セルフメンタルケア

できない理由ばかり探してしまう3つの心理と対策

できる理由より、できない理由ばかり探してしまう人がいます。

接する側としては、時間を使って会話しても物事が前に進まないため、対応に困ります。

言う側としても、本当はやりたい気持ちがあるにも関わらず、ついつい出来ない理由を言ってしまうケースもあります。

出来ない理由ばかり言う人の心理を知り、他者理解を深めることで、その人との関わりがストレスにならなくなります。

出来ない理由を言われる会話には大きく3つのパターンがあります。この記事ではその詳細と対策を心理学的な観点から解説します。

こちらから依頼後、出来ない理由を言われるパターン

こちらから見ると明らかにその人に出来そうなことを依頼、提案しても、何らかの出来ない理由を言われるパターンで、特に仕事関係で多いです。

簡単な事をやって下さいと伝えても、

自分には無理です。

必要以上に自分の価値を落とす形で出来ない理由を言われます。謙遜ではなく、自分を卑下している印象を受けます。

出来ない理由を言う心理

この場合、

そんなことないよ。あなたなら出来るよ!

という言葉を言って欲しいがためです。もちろん無意識でやっており、承認欲求を満たしたいために自分の価値をあえて落としています。

弱い自分、出来ない自分を演じることで関わってもらえ、あなたなら大丈夫!と言ってもらえることで自己肯定感が満たされます。

心理学ではこのようなコミュニケーションを義足(ディスカウント)とよんでいます。

対策としては、相手にやるかやらないかを明確に決めてもらうことです。

詳細:ゲーム分析|ディスカウント

相談を持ちかけられるパターン

相手から何らかの相談を受けたため、こちらからアドバイス・提案をしても、

~だから難しい。~だから出来ない

と言われ、別のアドバイスをしてもまた上記のように何らかの理由をつけてやらないパターンです。

上記の流れが延々とループするため、時間と労力は使うけれど何の生産性もありません。

出来ない理由を言う心理

この場合、出来ない理由を言い、アドバイスを受けて会話が続くことで

  • かまってもらえる
  • 相手の時間を奪い、無力感を味あわせてやった

という無意識下にある欲求が満たせます。

心理学では、上記のような会話はイエスバットと呼ばれています。心理学的にも確立されているくらい、多くの人が無意識にやってしまう不快なコミュニケーションパターンの1つです。

対策としてはアドバイスするのではなく、受け止めながら聞くのが適切です。

詳細:イエスバット|アドバイスを求めるのに聞かない人の心理と対策

自分自身が出来ない理由を言ってしまうパターン

本当はやりたい気持ちがあるにも関わらず、ついつい出来ない理由を言ってしまうケースもあります。

本音と現実でギャップがあるため、悩みになります。

この場合まず、幼い時から親や身近な人に

あなたには出来ない。無理だ。やれっこない。あなたはダメね。

等の言葉を言われ続けていなかったかどうか振り返ってみて下さい。

人は特に身近な人、大切な人から「あなたには出来ない。止めておいた方が良い。」等と言われると、本当にそうなのかと感じやすいです。

特に子供にとっては親がいないと生きていけないため、親の存在は非常に大きいです。

何かに挑戦して新しい事が出来るようになるよりも、行動せずに失敗しない自分の方が親は求めているんだなと感じられると、成功してはいけないという思いが無意識に根付きます。これは心理学的にも人生脚本と呼ばれ、確立されています。

こうなると必然的に、出来る理由よりも出来ない理由ばかり探してしまいます。

自分から出来ない理由を言う時の対策

今まで何かにチャレンジしたり、達成することが喜ばれる環境ではなかったと思います。親に対する恨みや怒りもあると思いますが、その感情が強い場合、やりたい事の方に向けるエネルギーがどうしてもそちらに削がれます。

この場合、「あなたには出来ない」と言った親の背景を理解しておくと、そこから抜けやすいです。

親自身も自己肯定感が低く、祖父母からそう言われていたのかもしれません。また、あなたを心配する気持ちが強く、失敗して欲しくない思いから上記のように言っていたのかもしれません。

あなたが出来る理由よりも出来ない理由ばかり探してしまうのは、まぎれもなく親のせいです。

ただし人は大人になってからも、自分で自分を育んでいくことができます。自信をつけるには行動するしかありません。行動するためには大きな目標よりも、小さな目標の方がハードルが低く、行動を起こしやすいです。

行動しやすい目標の作り方は、行動療法という心理学ではサブゴール方法(シェイピング法)として確立されています。わかりやすく解説します。

行動しやすい目標の作り方|シェイピング法

作り方はシンプルで、ステップ状の目標を作っていきます。

例えば10分間のカウンセリング(傾聴)が出来るようになることを最終ゴールに設定すると、次のように目標を細分化できます。

大目標作成時のサブゴールの例

左が大目標で、右にいくほど大目標よりも容易な小目標になります。もちろん取り組むのは、一番右のかんたんな目標からです。

大きな目標だけだと、それが出来るようになるまで時間がかかります。2年、3年とまだ出来ない自分のままです

ステップ状の目標を作るメリットは、大きな目標だけのときよりも、ステップ状の目標を見ただけでやれるんじゃないか?と感じられる点です。

そして小さなゴールのために行動しやすく、行動した結果として達成感、出来た自分を積み重ねていくことができます。

まとめ

今まで親からあなたには出来ないと言われ続けた人は、大人になってから他人に「出来ない理由よりも出来る理由を見つけろ」と言われてもなかなかピンとこないと思います。

特に現実と理想の差が大きい時は、行動するのが怖い、失敗するのが怖い気持ちも出てきます。

そんな時は↑で紹介したサブゴール法を使い、現実と理想の差を少なくし、行動のハードルを下げてみて下さい

行動して失敗した時は、上手くいかないやり方がわかったともいえます。

出来ない理由を考えている時、その自分自身に気付けると非常に大きいです。気付けば変えられる大きな一歩になります。


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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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