カウンセリングとアドバイスの違いは、アドバイスは状況改善のための提案で、心理カウンセリングは心の問題解決のための会話である点です。
心理カウンセリングは、相談者の話しを聞くこと、問題の本質の分析、状況改善のための情報提供、アドバイスが含まれます。(カウンセラーによっては聞くだけでアドバイス無しの人もいます)
つまり、カウンセリングはアドバイスを含んでいます。
その他の違いとして、以下の3点があります。
- 会話の目的
- 必要な時間の長さ
- 聞き手の関わり方
この記事では両者の違いをわかりやすく解説します。
心理カウンセラーとアドバイザーの違いについても、この記事のカウンセリングを心理カウンセラー、アドバイスをアドバイザーと置き換えて頂ければ掴んで頂けます。
目次
動画では心理カウンセラーとアドバイザーの違いを解説してます
カウンセリングとアドバイスの違い一覧
カウンセリング | アドバイス | |
会話の目的 | 心の問題解決のための会話 | 状況改善の提案 |
必要な時間の長さ | 長め(50分~) | 数分で終わる場合有り |
聞き手の関わり方 | 受容と共感有り | 受容と共感無し |
心理カウンセリングでは、アドバイスと較べて相手の状況を詳しく聴き、その方が本当に求めていることを共に考えます。
アドバイスの場合相談者が求めていることが明確で、そのために必要な提案を行います。
アドバイスにあって心理カウンセリングには無い点
アドバイスの特徴として、心理カウンセリングと比較すると短時間で終わる点です。両者の関係性があれば数分で終わることもあります。
心理カウンセリングの場合状況の整理から行うため、どうしても60分程度かかります。
ただしアドバイスには二面性があり、アドバイスされることで嫌な気持ちになる場合があります。
例えば仕事で失敗して落ち込んでいる時に
等とアドバイスされると、落ち込んでいる状態の自分を否定されている感じがして嫌な気持ちになります。これ以上話をしようとも思えません。
この場合はカウンセリング的なかかわりだと
です。共感して聞くことで気持ちを楽にするサポートをまずは行います。
心理カウンセリングにあってアドバイスには無い点
心理カウンセリングにあってアドバイスに無い点は、受容と共感です。
受容とは、相手の存在そのものを受け止めることで、共感とは相手の気持ちを汲み取って伝えることです。
詳細:受容と共感の違い|受容は聴く側の心構え、共感は聴き方
受容と共感は心理カウンセラーが使う基本的なかかわり方で、相談者側にはマイナスの感情をクリアにできる効果があります。
というのも、人は落ち込んでいたり腹が立っていたり何らかのマイナスの感情が強い時は、心の状態がアドバイスを取り入れるような状況ではないため、適切なアドバイスを言われてもそれを聞き入れることはできません。
相談者がマイナスの感情が強いときには、カウンセリングで使う受容と共感のかかわり方でそれをクリアにする必要があります。
両者の聞き方の違い
心理カウンセリングとアドバイスの最も大きな違いとして、心理カウンセリングでは傾聴技法を使い、会話をしっかり聴きます。
悩みを聞いてすぐにアドバイスすることはなく、具体的に何がつらいのか、状況を明確にしながら、なぜその出来事がその方にとって悩みとなるのか?を共に考えていきます。
共感しながら聞くことで普段の生活で抑え込んでいた思いを吐き出してもらったり、心の問題解決のために生育歴(その方が育ってきた家庭環境)を聞くケースも多いです。
心理カウンセリングで話をしっかりと聞く目的は、相手の方を的確に理解するだけでなく、あなただからこそ話せるという信頼関係(ラポール)を築き、より深い悩みを打ち明けてもらったり、アドバイスを受け入れてもらえる関係性を作るためです。
アドバイスでもある程度は相手の状況を聞くことはありますが、心理カウンセリングほど深掘りして聞くことはありません。これは相談者が求めていることが心理カウンセリングと比較して明確なためです。
カウンセリングはアドバイスを含む
聴くだけでアドバイスしないカウンセリングもありますが、基本的にカウンセリングではアドバイス、情報提供も行います。つまりカウンセリングはアドバイスを含みます。
アドバイスしないカウンセラーは、アドバイスできない、アドバイスの材料となる各種心理学、心理療法を使えないだけです。
詳細:アドバイスしないカウンセラーは非力なので変えた方が良い理由
まとめと両者の性質の違い
カウンセリングは心の問題解決のための会話で、受容と共感があります。
アドバイスは様々な提案をすることで、基本的に聞かれたことに対して返答します。受容と共感はありません。
心理カウンセリングは時間がかかりますが、これはカウンセリングの性質として
- 状況をしっかり聞いて、心の問題の本質を共に考える
- 悩みの根本原因に相談者自身も気付いていないケースがある
ためです。アドバイスは短時間で終わりますが、
- マイナスの感情が強い時は、アドバイスを言われても受け取れない
- 自分のことをわかってもらえていない人からのアドバイスは、今の自分を否定されている気持ちになる
という性質があります。これは自然なことで、自分の事をわかってもらえていない人からのアドバイスは、見当違いで不適切の場合があるためです。