カウンセリングは基本的に癒やされたり、心の問題を解決出来るものですが、受けた後に落ち込んだり疲れるケースはあります。その理由としては次の6つです。
- 慣れない場所で慣れない会話を行うため
- 自分の気持ちに向き合うのが苦しい
- カウンセラーの相談者に対する理解が浅い
- カウンセリングが的外れで疲れる
- マイナスの感情を感じるには体力を使う
- うまくやれない事にチャレンジしている
それぞれ詳細を解説します。
1 慣れない場所で慣れない会話を行うため
これはカウンセリングに限りませんが、初対面の相手や初めての場所は、どうしても疲れます。
どんな人か、どんな場所かがわからないと、どうしても緊張感が強くなりますし、神経を使うためその分疲れます。
カウンセリングの後に落ち込む理由として最も多いのが次です。
2 自分の気持ちに向き合うのが苦しい
「カウンセリングを受ける毎に精神状態が悪くなる」と感じられる場合、言葉を変えると
という事でもあります。実はこれはカウンセリングが着実に進んでいる証拠でもあります。
その時は抑えざるを得なかった怒りや憎しみ、苦しさや悲しさを、カウンセリングという安全な場で振り返って思い起こすと、どうしてもしんどいです。
しんどいですが、ある意味自分の感覚を取り戻しているともいえます。
マイナスの感情を感じると、どうしても苦しさを伴います。同時に、それを感じたり誰かに話して受け取ってもらう、共感してもらうことでクリアになる一面があります。
カウンセリング後にしんどくなる場合、そのマイナスの感情が出かかっている状態といえます。
溜め込むとうつや自律神経失調症にも繋がります。感じるのは苦しいですが、会話等で出せば浄化されてクリアになります。
カウンセラーに今の状態を話せるかどうか
トレーニングを積んだカウンセラーであれば上記の内容は把握しているため、次のカウンセリングの始めなどに

等と聞いてくれます。
カウンセリング後にしんどくなった場合、それを素直に担当のカウンセラーに話せるかどうかは非常に重要です。
話せないようであればカウンセラーの力量不足が大きいといえますので、他をあたった方が良いです。
特にトラウマ(精神的ショック)が強い方の場合
例えば子供の頃に母親から愛されなかった悲しさが心の深い部分にあっても、それを押さえ込み、見ないようにして生活する事もできます。
カウンセラーがそういったトラウマを思い起こさせようとするのは、トラウマを見つめることで自分の中に無意識のうちに根付いていた心のクセに気付け、問題が改善できるケースが多々あるためです。
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ただし、今まで見ないようにしていた「愛されなかった自分」をどうしても受け止められない、それを見ようとすると、今の自分が保てないくらい苦しいというケースもあります。
そんな場合は、「過去の苦しい体験を思い起こす精神分析的なカウンセリング」よりも、「今の生活で接している人、関係を深めたい人からどうすれば愛されるようになるか?」を考えて、幼い時に得られなかった愛情不足を解消していくほうが効果的です。こちらなら苦しくありません。
「苦しさを思い起こす精神分析的なカウンセリング」は、効果的な場合とそうでない場合があります。ですので、カウンセリングを受けていて苦しくなったら、是非それをストレートに担当のカウンセラーに伝えてみて下さい。
また、次のようにカウンセラーの力量不足が原因の場合もあります。
3 カウンセラーの相談者に対する理解が浅い
こちらに対する理解が浅いと、今の自分の状態にそぐわない課題をカウンセラーから出されます。
例えばひきこもり状態で、最終的にアルバイトに行けるようになりたいという目標をカウンセリングで立てた時、その人がなぜひきこもりになったのか、今どんな気持ちなのか?をカウンセラーが理解せずに、バイトの面接方法などのレクチャーになると、カウンセリングに行くのが辛くなります。
カウンセラーがゴールを先走ってしまうあまり、ラポール(信頼関係)が出来てないのにも関わらず、アドバイス主体のカウンセリングになると苦しいです。
4 カウンセリングが的外れで疲れる
これもカウンセラーが未熟なために起こるケースです。
例えばカウンセリングを受けていて、色々な事を聞かれて話しているうちに、自分の悩みがわからなくなると余計に混乱して整理がつかなくなります。
また、的外れではなくても、今は言いたくないことを何度も聞かれるのも非常に嫌なものです。
この場合の対処法としては、カウンセラーを変更するのが1番です。カウンセリングの基本は、悩みや状況を明確にして整理する事ですが、それが出来ないカウンセラーに当るとこうなります。
次の2つは誰にでも当てはまる内容です。
5 マイナスの感情を感じるには体力を使う
カウンセリングでは、辛い、苦しい、悲しいなどのマイナスの感情を扱うことが多いです。
マイナスの感情を感じる、思い起こすことは、実は心の体力をかなり使うため、シンプルに疲れます。泣いた後に疲れてよく眠れるのはこのためです。
カウンセリング後は自己肯定感が高まることで元気になる場合も多いですが、上記の理由で疲れる性質はどうしてもあります。
6 うまくやれないことにチャレンジしている
カウンセリングで日常生活で行う課題が決まるケースもあります。何らかの課題・テーマに対して取り組み、それをうまくやれないとどうしても落ち込みます。出来ていない自分を見つめざるを得ないためです。
一発で課題がクリアになるケースであれば、前に進んでいる実感を味わえますが、カウンセリングで扱うテーマはすんなり出来ない事も多いです。
特に今までの生き方(価値観)を見つめ直し、ネックとなっている価値観を緩めることが課題だった場合、かんたんには変えられません。数十年無意識に続けてきた生き方を急に変えるのは難しいです。
この場合は、こうなりたいという大目標と今の自分を比較するより、過去の自分と今の自分を比較し、変わった点、出来るようになった点を意識していけば、目標までのモチベーションを保ちやすいです。
まとめ
カウンセリングで調子が悪くなる最も多い原因としては、自分の気持ちに向き合う苦しさや抵抗感です。
もし、カウンセリングを受けて調子が悪くなれば、是非それを担当のカウンセラーに素直に伝えてみて下さい。きっとカウンセラーはそんなクライアントさんを何人も経験しているはずです。
カウンセリングだけでなく、実際に歩き始めるためには、じっとしている時よりも少しバランスを崩す必要があります。歩く時には片足を宙に浮かせないといけません。心の問題をクリアにする時にも、これと同じような状態になります。
カウンセリングは癒やしを感じられたり、自己肯定感が高まって元気になれるものですが、考えたり泣く行為はとても体力を使いますので、しんどさや疲れを伴う場合もあります。