心理カウンセラーとアドバイザー、どちらも「相談者をサポートする」という点では同じです。
「心理カウンセラーはアドバイスをしないんでしょ?」と思われがちです。中には本当に聴くだけのカウンセラーもいますが、問題解決のために必要なアドバイスや、具体的に行動したほうが良いことはカウンセラーも提案します。ですので、アドバイスをするかしないかは、両者の違いにはなりません。
心理カウンセラーとアドバイザーの1番の違いは、心理カウンセラーは心の問題の根本解決を目的とし、そのために相談者の状況やつらい事をしっりと聴く点です。
しっかりと聴くのは、表に出ている心の問題の根は、本人が意識してない(意識出来ていない)事も多いからです。その場合、一見気になっている事に対してアドバイスをしても、心に違和感があったり、「何かが違う」という感覚になり、実行に繋がりません。
両者の違いとして次のポイントがあります。
- 辛いことやひっかかっている事にフォーカスを当てるかそうでないか
- 癒やしが必要な場合は、その提供を目的としているか、していないか
- 心の問題を専門に扱うか、そうでないか
具体的に両者の違いを解説します。
会話の目的の違いと両者の関わり方
心理カウンセラーの関わり方
特徴として、心の問題解決のためにしっかりと傾聴します。緊張感があると本音を出せなくなってしまうので、相手の方に安心してリラックスして会話してもらうために、受け入れられていると感じられる笑顔や態度でかかわります。また、相談者が言った事をオウム返ししたり、気持ちを汲む言葉を伝えたり、状況を客観的に把握する質問もします。
心理カウンセラーのしっかりとした傾聴があることで、「わかってもらえた」、「癒やされた」と感じられて気持ちが楽になったり、自分自身を客観的に見つめていくことにも繋がります。(悩んでいる時は、自分自身を客観的に捉えることは難しいです。)
結果、心理カウンセラーと会話することで、自分の方向性や本当に求めていた事を自分で見つけられることがあります。
時には今の生きづらさや、ストレスの強さを生み出している生育歴(どんな家庭環境で育ってきたか、父や母との関係など)を聴くことで、これからの人生を楽に生きる力が身に付くようにサポートすることもあります。
アドバイザーの関わり方
アドバイザーに求められるのは、癒やしではなく、的確なアドバイスです。そのため、相談者に安心してもらったりリラックスしてもらうことはカウンセラーほど重要ではないため、カウンセラーのような受容的な傾聴はやりませんし、生育歴を聴くこともありません。
基本的にアドバイスを求めている人が、「今の気持ちを楽にしたい」とは考えていないので、必要なアドバイスをします。会社の経営をサポートするコンサルタントは、アドバイザーともいえます。
両者の対応の違いの例
例として「将来が不安なので何とかしたい。独立して雑貨屋を開きたいと思っている」という相談を受けたとします。
心理カウンセラーの対応
心理カウンセラーであれば、まず状況を丁寧に聴き、基本的に1番ひっかかっている事や辛い事にフォーカスを当てながら質問を進めます。なぜかというと心は奥深いので、今気になっている問題のとっかかりについてだけ会話しても、気持ちがスッキリし切れなかったり根本解決に至らないことがあるからです。
ですので具体的に聴いていくと、始めに相談者が言ってきた内容は、心のモヤモヤのとっかかりとしてあっただけで、本当に求めていた内容とは違うこともよくあります。
アドバイザーの対応
アドバイザーの場合は、雑貨屋を開きたいと思ったきっかけや、具体的にどんな雑貨屋で、どんな人に来て欲しいと思っているのか等は明確にしますが、その後は雑貨屋を開くために必要・有益なアドバイスをしていきます。辛い事やひっかかっている事にフォーカスを当てた会話はしません。
まとめ
心理カウンセラーは、癒やしや心の問題解決のために会話します。そのために必要なアドバイスもします。
アドバイザーは、目標が明確に定まっている相談者に対し、目標達成のために必要なアドバイスを提供します。