自己肯定感とは、自分自身にOKを出せ、様々な自分を受け入れられる感覚の事です。自己肯定感が低いと、「自分はダメだ」と思い続けざるを得なかったり、自分を認められないのでシンプルに生き苦しいです。
自分をなかなか認められないので、同じように他人も認めるのが苦手です。他人を褒めるのが苦手なので、コミュニケーションもうまくいかない事が多いです。また、自信を持てないので漠然とした不安感も強くなります。
詳細:自己肯定感が低いとどうなる?低い人の特徴10パターン
自己肯定感が低い原因を知ることは、自己理解を深めることとイコールで、自己肯定感を高める上でも欠かせません。
自分の過去を見つめ直し、なぜ今の苦しみがあるのかを知ることで、これからの人生を自分で再構築するきっかけになります。
この記事では、自己肯定感が低い原因8つと、幼少期の親との関係、家庭環境の影響が大きい理由を解説します。
自己肯定感が低い原因8つ
これはその人が今まで育ってきた家庭環境、親との関係が大きく影響しています。
親にたっぶりと愛情を注いでもらった子と、親から虐待を受け続けて育った子では、自己肯定感の差はとても大きくなります。
以下の原因が1つだけ当てはまっている場合もあれば、複数の場合もあります。
- 否定されて育った(虐待を受けた)
- 褒められる・認められる機会が少なかった
- 自分で選択する機会が少なかった
- 過保護に育てられた
- 子供時代に甘えられなかった
- 子供時代に親が話をあまり聞いてくれなかった
- 常に親から言い返されていた
- 親のDVまたはモラハラを見て育った
それぞれ詳細を解説します。
1 否定されて育った(虐待を受けた)
実の親から
- 兄弟姉妹とは明らかに差別されていた
- 辛いことがあった時に冷たくあしらわれた
- 新しいことをやろうとしても「無理だ」と言われ続けた
等、否定される機会が多いと自信が持てなくて当然です。
特に親からの虐待は自己否定感に直結します。自分がこの世に生を受けて、初めて出会った人から暴力を振るわれ、存在を否定される訳ですから「生きていて良い」と思えるわけがありません。
2 褒められる・認められる機会が少なかった
また、親は愛情を持っていたとしても、「褒める・認める」機会が少ないと、自己肯定感が育まれにくいです。
例えば私自身、20代半ばまで「自分のことを認めてはいけない」と無意識のうちに思っていました。なのでどれだけ頑張っても、「まだ上がいる」と自分の事を認められなかったり、「恋人がいつまでたっても出来ない自分はダメだ」と何回も思い続けてしまったり、他人の事も褒めれなかったんですね。
この事は私がカウンセラーになった大きな一因なのですが、親は私の事を愛してくれていたと思います。ただ、「褒める」ことはほとんどしなかったんですね。中学のテストで成績が急に伸び、高得点を取った時も「それで満足なんか?」と言われました。
例え否定されなくとも、身近な人に認められない機会が多いとどうしても自己肯定感は低くなります。
3 自分で選択する機会が少なかった
何を食べたいか?飲みたいか?という身近な選択から、どんなクラブに入るのか、進路はどうするのか?など様々な選択の機会があります。
自分で決める機会が多いと、必然的に自分を尊重されている感覚を持てます。これは自己肯定感に直結します。
ところが親が教育のためと、本人の意思を無視して無理やり剣道部等に入れさせたり、親が決めたほうが早いからとレストランで食べたいものや欲しいおやつを選べなかったり、自分で選択する機会が少ないと自己肯定感は低くなります。
4 過保護に育てられた
例えば親が子供に怪我をさせないように、少しでも危険な事をしようとすると止められたり、チャレンジ出来ない環境だと「自分にはこれが出来る」という自信が付きません。
「可愛い子には旅をさせよ」といいますが、過保護に接するという事はある意味、「あなたにはそれが出来ない」という裏返しのメッセージにもなります。
自己肯定感は特に自分が決めた事を達成できると高まっていきますが、過保護に育てられると当然ながら達成感は得られません。
5 子供時代に甘えられなかった
甘えられなかった事情は様々で、お姉ちゃん・お兄ちゃんなんだから我慢しなさいとよく言われたり、親を助ける必要(親のグチを聞かざるを得なかった)があった方もいます。
なぜ幼少期に甘えられないと自己肯定感が低くなるのかというと、親から愛されるためにしっかりしないといけない(良い人でなければならない)、または役に立たなければならないという価値観が無意識に根付くためです。
その結果、大人になってから対人関係で我慢に我慢を重ね、爆発して関係を破綻させてしまったり、常に自分よりも他人を優先し、自分がどう思っているか・どうしたいかが見えなくなる場合があります。
つまり子供時代に甘えられないと、常にしっかりした人(良い人)として振る舞い、そうでない自分を否定する結果になります。自分の思い・本音を抑え込んで言いたいことを言えなかったり、仕事を抱えすぎて過労にもつながります。
6 子供時代に親が話をあまり聞いてくれなかった
どんな話であれ、話をしっかりと聞いてもらえると「わかってもらえた」という感覚が湧きます。何気なく話した事をしっかりと聞いてくれる関わりだったのか、それとも「あんたが悪いからでしょ」と説教されるような関わりが多かったのかでは、当然ながら前者のほうが自己肯定感は高くなります。
日常の何気ない会話だけでなく、何か問題が起きた時に「それが本当なのか?」「なぜそれをしたのか?」と話を聞いたり、こちらを理解してくれる関わりだったのか、それとも問答無用で殴られるだけの関わりだったのかでは、後者の方が自己肯定感は低くなります。
7 常に親から言い返されていた
話を聞いてくれないだけでなく、何を言っても親に言い返される状況だと、我慢しなければならないという価値観が無意識に根付きます。この価値観があると
- 自分の意見を言えず、フラストレーションを溜め込んだ結果爆発させる
- 幼少期から楽しんだ経験がないため、楽しいことがわからない
結果につながり、自己肯定感は低くなります。
8 親のDVまたはモラハラを見て育った
主に父親が母親に対してDV(家庭内暴力)、またはモラハラ(言葉などの精神的な嫌がらせ)をしていたケースです。親から直接虐待を受けていなくとも、これは劣悪な家庭環境といえます。
DVまたはモラハラを見て育つと、子供は自分の感情を抑え込まざるを得ません。
というのも父親に対する怒りや悲しみを感じていても、それを表に出せば、子供はそこで生活できなくなってしまいます。そのため無意識に怒りや憎しみや恨みなどのマイナスの感情を抑え込むクセが付きます。
ある意味その環境で生きるための適応力でもあるのですが、自分でも無意識に身に付けた生き方のため、その家庭環境から抜け出した後もこの生き方を続けてしまいます。
感情は抑え込めば無くなるものではなく、積み重なっていきます。我慢に我慢を重ね、限界を超えたところでその感情を爆発させて人間関係を壊してしまったり、人によっては呼吸や動悸が激しくなる等、自律神経失調症の症状が出ることもあります。
根本的な改善策
上記の場合ネックとなっているのは、育ってきた環境で無意識に身に付いた感じてはいけないという価値観です。
自分自身のマイナスの感情(怒りや悲しみ、憎しみ等)を、無意識に抑え込んでいるのが根本原因ですので、当時の自分自身が感じていたことを振り返り、誰かに聞いてもらったり、アートセラピーなどでそれを表現できれば、その感情はクリアになります。
マイナスの感情を感じる・受け入れるには心のエネルギーを使いますので、できるタイミングとそうでない時もありますが、我慢する・抑え込む生き方から、マイナスの感情を受け入れる生き方にシフトしていけば改善します。
「感じてはいけない」という思考パターンは自分を苦しめるものですが、それまで数十年無意識に続けているため、急にガラッと変えるのは難しいです。
まずは自分が苦しい原因と、その苦しさを生み出している価値観に気付けると、問題改善の大きな一歩に繋がります。
幼少期の親との関係、家庭環境が大きい理由
上記8つの自己肯定感が低い原因は、すべて幼少期の親との関係性です。子供は自分が育つ環境や、関わる人を自分で選べません。また、親に似ようと思わなくても、どうしても似ます。
- 自己肯定感の高い親の元で、愛情をたっぷり注がれて育ってきたか
- 自己肯定感の低い親の元で、認められない、否定される事が多い環境だったか
では、自己肯定感に違いが出て当然です。たとえ親は愛情を持って育てていても、親自体の自己肯定感が低いと、どうしても子供の自己肯定感も低くなりがちです。
三つ子の魂百までと言いますが、特に7才くらいまでに育ってきた家庭環境、親との関係性が大きいです。
TA交流分析を創始したアメリカの心理学者、エリック・バーンによると
人の価値観の基盤は、7歳位までに築かれる
とされています。人は生きるために必要な様々な価値観を身に付けますが、そのベースは幼少期です。
親子はどうしても似るため、親の自己肯定感が低いと、子供は親の価値観を無意識に引き継いで自己肯定感が低くなりがちです。
成人後に影響を強く及ぼすパターン
子供は育つ環境を選べないため、苦しい環境で育つとそこで生きるために必要な価値観が無意識に根付きます。
例1:良い子であるべき
特に長女、長男に多いです。幼少期に親に素直に甘えられていないと、大人になってからも良い人を強く演じ、嫌な仕事や頼み事でも断れなくなり、過労につながります。
また、常に相手を優先するクセによって自分の本音がわからなくなります。
例2:感じてはいけない
DVなどの苦しい環境で無意識に感覚を止める→マイナスの感情を抑え込むクセが継続され、感情のコントロールが苦手になります。
上記のような価値観が大人になってそぐわなくなると、自己肯定感を下げる大きな原因になります。
また、同じような人生の失敗パターンが繰り返される(職場をいつも同じような理由で辞める。恋愛で同じような別れ方を繰り返す)結果にもつながります。
詳細:人生脚本とは|効率的に書き換える方法を心理学を通して解説
人生を自分のものにするために
自己肯定感が低い要因として、親からの関わりはとても大きいです。ただ、親から望む愛情を受けられなかったとしても、自己肯定感は大人になってからも高めることができます。
そのために必要な第一ステップは、自己否定につながる無意識に根付いた価値観を掴むことです。
さまざまなパターンがありますが、無料Ebook|自己肯定感が低い苦しみから抜ける方法には、自己否定につながる価値観で多いパターン7つと心理、克服方法を記載しています。こちらは根本から自己肯定感を高めるのに向いています。
自己肯定感を高める方法11個|心理学で簡単にできますには、手っ取り早く取り組めるものを紹介しています。
また、自己肯定感の向上を目的としたセルフケアカウンセラー通信講座を私自身が作成しております。
自己肯定感が低いのは親のせいだと恨みたくなる思いも出てくると思いますが、自分で自分を育んでいく力が人にはあります。
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動画で学ぶ
動画ではこの記事で紹介しきれなかった内容を解説してます。本文と合わせてご覧頂くと、自己肯定感を高めやすいです。