セルフメンタルケア

被害者意識が強い心理と原因、手放す方法4ステップ

被害者意識が強いということは、他者への怒りや恨みを持ち続けることでもあるため、非常にエネルギーを使います。

また、他者への怒りや恨みを持ち続ける罪悪感も同時に生まれ、自分で自分を責めて辛くなりがちです。

被害者意識が強い理由はシンプルで、無意識に我慢してしまう(耐えてしまう)クセがあるためです。自分が言いたい事や、やりたい事を抑え込み続け、必要以上に耐える傾向があるため、必然的に被害者意識が生まれます。

この記事ではその理由を心理学的な観点から解説し、手放す方法と合わせて被害者意識が強い人への接し方を紹介します。

被害者意識が強い末路は自己否定の連続

被害者意識とは、文字通り自分が誰かから何らかの害を受けたという意識です。例えば

  • 常に親の言う通りにさせられ、自分では進路も何も選べなかった
  • 人にウソをつかれて騙された
  • 仕事を円滑に回すために無理をせざるを得なかった

等、誰かに対する怒りや恨みが付きまといます。

上記のような出来事が悩みになるのは、そうでない人と比較して無意識に我慢する傾向があるためです。自分を抑えた結果として出てくる怒りや恨み等の感情は、我慢すれば一時的に抑えることはできますが、決して無くなるわけではなく、心に積み重なります

耐えに耐えて我慢の限界に達すると、感情を爆発させてしまったり、我慢ができなくなって大切な人と離れるということが繰り返されます。つまり

  1. 人間関係で無意識に耐えてしまう
  2. 我慢が積み重なる
  3. 我慢の限界に達すると、その人との関係性を破断させる

ということが人生で何度も繰り返されます。仕事でも恋愛でも同様です。そしてそれが繰り返される度に、我慢できなかった自分はダメだという自己否定感に苦しむ結果になってしまいます。

このような結果が繰り返される理由を解説します。

被害者意識が強い心理と原因

様々な状況で、自分でも無意識に我慢してしまうのが問題の根本原因です。その理由として、被害者意識が強い方は育ってきた家庭環境を1度振り返ってみて下さい。親や兄弟との関係で

  • 耐えなければならない
  • 我慢しなければならない

状況が何度も繰り返された場合、我慢する生き方がどうしても心に馴染んでいきます。

  • 母(父)の思う通りにしないと生きていけなかった
  • 兄弟姉妹からいじめられていたが、耐えるしかなかった

状況で過ごし、ある意味自分を犠牲にすることで家族が成り立つケースがあります。

成長して家族から離れた後も、我慢する生き方は無意識に継続されます。嫌な状況でも耐えることがクセになっているため、自分を犠牲にしたという被害者意識がどうしても生まれます。

関連記事:人生脚本(脚本分析)とは|無意識に繰り返してしまう人生の嫌なパターン

被害者意識をなくす方法4ステップ

ここまで読まれた方は、これを克服する方法のイメージがつきやすいと思います。

私が心理カウンセリングを行っている時の流れを紹介します。

  1. 被害を受けている状況を振り返る
  2. その時の感情(本音)を振り返る
  3. 被害者意識の元になっている価値観を掴む
  4. 嫌なことを明確にし、そこから逃げる

それぞれ詳細を解説します。

1 被害を受けている状況を振り返る

自分自身が被害を受けたと感じることで、最近でも過去でも思い出しやすい、印象に残っていることでOKです。

どんな状況で、誰からの攻撃で、どんな言葉を言われたのかを振り返ります。これを行うことで今つらいこと(被害を受けていること)を明確にします。

2 その時の感情(本音)を振り返る

被害者意識が強い方は、無意識に我慢して本音を抑え込むクセがあるため、その状況でどんな気持ちだったか?を振り返ります。

上記の被害を受けている状況でどんな気持ちだったか、きつい事や理不尽な事を言われたのであれば、そう言われてその時はどう対応したのか、本当はどう言いたかったのか等、自分の本音を見つめることで我慢を緩めていきます。

今まで様々な状況で我慢するのが当然になっていると、自分がどう思っているか、どうしたいかがよくわからなくなるケースは多々あります。

ここについてはハッキリ言うと1人ではやりにくいです。難しい方は私自身オンラインカウンセリングを実施しておりますので、ご活用下さい。

3 被害者意識の元になっている価値観を掴む

大切なことなので何度も書きますが、被害者意識の元になっているのは、我慢しなければならない(耐えなければならない)という価値観が無意識に根付いているからこそです。

この価値観が根付いた理由の大部分は、その方が育ってきた家庭環境です。TA交流分析を創始したエリック・バーンによると、

人の価値観の基盤は、7歳位までに築かれる

とされています。あなたが悪いわけではなく、育ってきた環境でそう思わざるを得なかったためです。そう思わないと生きていけない環境だったため、無意識に根付いていて自分でもこの価値観を自覚していません。

この価値観に気付くのが非常に大きな一歩で、気付けるとそれを緩めるきっかけにつなげられます。

と同時にこの価値観のルーツとなる幼い時の家庭環境を振り返り、その当時の本音(親にどう言いたかったか、親からどう接して欲しかったか等)を振り返るのも大切です。

自分がなぜ我慢しやすいのかという自己理解が深まったり、当時の未消化の感情をクリアにできるとこの価値観を緩めやすくなります。

4 嫌なことを明確にし、そこから逃げる

上記に加え、被害を受けているということは、何らかの嫌な状況にいる(いた)ということです。

被害者意識が強い方はどうしても嫌でも耐えてしまうため、そのクセを変えるためにその嫌な状況から出来るだけ離れるようにします。

例えばグチを聞かされ続けるのが嫌であれば、自分のリミットに近づいたところで「今日はこの後用事があるので」等と伝え、そこから離れるようにします。(グチを60分以上聞くのはきついです。)

嫌な状況や嫌な人から離れることができれば、被害者意識は生まれません。ただしここについては抵抗感も強いと思いますので、上記の価値観を緩めた上で、やりやすいところからでOKです。

我慢するのは今まで数十年続けてきた生き方でもあるため、急には変えられないものです。自分自身が苦しい時はそこから離れたり、断る行動パターンを加え、少しづつ緩められればOKです。

被害者意識が強い人への対応方法

被害者意識が強い人との接し方ですが、まずはこの記事を上から読んでその人がなぜそうなるのか?の理解を深めて差し上げて下さい。

その上で我慢しやすい傾向があることに理解を示し、できるだけ共感しながら話を聞き、わかってもらえているという信頼関係を築くのがまずは大切です。
関連:共感の言葉の使い方 |相手の気持ちを汲む方法

というのも、被害者意識が強い方は我慢しやすいため、自分のことをわかってくれる人が欲しいと本音では感じているためです。

さらに可能であれば、一緒に楽しい時間を過ごすようにできればベターです。これは被害者意識が強いと幼少期から耐え続けてきているため、今まで楽しいと感じられる経験がほぼ無いためです。
関連:楽しいことがわからない原因、心理と対処法5ステップ

ただし楽しい時間を過ごすのは、しっかり共感した後です。でないと「自分はこれだけ被害を受けているのに、何かを楽しめる状況じゃない!」となります。

まとめ

被害者意識が強いと、自分にも他人にも厳しくなりがちでリラックスするのも苦手です。

今まであなた自身が我慢することで助かった人も多いと思いますが、我慢には限界があります。

我慢を溜め込んで大切な人間関係を破綻させないためにも、ご自身の本音を是非大切にして差し上げて下さい。


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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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