心理カウンセリングを受け、カウンセラーがただ聞くだけで何のアドバイスももらえず、問題解決に至らなかった話はよく聞きます。
確かに傾聴される(話を聞いてもらう)だけで気持ちが楽になったり、聞いてもらうことで相談者自身が今後の方向性に気付けるケースはあります。
しかし心理カウンセラーはアドバイスを全くしないわけではなく、心の問題解決のために必要なアドバイスは行います。聞くだけでアドバイスできないカウンセラーは非力なだけです。
これは私の意見ではなく、心理カウンセリングを行う上で当然のことであり、特にメジャーな認知行動療法(アドバイスや課題の提案有り)は、保険適用の対象にもなっています。
この記事ではアドバイスしないカウンセラーは非力なので変えた方が良い理由を解説します。
アドバイスしないカウンセラーは傾聴しか使えないだけ
ほとんどの心理カウンセラーは、カウンセリングでまず話を聴きます。この聴き方は傾聴といわれており、これだけでわかってもらえたと感じて楽になったり、自己肯定感を高められる場合もあり、高い効果が見込めるのは事実です。
しかしその先の
については、傾聴だけでは問題解決に至らないことも多いです。
カウンセリングでのアドバイス、情報提供、課題の提案などは、ある意味様々な心理学、心理療法を使うことでもあり、カウンセラーによって得手不得手(全く使えない)があるのも事実です。
カウンセリングでのアドバイス具体例
一例として紹介します。
仕事を抱えすぎて断れない
- 現状を詳しく聞く
- なぜ断れないのか、その方の価値観を掴む
- なぜその価値観が根付いたのか、生育歴を聞く
- ネックとなっている価値観を緩めるようアドバイスする
- 楽になるための別のアドバイスをする
(自分がどう思うか、どうしたいかを大切にする)
傾聴に加え、人生脚本という心理学の考え方を使うと上記のようなアドバイスが可能です。
職場での人間関係が辛い、人からどう思われるか常に気になる
- 現状の職場での人間関係を詳しく聞く
- この思考パターンが根付いた理由を掴む
- 出来ない事と出来る事は分けるようアドバイスする
- 人からどう思われるかは自分ではどうにもできないので、気になりだしたら本来の目的(目の前の仕事)に意識を向けるようアドバイスする
上記は傾聴に加え、森田療法の考え方(気分本位ではなく目的本位で行動する)を使っています。
カウンセリングでアドバイスするタイミングについて
どんなカウンセリングでも、まずは話を聞いて状況を整理します。
相談者のことを理解できていない、信頼関係(ラポール)が築けていない段階ではアドバイスしません。
この段階でアドバイスされると、いくらそのアドバイスが適切であっても、自分のことをわかってもらえていないと感じられる人からのアドバイスは、今の自分を否定されている気持ちになるためです。
また、カウンセリングの主訴(相談者の1番始めの訴え)と、その方が本当に求めている事と違うケースも多いです。例えば
という相談でカウンセリングに来られた場合、すぐに具体的なアドバイスはしません。まずはその彼と今どのように接しているかなど、状況を詳しく聴き、なぜその出来事がその人にとって悩みとなるのか?を共に考えます。
その方の心の問題の根本原因を考えるには、まずは状況をしっかり聞いて客観的に判断する必要があります。
そのため心理カウンセリングでは、相談者が始めに言われた悩みに対して、すぐにアドバイスはしません。
アドバイスしないのはカウンセラーの責任逃れ
カウンセラーがアドバイスし、そのアドバイスを相談者が実行してうまくいかなかった場合、その問題が解決しない責任はカウンセラーにあるといえます。
私自身としては、アドバイスしないカウンセラーは、ただ単にこの責任から逃れているだけに感じられます。
相談者がカウンセラーのアドバイスを実行できない事も多々ありますが、実行しようとしてみてどうだったか?を聞き、そこから問題解決につなげるスキルが無いだけです。
アドバイスしない(できない)カウンセラーは責任逃れだけでなく、アドバイスするための材料として各種心理学、心理療法を使えないだけの未熟なカウンセラーです。
たとえ不登校を扱うスクールカウンセラーでも、箱庭療法、絵画療法、親子間の会話での傾聴アドバイス、不登校解決のためのスモールステップの提案など聞くだけでなくカウンセラーからの様々な提案が可能です。
大事なことなので繰り返しになりますが、アドバイスしないカウンセラーは非力なだけです。アドバイスや情報提供を受けないと解決しない心の問題や悩みは、多々あります。傾聴で問題解決しないのであれば時間と労力の無駄ですので、今すぐ他を当たるのをおすすめします。