心理カウンセラー資格の難易度は、大きく次の3つに分類できます。
- 難易度高:心理系大学院卒が必要なタイプ
- 普通:民間のカウンセラースクールで受講し、受験するタイプ
- やさしい:通信講座で学び、受験するタイプ
心理資格は、国家資格から民間資格までの種類が多く、どれを取得すれば良いか迷うところだと思います。
資格によって難易度が違う分、信頼性、仕事の得やすさ、スキルが身に付くかどうか等が大きく変わります。
当サイトでもトータル47種類の心理資格を紹介していますが、この記事ではその中でも認知度が高い資格の難易度と合格率、特徴を紹介します。
難易度だけでなく、各心理資格取得のために必要なこともわかります。
難易度判定のポイント
ランキングの基準は、主に以下の3点から客観的に判定しています。
- 必要な経験(受験資格を満たすまでに必要な事)
- 資格取得にかかる費用(受講料+受験料)
- 取得にかかる期間
合格率を公開している資格は記載していますが、合格率が低い=難易度が高い、合格率が高い=難易度が低いとはいえません。
その理由として、誰でも受験できるタイプは合格率がどうしても低くなりますし、受験資格自体が厳しいタイプ(大学院修了など)は合格率が高くなりやすいためです。合格率は参考程度にとどめておいた方が良いです。
心理資格難易度ランキング1位~10位
ランキング1位が最も難易度が高く、下に行くほど取得しやすいです。
1位から6位までの資格は大学院修了が必須で、期間最短6年、費用最低320万円が必要となり、社会人向けとは言い難いです。7位から社会人が取得しやすい心理資格です。※いずれの資格も履歴書に記載できます。
目次
1位 心理判定員(児童心理司)
難易度 | 非常に高い |
合格率 | 12.5%~16.5% |
期間 | 地方公務員上級に合格するまで |
費用 | 大卒の費用(私立の場合約400万円) |
必要な学歴 | 大卒以上 |
心理判定員は、児童相談所等の公的機関で子供や障害者をサポートするカウンセラーです。
公務員のため、カウンセラーとしての年収はトップクラスで、収入が安定しているという点でおすすめです。特徴として採用される事で初めて「心理判定員」とみなされる任用資格であり、定員自体が決まっているため難易度は非常に高いです。
まずは地方公務員上級(大卒レベル)に合格する必要があり、その際2位、3位の心理資格があると有利です。
2位 公認心理師 国家資格
難易度 | 高い |
合格率 | 平均53.9% |
期間 | 最短6年 |
費用 | 約500万円(国立大卒の場合) |
必要な学歴 | 対応大学院卒 |
2018年9月に初回試験が実施された、比較的新しい心理系の国家資格です。国家資格のため、信頼性も抜群です。
特に病院で心理カウンセラーとして働きたい方は、診療報酬の関係でこの資格が求められます。スクールカウンセラーとして活動したい方も、ほぼ必須です。
難易度が高めの理由として、基本の取得ルートが心理学関係の大学卒業+実務経験2年以上または大学院修了が必要なためです。
現在高校生以下の方であれば公認心理師一択ですが、社会人になってからこの資格を取得するのは、費用面・時間面含めて難易度が高いです。正社員で働きながら取得するのは、基本的に不可能です。
この資格を所持していないと「心理師」と名乗れないですが、「心理カウンセラー」と名乗ることは他の資格でも可能です。
3位 臨床心理士
難易度 | 高い |
合格率 | 平均60% |
期間 | 最短6年 |
費用 | 最安で約320万円 |
必要な学歴 | 指定大学院卒 |
民間の心理資格の中で最も認知度・信頼性が高く、この資格があると病院や学校で活動できる可能性が高まります。
資格取得者数は40,749名(2023年時点)。試験は筆記試験と口述面接のみで、技術試験はありません。
受験資格として4年制大学を卒業(心理学関係以外でもOK)+指定大学院を修了する必要があります。
3位の公認心理師よりも取得難易度が低い理由として、指定大学院が通信課程でも可能な点です。規定の実習時間も公認心理師ほど求められません。
試験の合格率は、ほぼ毎年60%程度。公認心理師とダブルで取得する人もいます。
社会人になってから臨床心理士資格を取得するまでにかかる費用と期間
4位 学校心理士
難易度 | やや高め |
合格率 | 非公開 |
期間 | 最短6年 |
費用 | 大卒費用+89,000円 |
必要な学歴 | 大卒以上 |
子供や学校生活に関わる教師、保護者に対して心理的な支援を行うのが主な役割です。すでに学校で働いている方が、仕事のスキルアップのために取得されるケースが多いです。
マイナーな資格ですが、大学院修了か5年以上の実務経験が求められ、難易度は高めです。少なくとも専門的実務経験が1年以上必要です。
臨床心理士資格よりも、実務経験を重要視している資格です。4,300名が学校心理士として活動してます。(2021年時点)
5位 臨床発達心理士
難易度 | やや高め |
合格率 | 非公開 |
期間 | 最短6年 |
費用 | 最安で約350万円 |
必要な学歴 | 基本対応大学院卒 |
発達心理学をベースに支援活動を行い、ひきこもり、不登校、虐待、自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの問題を専門としています。
社団法人臨床発達心理士認定機構が発行する民間資格です。取得するためには発達心理学に関する大学院を修了するか、4年以上の臨床経験が必要で、ハードルが高いです。試験の合格率は公開されていません。
この資格をご存知の方は多くないと思いますが、取得難易度は高めです。
次の資格から、難易度がぐんと下がります。
6位 キャリアコンサルタント 国家資格
難易度 | 普通 |
合格率 | 平均60% |
期間 | 4~6ヶ月 |
費用 | 約40万円 |
必要な学歴 | 不問 |
キャリアコンサルタントはキャリアカウンセラーと呼ばれる事もあり、意味合いは全く同じです。その名の通りキャリア(経歴)に関するカウンセリングがメインで、相談者が望む仕事に就けるよう、実務的・心理的にサポートします。
ハローワークでの就職支援のイメージが強いですが、生き方やメンタルヘルスに関する悩みも対応分野です。相談者が心の深い部分で求めている事を引き出したり、どうすればそれを実現できるかのサポートも含まれます。
国家資格ですが難易度はそれほど高くなく、終身雇用制が崩れた今の時代にマッチしている資格といえます。教育訓練給付制度を使える方であれば、トータル約15万円で資格取得できます。学歴も不問で半年前後で取得できるため、ハードルも低めです。
7位 認定心理士
難易度 | やさしいが時間とお金が必要 |
合格率 | 試験無し |
期間 | 平均2年(大卒の方) |
費用 | 約26万円(高卒の方は約100万円) |
必要な学歴 | 大卒(学部不問) |
認知度が高めの資格です。取得要件として、大学で規定の単位を取得し、4年制大学を卒業している必要があります。(心理系の学部に限りません)8位との差は、この要件があるためです。
大学の講義を受けて資格取得につなげるタイプのため、社会人が自分を癒やす、コミュニケーション力を高める目的には不向きです。
4年制大卒の人は、放送大学で必要単位を取得しさえすればこの資格を取得できます。認定試験はありませんが、完全に通信で取得できるわけではなく、数回スクーリングの必要があります。
8位 産業カウンセラー、NLPプラクティショナー、その他民間の機関が発行する資格
難易度 | 比較的やさしいが実技試験は努力が必要 |
合格率 | 約70% |
期間 | 半年~1年 |
費用 | 20万円~ |
必要な学歴 | 不問 |
民間のスクールに通学して取得できる心理資格は多数ありますが、難易度に大きな差はありません。いずれも必ずしも大学を卒業している必要はなく、20~40万円程度で取得できます。
実技試験がある資格もありますが、15分程度の傾聴がメインですので、それほど難易度は高くありません。
※メンタルヘルス・マネジメント検定は級により難易度が変わります。
いずれの心理資格も仕事に繋げる事は可能ですが、社会人が自分を癒やしたり、コミュニケーション力アップのために学ぶケースが多いです。
私自身このルートでプロになっていますが、受講開始から仕事を得られるまで2年ほどかかりました。
通信よりも費用は高めですが、少人数制のスクールが多く、実際にカウンセリングの様子を見れたり、人と関わりながら心理について学べるのが大きなメリットです。
9位からは通信で取得できる心理資格です。種類が多く、当サイトでも14個解説していますが、認知度が高めのものを選抜して紹介します。
9位 メンタルケア心理士
難易度 | やさしい |
合格率 | 非公開 |
期間 | 標準4ヶ月 |
費用 | 62,300円(トータル) |
必要な学歴 | 不問 |
メンタルケア心理士は各種精神疾患や、それに使われる薬の効果効能についても学べるのが特徴です。
他の心理資格と比較すると難易度は低いですが、通信で取得できるタイプの中では難易度が高めです。理由は試験が在宅でカンニング可ではなく、CBTというシステム( 全国47都道府県にあるテストセンターのパソコンで受験)で出向いて受験するためです。
その分受講料は高めですが、こころ検定2級も同時に取得できます。
10位 メンタル心理カウンセラー等の通信心理資格
難易度 | やさしい |
合格率 | 非公開 |
期間 | 最短2ヶ月 |
費用 | 34,650円(トータル) |
必要な学歴 | 不問 |
10位は通信で取得できる心理資格です。※通信で取得できる心理資格の難易度の差は、わずかです。
メンタル心理カウンセラー資格は、通信課程で期間約2ヶ月、合計34,650円で取得可能なため取得している人もとても多く、人気の心理資格です。通信ですのでカウンセリングスキルを身に付けたり、仕事に繋げたい方向けとはいえません。
とにかく履歴書に書ける心理資格を、手軽に欲しい方に向いています。テキストもわかりやすく、初めて心理に触れる方向けです。
疑問点を質問した際のサポートの返信も早かったです。自分のペースで手軽に学べるのが通信のメリットです。
同10位 セルフケアカウンセラー資格お勧め
難易度 | やさしい |
合格率 | 非公開 |
期間 | 標準2ヶ月 |
費用 | 31,790円(トータル) |
必要な学歴 | 不問 |
セルフケアカウンセラー通信講座は、世界的に使われているメジャーな心理学を学びながら、自己肯定感を高める・ストレスに強い心を作る事に焦点を当てている講座です。
テキスト主体の学びだと心理学・カウンセリングはどうしてもわかりにくい点がありますが、この講座は動画講義主体の学びでそれをクリアにしています。
テキストメインで学びたい方には不向きで、自分のためにカウンセリングを学びたい方向きです。費用も最安で、通信で学ぶならこの資格をお勧めします。
後悔しない心理資格の選び方
おすすめの選び方は、ご自身の心理資格取得の目的を明確にしておくことです。基本的に
- 病院や学校で働きたい方:難易度ランク上位の資格
- プロになりたい、自分に活かしたい方:民間の通学スクール以上
- 短期間で安く資格取得したい:通信講座
が適切です。詳細は心理カウンセラー資格の選び方をご参照下さい。
FAQ|よくある質問
注意ポイント
意外に思われるかもしれませんが、カウンセラー資格には実技試験があるタイプは非常に少ないです。あっても10~20分程度の傾聴ロールプレイくらいです。
いずれの資格も試験の難易度が非常に高いというよりは、その前の受験資格を満たすハードルのほうが高いです。
また、上位の資格を取得している人が、必ずしもカウンセリングスキルが高いわけではありません。特に2位の公認心理師については国家資格ですが近年できた資格で、2022年までは受験資格の特例(学歴不問で5年間の心理仕事経験があれば受験可でした)を使って取得した方も多いです。
認知度の高い資格は信頼性を生むのは間違い無いです。ただ、いざカウンセリングの現場になると、肩書や大学を卒業しているかどうかが大事なのではなく、スキル+真剣に、親身にかかわってくれるカウンセラーかどうかが大事だと感じます。