話すると、いつも言い合いになってしまう

など、誰しも無意識のうちにコミュニケーションのゲームを仕掛けたり、仕掛けられる事があります。今まで生きてきて、これから紹介するコミュニケーションのゲームを仕掛けたことも、仕掛けられたことも無い人は、まずいません。

そのためゲーム分析の考え方を知っておくと、カウンセリングに限らず仕事や日常生活でもコミュニケーションがグンと楽になります。

ゲーム分析のコミュニケーションは、仕掛ける側と仕掛けられる側に別れます。仕掛ける側はあくまで無意識のうちに仕掛けていて、仕掛けられる側も無意識のうちにハマって時間と労力を浪費するハメになります。代表的な不快なコミュニケーションのパターン(ゲーム)と、その終わらせ方を紹介します。

まずは私が以前仕掛ける側だったゲームです。

世話焼き

世話焼きは、相手のお世話をする事で、相手を支配しようとするコミュニケーションです。

あなたの身近に、聞いてもないのに色々と親切すぎるくらい教えてくれる人はいないでしょうか?

私自身過去このゲームを仕掛けていた事があります。20代前半の時にある会社に入って3年がたった頃、後輩が入社してきました。私はその後輩が聞いてもいない事をあれこれと教えていたのですが、振り返ってみると「その後輩が仕事が出来るようになるために」とか、「会社の仕事をうまく回すため」に教えていた訳ではなかったんですね。

なぜ丁寧に教えていたのかというと、その後輩に自分の方が上だと見せしめるために教えてました。ある意味教えることで支配下におこうとしてた訳です。後輩側からすると、そんな関わりは嫌ですよね。

こちらが欲しているお世話であれば大歓迎なのですが、世話焼きの場合はこちらが嫌だったり必要無いと感じているのに、「あなたのために」という態度で接してこられます。

対策と終わらせ方

この対策はとても簡単です。仕掛けてくる相手は、要するに「自分は立場が上である」という感覚や、「自分は役立つ存在である」という感覚を満たしたくて仕掛けてきてますので、それをフォローします。やってくれた事に対しては、素直に「ありがとう」と受け取っておいて、ある程度の距離感を取るのがポイントです。

もし親御さんが必要無いものをどんどん送ってきてその置き場に困るようであれば、一旦「ありがとう」と相手の気持ちを受け取り、「置き場がないから回数を減らして欲しい」と冷静にこちらの思いを伝える必要があります。

このゲームを仕掛ける側だった場合

いわゆる恩着せですが、私自身過去よくやっていました。恋人に食事を奢り、その後に「ごちそうさまでした」と言ってもらえなかったり、お茶等の軽いものをおごり返してくれないと腹を立てていました。

このゲームを仕掛けていた場合は、やりたくてやった事と自覚すればすぐに解消できます。

さぁとっちめてやるぞ!(さぁつかまえたぞ!)

「さぁつかまえたぞ!」は、きつい言い方やかかわりで、自分のほうが上位である事を示してくるコミュニケーションです。今風にお伝えすると、マウントを取ってくる人です。

このゲームを仕掛けるのは、こちらがほんの些細なミスをしても鬼の首をとったかのようにきつく注意してくるタイプの人です。仕掛けられた方はたまりません。仕事であれば、1対1で叱るのではなく、あえて大勢の前で注意してきます。どこの職場でも比較的よく見かけるケースです。

このタイプの人は、こちらがミスをしていなくても重箱の隅をつつくようにあら探しをして注意してきます。

対策と終わらせ方

注意されたミスを直しても、新たにあら探しして注意してきますので、ミスをするしないはあまり関係ありません。このゲームを仕掛ける側は、先程紹介した世話焼きのゲームと同じく自分の方が立場が上であることを確認しておきたいからこそ仕掛けてきます。

特に職場であれば、最近年功序列が崩れてきて能力給に移ってきてますので、いつ後輩に抜かれても不思議はありません。でもそれはプライドが許さないので、立場が上の今のうちにそれを知らしめる、他の人に見せしめるために敢えて注意してきてます。

ですので、対策としては相手のその欲求を満たしてあげます。相手を立てます。決してゴマをすったり、嘘を言って相手を立てる必要はなく、しっかりと目を見て挨拶したり、相手の良い所を見て伝える事で「自分のほうが上である」という承認欲求が満たされます。

その後は、ある程度の距離感を取ってあまり付き合わないようにするのも大切です。嫌な人と無理に仲良くなる必要は一切ありません

また、このゲームを仕掛けてくる人は一見強そうに見えるのですが、実は不安感や自信のなさから仕掛けてきています。こういった相手の心理的な理解が深まると、それだけで楽になります。

詳細:マウンティングを取ってくる心理学的な理由と根本的な対処法2つ

はい、でも(イエスバット)

「はい、でも」のゲームは、イエスバット(Yes but)とも言われています。このゲームを仕掛ける側は、「相談を持ちかける」という形で仕掛けてきます。

こちらが良かれと思って様々なアドバイスをしても、一旦はそれを受け取るけれど、何らかの理由をつけてそのアドバイスを拒否します。これがイエスバットと命名されている理由で、非常に多くの人が無意識に仕掛けたり、仕掛けられたりする不快なコミュニケーションです。

詳細:イエスバット|アドバイスを求めるのに聞かない人の心理と対策

値引き(ディスカウント)

義足と呼ばれることもあります。

この仕事やってみたら?これをしてみたら?と伝えても「~だから出来ません」と言い、自分の価値をあえて落とす返しをします。そうすることで相手からの「いやいやそんな事ないよ。あなたならやれるよ。」という言葉を引き出します。

自分をディスカウントすると、そんな事ないよと言ってもらえる、構ってもらえるという思いが無意識にあります。

愛情確認のために使われる事も多く、弱い自分を演じるとかまってもらえる、関わってもらえることで承認欲求が満たされます。

私自身過去先輩から、「井上くんなら講師もうやれるよ」と言われた時、自信が無いのもあって「イヤまだ無理です」と返していました。

この時は無意識で「あなたならやれるよ」という言葉を欲しがっていた所もあったと思います。

解決策としては必要以上に下げたあなたではなく、そのままのあなたでOKという関わりと、やるかやらないかを明確に決めることです。

義足を自分から仕掛けていた場合の解決策

義足のコミュニケーションを自分から仕掛けていた場合、まずは仕掛けていることに気付くことが非常に大きな一歩です。気付かないと変えようがないですが、気付けば変えていけます。

その後は、基本的に承認欲求を満たすため(あなたなら大丈夫と言ってほしい)に仕掛ける場合がほとんどですので、自己肯定感を高める、自信をつける(自分が決めたことを達成していく)のが根本的な解決になります。
自己肯定感を高める方法11個の記事もご参考下さい。

また、自分がやりたいことや、決めたことを行動して達成していくと、仕掛ける機会も減ってきます。

キックミー

繰り返し規則違反を犯したり、遅刻常習だったり、失敗を重ねることによって自分から「嫌ってくれ」という態度を取ります。本人にその意識はないけれども、行動は「嫌ってくれ」という行動をとってしまいます。

その理由としては、例えば幼い時に親が充分に甘えさせてくれなかった場合、次の思いが根付く事があります。

  1. 自分には愛される価値がない
  2. そのために嫌われる事を繰り返す
  3. そんな自分に気付いていない

という状況がキックミーです。

これについてはその人の生育歴が関係しています。解決のためには人生脚本の考え方が必要です。

自己肯定感を高めることでクリアにできます。

かまってほしいためにこちらを怒らせる

こちらの関わりを求めてわざと怒られるような事をする人もいます。

お子さんが親御さんが見ているスマホやタブレットを叩き落とすようなケースはわかりやすいですが、大人でも言葉巧みにこちらを怒らせるようなLINEやメールで、関心を引こうとする人もいます。もちろんその人自身は無意識です。

その場合は、なぜそのような行動をとるか?を考えて関わるのがベストです。お子さんであれば甘えたい気持ちを満たす事も大切ですし、大人であれば必要なルールを伝えた上で、そのような関わりには応えないのが適切です。※仕掛ける側の心理としてはイエスバットのゲームと同様の場合があるため。

まとめ|ゲームを仕掛けてくる理由

ゲーム分析の中でも、特に多いコミュニケーションのゲームとして

  • 世話焼き
  • さぁとっちめてやるぞ!
  • 値引き(ディスカウント)
  • キックミー

を紹介しました。

上記のような不快なコミュニケーションを仕掛けてくるのには理由があります。人であれば誰しも持っている欲求、

承認欲求(自分の事を認めて欲しい、認めたい欲求)を満たしたいからこそ

無意識のうちに仕掛けてきています。

承認欲求は人の根源的な欲求です。逆にいえばここが満たされれば、コミュニケーションのゲームでストレスを感じたり、余計な時間や労力を消費することは無くなります。

ゲームを仕掛けてくる相手の心理や状況、承認欲求を満たしたいという相手への理解が進むとそれだけで気持ちがグンと楽になる事も多いです。

参考文献:ゲーム分析

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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

心理カウンセラー、傾聴トレーナー、2004年からプロの心理カウンセラーとして活動し、2013年に独立開業。 詳細なプロフィール

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