私自身大学入学時に強いホームシックになりましたが、非常につらかったです。
当時は道を走っている車を見ると、「飛び込んだら楽になれるな」と思うほどでした。夜は2時間ほどしか眠れず、お腹も常にゆるい状態(回数は1日1回でした)。性欲もピタッと止まり、実家に帰りたくて帰りたくて仕方ありませんでした。
何よりつらかったのは、常に何とかしなければいけないという焦りと、今のままの自分ではダメだという気持ちがあり、何もしていなくても苦しかったことです。
結果として私の場合は約2ヶ月で上記の状態は何事もなかったかのように収まり、大学も辞めずにすんでいます。
この記事では私自身がホームシックになった状況と理由、効果があった対策を紹介します。現在ホームシックの方のお役に立てれれば幸いです。
ホームシックになった状況
当時18才で、それまでは岡山の田舎町で18年間過ごしています。大学入学を期に福岡市に引っ越し。ホームシックになった要因の1つは、環境の大きな変化でした。
環境の変化はストレスの要因
当時の私にとっての始めのストレスは、住む場所の変化です。家の周りは畑と田んぼという実家から、私にとっては大都市の福岡市に引っ越したことによる戸惑いは大きかったです。
1人ぐらしも初めてだったのですが、当時下宿生活で食事は朝晩2食付きでした。夕食の量が私にとっては多く、肉食が増えたことも変化の1つです。当時はご飯を残してはならないという思いも強く、少し無理して食べていました。
上記のストレスに加え、ホームシックの1番の要因になったのは実はサークル活動です。
山岳部で死の恐怖を味わう
当時環境保全関係のことを大学でやりたいと思っていた私は、何かその役に立つのではと思い、体育会系の山岳部に入部してます。夏山合宿は1ヶ月ほど北アルプスで過ごし、冬山登山も北アルプス(富山県・長野県)で行う部でしたが、部長は「創立以来死人は出ていない」と言ってました。
しかし実際に入部して岩登り(ロッククライミング)をやってみると、ここで確保を取り忘れていたらヤバいな、ここで落ちたら絶対に助からないなと感じられるシチュエーションが非常に多く、生まれて初めて死を鮮明にイメージしました。
この体験を発端として
という不安感・恐怖感が強く出てきました。
部を辞めることはもちろん考え、1つ上の先輩に相談したのですが人数が少ないサークルということもあり、強く引き止められました。私自身求められると弱い性質もありましたが、部を辞めなかった要因として、ここをクリアできなかったらこの先何もできないのではないか?という思いが非常に強かったためです。
私自身の気持ちとして、山岳部を続けていたら死ぬのではないか?という不安感から、
- 本当に大学を卒業できるんだろうか?
- この先就職できるんだろうか?
- この先結婚できるんだろうか?
という不安感につながり、何もしていなくても常に不安感と焦りがある状態でした。常に緊張状態が続いていたため、夜もなかなか眠れず、睡眠時間は2時間ほど。ただ生きているだけで苦しいという状態でした。
大学自体を辞めて実家に帰りたい気持ちも非常に強かったのですが、辞めたら辞めたでその選択をした自分を好きになれないのは明確でした。
大学を辞めるのは嫌だ(苦しい)、かといって大学生活を続けるのも苦しいというどちらの選択をとっても苦しい状況。その状況で非常に助かったことがあります。
ホームシック解消に効果があった事
話を聞いてくれる友人がいた
これは非常に大きかったです。当時下宿で仲良くなった隣の同級生や、大学の同級生に自分の気持ち(死にたい)を言えていました。
幸い否定されることなく、変なアドバイスをされることもなかったので、自分の状況を知ってくれている人がいるという感覚はとても大きかったです。
当時は心理カウンセリングを全く知らなかったこともあり、学生相談室は使いませんでした。今ならすぐに使っていたと思いますが、大学には併設の心理相談室があることが多いので、辛いときは気軽に使うのが良いです。
不安を消す行動をした
当時の1番の不安は、岩登り中に死ぬのではないかということでした。そのためロープの結び方はもちろん、当時の自分にできるトレーニングも地道にやっていました。
やってすぐに不安が完全に無くなるという事はないのですが、やらない限り不安は消えません。受験勉強終了時よりも徐々に体力がついていった(ランニングのタイムが目に見えて上がった)のも大きかったです。
一時的に逃げた
入学から1ヶ月ほど経過したゴールデンウィークでは、本当は山岳部で沢登りに行く予定だったんでした。ただ当時トレーニングで急に身体に負荷をかけてしまった私は、足に軽い怪我をしてしまい、結果としてGWは新幹線で実家に帰りました。
実家の庭に入った途端に涙が出たのは今も鮮明も覚えていますが、1回実家に戻り、小休止できたのは大きかったです。
大学生活に慣れた
さすがに2ヶ月も過ごすと慣れました。下宿での食生活、大学での講義、福岡市での生活、サークル活動に慣れたんですね。
これもホームシック克服に大きかったです。当時中国から来ている留学生に、「住めば都といいますから」と言われましたが、何とか慣れました。
改めてホームシックになった要因をピックアップします。
ホームシックになった要因
次の2つが大きいです。
- 環境の大きな変化
- 強い不安・恐怖感とその捉え方
環境の大きな変化
環境の大きな変化があると、どうしても強いストレスを抱えます。
私の場合は入学と引っ越し&1人暮らしでしたが、このストレスがホームシックになる1つのトリガー(引き金)でした。
強い不安・恐怖感とその捉え方
続いて私の場合は、山岳部で死ぬのではないか?という不安感から、大学を卒業できるだろうか?という様々な不安感に派生しています。
不安が不安をよび、負のループに陥っていました。これは当時それほど強い不安感・恐怖感を抱えたことがなく、その感情をどう取り扱ったらよいか身体になじんでいなかったのが大きいです。
結果として不安・恐怖感を何とかしなければという意識が働き、それがさらなる不安を作って眠れない状況になっていました。
※この仕組みと克服方法は森田療法とは|不安や恐怖に囚われた状態から抜け出す心理療法をご参照下さい。
大学を辞めるべきかどうか
私自身大学を辞めたい気持ちが非常に強かったですが、その理由はホームシックのためでした。辞めた後のことを想像すると、たとえ辞めても自分にとって良い未来は見えなかったんですね。結果として私の場合は辞めなくて良かったと思っています。
ただし、大学を辞めたい理由がホームシックではなく、学ぶ内容や意味なのであれば必ずしも辞めないことが良い選択ではないと思います。
肉体的にも精神的にも辛い状況だと、人は冷静に判断ができなくなってしまいます。大学を辞めるか、続けるかの判断は、ホームシックがよくなった後で落ち着いて考えて決めるのが1番良いです。
友達や知り合いがいなくて辞めたい場合
私の場合は下宿に入り、同じ大学の人と非常に話しやすい環境で、友人知人をつくるのはそれほど苦労しなかったのですが、友人がいないので大学を辞めるのは惜しい感じもします。
- サークルに入る(途中からでも歓迎してくれる所はあります)
- 大学で同級生に勇気をもって声をかける
- 生活になれたら軽くバイトをしてみる
(仕事上の必要な会話が生まれるのでお勧めです)
などをやってみるのをお勧めします。
友人作りで何を話してよいかわからない方は、質問技法とは|傾聴・カウンセリングでの質問の仕方の記事をご参照下さい。
ホームシックの経験が自信になる
私自身自殺を考えるくらい強いホームシックを経験したことで、どこでも生きていけるなという自信がつきました。あれ以降様々な場所に引っ越していますが、ホームシックは2度と出ていません。
ホームシックをクリアにできた1番の要因は、不安や怖さを排除しようとするのではなく、それを受け止める、抱える生き方が身に付いたからではないかと感じます。
今では実家で過ごすより、街での生活の方が居心地が良いです。
ホームシックは非常につらいですが、3ヶ月以上続いている人の話は聞きません。この記事で少しでも気持ちが楽になれば幸いです。