精神保健福祉士とは、主に精神障害者に対する生活面、社会参加するためのサポートをする人の事です。
心理資格ではなく福祉資格で、心理療法を使用したり、心理カウンセリングをするわけではありませんが、心理資格と比較して仕事・求人が圧倒的に多いのが特徴です。国家資格でもありますので、類似する資格として紹介します。
この記事では、社会人が精神保健福祉士を取得する方法を学歴別に解説します。働きながら取得する方法も紹介してます。
社会人になってから精神保健福祉士になるには
- 受験資格を満たす
- 国家試験に合格する(年1回、例年1月か2月)
流れです。厚労省提示の受験資格を満たすためのルートは11通りあります。
ただし、その多くが福祉系の大学を修了するか、1年以上の実務経験(精神障害者の社会復帰に関する相談援助)が必要です。
費用について
資格取得に必要な費用は、受験料、登録料:36,660円+受験資格を満たすまでの学費です。
受験資格の満たし方は、通学の大学、通信の大学、専門学校によって変わります。
高卒の方、実務経験が無く、福祉系の大学を卒業してない方向けの受験資格の満たし方を解説します。
高卒の方|通信制大学を活用
現在高卒の方は、福祉系4年制大学を通信課程で修了すると最短最安で受験資格を満たせます。
働きながら大学を修了できるのも通信制の大きなメリットです。
通信課程といえど、スクーリング(対面での授業)に年10日間程度出席する必要があります。その交通費は自腹ですので、出来るだけ近場の大学が良いです。
合格するかどうか不安と思いますが、実は通信制の大学のほとんどが入学試験はなく、書類選考のため入学は簡単です。
費用について(高卒の方の場合)
通信制大学の学費は通学よりも圧倒的に安く、4年間で約80万円です。
対応している通信制大学は↓から一括で資料請求できますので、比較検討してみて下さい。
福祉系でない4年制大卒の方
次のどちらかの方法で受験資格を満たせます。
- 一般養成施設等(ほぼ専門学校)に1年以上通う。
- 通信課程の福祉系大学に3年次編入し、その大学に2年以上通う。
詳細を解説します。
一般養成施設等(専門学校)に1年以上通うルートと費用
一般養成施設一覧はこちらがわかりやすいです。
日本福祉教育専門学校(東京)の場合
- 通信:529,660円(最短1年7ヶ月)
- 昼間通学:135万円(最短1年間)
- 夜間通学:128万円(最短1年間)
になります。
通信または夜間通学だと、働きながら受験資格を満たせます。
他の専門学校でもほぼ同じ費用で、東京未来大学福祉保育専門学校の場合は
通信で52万円(最短1年6ヶ月)です。
通信課程であってもスクーリング(対面での授業)に10日間程度出席する必要があるので、その交通費もみておくべきです。
通信課程の福祉系大学に3年次編入するルートと費用
費用が安いのがメリットで、聖徳大学(千葉県)だと389,100円で修了できます。
入学試験はなく、書類審査だけなので入学は簡単です。
ただし期間がかかるのがデメリットで、大学修了まで2年かかりますし、精神福祉士の国家試験は年1回、例年1月終わりから2月にかけて実施されているため、資格取得までに時間がかかります。
履歴書には「○○大学福祉学部修了」と書けるので、専門学校より箔がつきます。
通信課程といえど、年10日程度はスクーリングで通う必要があるため出来るだけ近い所が良いです。↓から精神保健福祉士が取得出来る通信課程の大学の資料を一括で請求できますので、是非比較検討してみて下さい。
短期養成施設を利用出来る方
厚労省の受験資格を満たすルートには、「短期養成施設」が出てきます。
短期養成施設とは、定められた福祉系の大学・専門学校の事ですが、こちらに通えれば通信課程で最短9ヶ月で受験資格が満たせます。
ただし、この方法が使えるのは、「社会福祉士登録者、もしくは福祉系短大を修了且つ実務経験1年以上ある方のみ」です。
受験料、登録料など
- 国家試験の受験料:17,610円
- 登録免許税:15,000円+登録手数料:4,050円(合格した場合)
合計36,660円。
合格率、難易度について
合格率は毎回約65%です。
実施 | 合格者数 / 受験者数 | 合格率 |
第23回|2021年 | 3,955人 / 6,165人 | 64.2 % |
第24回|2022年 | 4,267人 / 6,502人 | 65.6% |
第25回|2023年 | 4,996人 / 7,024人 | 71.1% |
引用元:厚労省ページ
難易度は受験資格から判断すると、他の心理資格との比較では普通といえます。心理カウンセラー資格難易度ランキングの5位(臨床発達心理士)と6位(キャリアコンサルタント)の中間程度です。
更新の有無
更新の必要はありません。
精神保健福祉士の仕事内容
シンプルにお伝えすると精神障害者の方の生活面、社会復帰を目指した支援を行います。
精神障害者の入院サポートをはじめ、精神科の入院患者さんが退院後、社会復帰するまでサポートします。そのため病院や障がい者就労支援施設からの求人が多いです。
精神障害者が日常生活訓練を行う施設では、家事や掃除を一緒に行いサポートします。就労支援施設では、作業の指示や指導を通して社会復帰を目指した支援を行います。
つまり、心理カウンセラーのように心の問題解決を会話で行うわけではなく、精神障害者が社会参加出来るようにサポートします。
臨床心理士資格との違い
求人の差
精神保健福祉士だと心理資格よりも圧倒的に仕事が多く、特に正社員の募集が多いです。ハローワークの求人募集では、精神保健福祉士の正社員募集が30あれば、臨床心理士の正社員募集は1くらいの差があります。
年収はほぼ差がなく、どちらも300~400万円程度です。
資格取得のまでの期間と費用の差
精神保健福祉士の方が臨床心理士資格取得よりも期間は短く、費用も安いです。
4年制大卒の方が社会人になってからだと、
臨床心理士資格は最短3年、費用約220万円ですが、
精神保健福祉士資格は、期間1年7ヶ月、約56万円で取得できます。
(両方通信課程を活用。)
資格取得後の更新については、精神保健福祉士は不要ですが、臨床心理士資格は5年毎に更新が必要で、更新を怠ると資格失効します。
資格取得者数の違い
精神保健福祉士の方が倍以上多いです。
精神保健福祉士:102,069人(2022年4月時点)
臨床心理士:40,749人(2023年4月時点)
精神保健福祉士は国家資格であり、臨床心理士は民間資格である点も取得者数の違いに反映されていると思います。
精神保健福祉士が向いている人
精神保健福祉士はその名の通り福祉職であり、心理カウンセラーではありませんが求人の多さが魅力です。
立場の弱い方のサポートをしたい気持ちがあり、男性の方で出来るだけ安定した仕事が欲しい方向けの資格といえます。
心理学・カウンセリングが好きな人は、他の心理資格の方が適切です。