カウンセリングは基本的に癒やされたり、自分の事を好きになれたり、心の問題を解決出来るものですが、時に余計に調子が悪くなる事があります。その理由としては次の3つです。
- 自分の気持ちに向き合うのが苦しい
- カウンセラーの相談者に対する理解が浅い
- カウンセリングが的外れで疲れる
この記事では上記それぞれの詳細と、カウンセリング後に落ち込む場合の対処法を解説します。まずはカウンセリングに限らず誰でも疲れるケースを紹介します。
カウンセリングに限らず疲れるケース
これは基本誰にでも当てはまることですが、初対面の相手や初めての場所だと、どうしても疲れます。
どんな人かも、どんな場所かもわからないと、どうしても緊張感が強くなりますし、神経を使いますのでその分疲れます。
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1 自分の気持ちに向き合うのが苦しい
カウンセリングで調子が悪くなる理由として最も多いのがこれです。
「受ける毎に精神状態が悪くなる」と感じられる場合、言葉を変えると
という事でもあります。実はこれはカウンセリングが着実に進んでいる証拠でもあるんですね。
その時は抑えざるを得なかった怒りや憎しみ、苦しさや悲しさを、カウンセリングという安全な場で今振り返って思い起こすと、どうしてもしんどいです。
しんどいですが、ある意味自分の感覚を取り戻しているともいえます。
マイナスの感情は、溜め込むとうつや自律神経失調症にも繋がります。感じるのは苦しいですが、会話等で出せば浄化されてクリアになります。
自分の感情に触れる事にも段階や慣れがあります
カウンセリングで徐々に自分の感覚が戻ってきても、それを感じてはいけないと無意識のうちに強く思っているケースもあります。その場合どうしても時間がかかりますし、その過程で苦しさや葛藤もあります。
例えば、私自身カウンセリング講座の講師トレーニングを受けていた時に、過呼吸が出たことがあります。
なぜ過呼吸が出たのかというと、私の場合は過去の体験で無意識の内に「怖さ」を抑え込む心の癖がついていたんですね。
本音としては「人前で話すのが怖い」、「自分を変えるのが怖い」という思いがあったのですが、それを無意識のうちに無理やり押さえ込んでいたんですね。その弊害が、過呼吸となって身体に現れていました。
これをクリアにするためには、怖さを感じている自分を受け入れていくしかないのですが、自分の感情に触れる事にも段階や慣れがあります。
カウンセリングが進む毎に、その時に抑えていたマイナスの感情が浮き上がってくると、精神状態が悪くなると感じられます。
その段階がクリアになれば、怖さやマイナスの感情を感じている自分も許容出来るようになり、自己肯定感も高まっていきます。
とはいえ、マイナスの感情(嫌な気持ち)を思い起こすのは、実は心の体力をかなり使います。やれる時期とそうでない時期もあります。思い起こすと心が壊れそうになる体験をされている方もいると思いますので、出せないのであれば無理に出す必要はありません。そんな時はしっかりと眠って、食べて、身体を整えるのが第一です。
訓練を積んだカウンセラーであれば、そんな状態もしっかりと見極めてくれ、安眠・リラックス出来る自律訓練法を行う場合もあります。
特にトラウマ(精神的ショック)が強い方の場合
例えば子供の頃に母親から愛されなかった悲しさが心の深い部分にあっても、それを押さえ込み、見ないようにして生活する事もできます。
カウンセラーがそういったトラウマを思い起こさせようとするのは、トラウマを見つめることで自分の中に無意識のうちに根付いていた心のクセに気付け、問題が改善できるケースが多々あるためです。
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ただし、今まで見ないようにしていた「愛されなかった自分」をどうしても受け止められない、それを見ようとすると、今の自分が保てないくらい苦しいというケースもあります。
そんな場合は、「過去の苦しい体験を思い起こす精神分析的なカウンセリング」よりも、「今の生活で接している人、関係を深めたい人からどうすれば愛されるようになるか?」を考えて、幼い時に得られなかった愛情不足を解消していくほうが効果的です。こちらなら苦しくありません。
「苦しさを思い起こす精神分析的なカウンセリング」は、効果的な場合とそうでない場合があります。ですので、カウンセリングを受けていて苦しくなったら、是非それをストレートに担当のカウンセラーに伝えてみて下さい。
「自分の気持ちに向き合うのが苦しい」という理由以外にも、次のような場合にカウンセリングが苦しく感じられます。
2 カウンセラーの相談者に対する理解が浅い
こちらに対する理解が浅いと、今の自分の状態にそぐわない課題をカウンセラーから出されます。
例えばひきこもり状態で、最終的にアルバイトに行けるようになりたいという目標をカウンセリングで立てた時、その人がなぜひきこもりになったのか、今どんな気持ちなのか?をカウンセラーが理解せずに、バイトの面接方法などのレクチャーになると、カウンセリングに行くのが辛くなります。
カウンセラーがゴールを先走ってしまうあまり、ラポール(信頼関係)が出来てないのにも関わらずアドバイス主体のカウンセリングになると苦しいです。
3 カウンセリングが的外れで疲れる
これはカウンセラーが未熟なために起こるケースです。
例えばカウンセリングを受けていて、色々な事を聞かれて話しているうちに、自分の悩みがわからなくなると余計に混乱して整理がつかなくなります。
また、自分の悩みとは的外れで、話したくない事を質問されるのも嫌なものです。
この場合の対処法としては、カウンセラーを変更するのが1番です。カウンセリングの基本は、悩みや状況を明確にして整理する事ですが、それが出来ないカウンセラーに当るとこうなります。
カウンセリング後に落ち込む場合
カウンセリング後に落ち込みがある場合、何らかの課題・テーマに対して取り組んでいるけれども、それが叶わない・前進しない自分に対して落ち込んでいないかどうか確認してみて下さい。
以前の自分よりも変化・前進が感じられれば続けるモチベーションになりますが、カウンセラーから「前よりも出来るようになった点」よりも「これからの課題」ばかり伝え続けられると、それが出来ていない今の自分に対して落ち込みます。
この状態は、ある意味カウンセラーの力不足といえます。
カウンセリングで落ち込むという事は、上手くやれない自分を許容できていない状態ですが、本来それをサポートするのがカウンセラーの役目です。
何らかの希望が見えていれば、落ち込みながら今のカウンセリングを続けるのも有りですが、希望が見えないのであればカウンセラーを変えるのも有りです。
まとめ
カウンセリングで調子が悪くなる最も多い原因としては、自分の気持ちに向き合う苦しさや抵抗感です。
もし、カウンセリングを受けて調子が悪くなれば、是非それを担当のカウンセラーに素直に伝えてみて下さい。きっとカウンセラーはそんなクライアントさんを何人も経験しているはずです。
カウンセリングだけでなく、実際に歩き始めるためには、じっとしている時よりも少しバランスを崩す必要があります。歩く時には片足を宙に浮かせないといけません。
心の問題をクリアにする時にも、これと同じような事が起きるケースがあります。
調子が悪くなったとしても、ある意味正常な反応です。信頼できるカウンセラーであれば、続けてみて下さい。
ただし、カウンセリングの苦しさが強く、それを伝えたのにもかかわらず、過去のトラウマを掘り起こしてくるカウンセラーであれば、そのカウンセラーから一旦離れた方が良いです。
認知行動療法や森田療法などを扱える、精神分析主体ではなく、行動改善が得意なカウンセラーの方があなたに合っています。
カウンセリングは癒やしを感じられたり、自分を好きになれて元気になれるものでもありますが、考えたり泣く行為はとても体力を使いますので、しんどさや疲れを伴う場合もあります。