心理学検定とは、一般社団法人日本心理学諸学会連合が実施している検定試験です。誰でも受験することができ、
大学卒業レベルの心理学の基礎知識・能力の客観的到達度を認定するもの
とされています。
この記事では、心理学検定の概要と特徴、難易度、こころ検定との違いを解説します。
心理学検定の概要と特徴
心理学検定は2級、1級、特1級と段階があり、2級は個人で受けると受験料7,700円(税込)で、受験自体のハードルは非常に低いです。
- 試験対策は公式問題集+基本キーワード集(2冊で4,400円)で独学
- 試験は年1回(例年8月後半)のみで4択のマークシート
- 試験会場は全国14都市で開催(北は札幌から南は沖縄まで)
となっており、2級取得にかかる費用は合計12,100円+交通費で安いです。
最上位の特1級を取得すると
- 目白大学の大学院入試で小論文試験が免除
- 福山大学の大学院入試で専門科目の試験が免除
というメリットがあります。
検定試験は2007年に第1回試験が実施されており、10年以上の歴史があります。
各級取得の流れ
同学会で定められている心理学の科目毎に合格するシステムで、合格の科目数に比例して級が上がります。所定の心理学の10科目は↓です。
「原理・研究法・歴史」、「学習・認知・知覚」、「発達・教育」、「社会・感情・性格」、「臨床・障害」
「神経・生理」、「統計・測定・評価」、「産業・組織」、「健康・福祉」、「犯罪・非行」
- 心理学検定2級:A領域の2科目を含む合計3科目に合格
- 心理学検定1級:A領域の4科目を含む合計6科目に合格
- 心理学検定特1級:A、B領域の10科目すべてに合格
試験は各科目20問で、4択問題です。
費用について
2級=7,700円 (3科目受験料、税込)
1級=7,700円 (6科目受験料、税込)
特1級=12,100円 (8科目受験料、税込)
加えて公式問題集+基本キーワード集(2冊で4,400円)が必要です。
合格率、難易度について
合格率は、他の心理資格と比較してかなり低く、難易度については、大学卒業レベルの認定という事もあり、他の通信で取得できる心理資格と比較するとやや高めです。
公式サイトで公表されている第12回心理学検定の合格率は
2級:29.4%
となっています。11回以前も同じ様な合格率です。
合格基準については、公式問題集よると
各項目の合否判定の基準は、約6割の正答率を目安としています。
とあります。
ただし合格率が低い要因として、特に対策講座があるわけではなく、試験は独学で誰でも受験できるのが大きいと思います。
取得にかかる費用も安いため、客観的に見ると、心理カウンセラー資格難易度ランキングの8位と9位の間くらいといえます。
私自身、試験の例題をやってみましたが、カウンセリングや心理学を一切習った事がない人にとっては難しいと感じました。
心理系の資格を出来るだけ簡単に取得したい方は、メンタル心理カウンセラー資格の方が向いています。こちらだと通信で2ヶ月程度で取得できます。
更新の有無
すべての級で更新の必要はありません。
こころ検定との違い
こころ検定と心理学検定、確かに名前が似通っていますが、主催団体はそれぞれ別です。
検定試験という点と、受験費用、会場に出向いて受験する点はどちらも似ていますが、その他かなりの点が違います。
こころ検定は一般の方向けで4級から受験でき、心理学検定と比較すると敷居は低めです。
心理学検定はすでに心理系の大学に通っていて力試しをしたい方向け、大学レベルの学びの証が欲しい方向けです。
その他の違いを解説します。
勉強方法の違い
心理学検定は公式テキストを使って完全な独学です。
こころ検定は独学でも受験できますが、2級以降は通信添削での勉強が可能です。(費用はその分かかります)
試験回数の違い
心理学検定は年1回、こころ検定は4~2級だと年5回で、こころ検定の方が多いです。
歴史の違い
心理学検定は2007年から実施、こころ検定は2018年より実施されています。
試験内容の違い
心理学検定はすべての級でマークシートの筆記試験のみです。
こころ検定は4~2級は四者択一の試験ですが、1級のみ学科試験+実技・口述試験があります。
目的の違い
心理学検定
大学卒業レベルの心理学の基礎知識を認定するもの
こころ検定
心理学を一般の人たちの学問として普及させ、日常の生活に役立てる体系づくり
とされています。
仕事の紹介について
どちらも特に仕事の紹介は行われていません。
まとめ
心理学検定は、すでに大学で心理学を学んでいる方向けの検定試験ですが、そうでない場合は例題や公式問題集をやってみて、興味を感じられたら受験するのが良いと思います。
試験対策をすることで心理学の基礎知識は身に付きますが、自分自身の癒やしが得られたり、コミュニケーション力の向上に繋がるタイプの学びではありません。
他の心理資格と比較して、年に1回しか試験が実施されていないのはデメリットですが、誰でも安価で受験できるのは大きなメリットです。