何かを頼まれるのはあなたが頼りにされているからこそですが、相手の頼みを断れずにすべて引き受けていたら、自分が苦しくて悩みになります。
仕事をどんどん頼まれてオーバーワークになったり、グチを延々と聞かされ続けたり、とにかく相手に振り回されてしんどいです。そのため人と関わるのも嫌になってきます。
相手の頼みをなかなか断れないのは、しっかりとした心理学的な理由があります。この記事では解決方法も合わせて紹介します。
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頼みを断れない理由・心理
頼まれたら断れないという状態は、自分優先ではなく、相手優先になっている状態です。
自分が苦しくても頼みを断れないのは、その人に根付いている価値観が大きく影響しています。次のいずれかまたは両方の価値観がネックになっています。
- 役に立たなければならない(役に立たなければ愛されない)
- しっかりしなければならない(良い人であらねばならない)
どちらも自分の思いを抑え、他人を優先する一面があります。
そんな事思ってないよ!と感じられるかもしれませんが、それもそのはずでそう思っている事に気付いていないケースが100%です。無意識のうち根付いています。
良い悪いは別にして、そう思っている事に自分で気付いてないため、頼まれたら断れないパターンが様々な状況、人間関係で何度も繰り返されます。
こういったある意味自分を苦しめる価値観がある理由は、その人が育ってきた環境が大きく影響しています。
断れない性格の原因
次のどちらか、または両方です。
- 幼い時に何らかの理由で親に甘えられなかった
- 親が厳しく何を言っても言い返される環境だった
それぞれ詳細を解説します。
幼い時に何らかの理由で親に甘えられなかった
例えば親のグチの聞き役だったり、兄弟姉妹で差別されて親に甘えにくかったり、親の手伝いをして褒められる事が多かった等です。
何らかの理由で幼い時に甘えられず、親の役に立つことが求められる環境だと、子供ながら親から愛される方法として、
という思いが無意識のうちに根付きます。子供は親からの愛情・保護がないと生きていけないため、この思いは役に立たなければならないという価値観になって身体に染み付きます。
その結果、何かを頼まれると自分が苦しい状況でも断れず、自分よりも相手を優先して無理してでも引き受けてしまいます。
この価値観があるデメリットとして、断れないことに加えて他人を優先し続けるあまり、自分がどう思っているか、どうしたいかがわからなくなる点です。
人生脚本という心理学では、こういった否定的な価値感を禁止令と呼んでいます。
親が厳しく何を言っても言い返される環境だった
子供の言い分を一切聞かない、子供が何を言っても言い返す親御さんがいます。こうなると子供はだんだん自己主張しなくなり、
- 表現しない方が愛されるんだ
- マイナスの思い(つらさ、悲しさ等)を出してはいけない
- しっかりしなければならない、良い人であらねばならない
という思いが根付きます。結果として
- 今は苦しくて引き受けられないと伝えられない
- 苦しくてもそれを抑え込む生き方が染み込んでいる
ため、嫌なことを頼まれても断れなくなります。
子供時代はそうせざるを得なかったのですが、無意識に身に付けた生き方ですので、その後も無意識に継続してしまいます。
つまり子供時代から自己表現できる環境ではなかったため、こうして欲しい、これは止めて欲しいと言うのが苦手で頼まれても断れない状態といえます。
上記のような生き方を続けていると、断れないだけでなく何かがおかしいという感覚・漠然とした不安感が生まれます。具体的な改善方法をを紹介します。
改善方法3ステップ
1 なぜ断れないのかを振り返る
自分が苦しくても頼みを断れないのには理由があります。まずは頼みを断れない理由・心理を振り返って自己理解を深めるのが大切です。ここが悩みの根っこです。
ここを抜きにして自己主張、自己表現のトレーニングをしようとしても、ブレーキをかけながらアクセルを踏んでいるような状態になるため、行動が起こせません。
育ってきた環境を振り返り、ネックとなっている価値観を把握することが大切なステップになります。
2 ネックとなっている価値観を緩める
その上で、今の環境で本当に役に立たなければ愛されないのかを振り返ってみて下さい。
おそらくあなたの周りには、多少のわがまま(残業や頼み事を断る等)を言っても、愛されている人もいるはずです。
もちろんあなたの今までのヘルプ・行動で助かった人も多くいると思います。ただ、相手の頼みを断れなくて自分が苦しくなるのであれば関係性も長続きしませんので、役に立たなければならない思いを、
とあなたも楽になります。何か頼まれてヘルプできそうであればそれも良いですが、自分がそれでしんどいのであれば「~の事情で今はちょっと難しいです」と相手に伝えればOKです。
もしそれで関係性が悪くなるようであれば、あなたの事をあまり考えていない相手ですので、そういう人とは付き合わない方がずっと楽です。
さらに次の方法をやると、もっと楽になります。
3 自分がどう思うか、どうしたいかを大切にする
頼みを断れない人は自分がどうしたいかよりも、相手の思いを優先する行動パターンを長年続けてきています。
あまりにもその期間が長いと、自分がどう思うか、どう感じているか、どうしたいかが見えなくなる、わからなくなる場合があります。カウンセリングに来られる方には比較的多いケースです。
このデメリットは、周りの人は楽ですが本人は漠然とした不安感が大きくなることです。自分自身の方向性や指針が見えない状態ですので、車に例えるとどこに向かって進んでいるのかがよくわからない状態といえます。
これを改善するには、自分がなぜ相手優先の行動を取るかのルーツ(育ってきた家庭環境)を振り返り、自己理解を深めた上で、自分がどう思うか、どうしたいかを日々意識することです。
具体的には何を食べたいか・飲みたいか、休みの時に何をしているのが楽しいか、会話していて思っていることを伝えやすい人から伝える回数を増やすなど、日常の中で出来ることは多いです。
今までの相手の都合を優先するやり方を少し緩めて、
ようにすると、自分がしんどい時には断れるようになります。
FAQ|よくある質問
まとめ
人から頼りにされると嬉しいですし、生きる上で「役に立っているんだなという感覚」はとても大切だと思います。
あなたの今までの行動・ヘルプで助かった人も多いと思いますが、それで相手に依存されたり、あなた自身が苦しくなると、人に会うのも嫌になってきます。
なかなか断れないときは今回紹介した
- なぜ断れないのかを振り返る
- ネックとなっている価値観について考える
- その時に自分がやりたいと思う事を見つめる、大切にする
を意識してみて下さい。
今まで無意識のうちにやってきた生き方ですので、急に変えるのは難しいですが、少しづつ緩められればOKです。