セルフメンタルケア

自分の意見が言えない理由7つと対処法、かかわり方も解説

自分の意見が言えないと、どうしてもストレスを抱えやすいですし、いじめられやすくなります。

欲しい物を欲しいと言えなかったり、やりたいことをやりたいと言うのも苦手なので、他人の顔色を伺ったり、他人に合わせる傾向がどうしても強くなります。

自分の意見を言うのが苦手な場合、

  • 自分の思いを言葉にするのが苦手なケース(意見が思い浮かばない)
  • 意見はあるけれどもそれを人に伝えるのが苦手なケース

に別れます。どちらも言葉を変えると、自己表現が得意ではないといえます。

この記事ではその理由と対処法、自分の意見を言うのが苦手な人への関わり方を解説します。

自分の意見を言えない理由7つ

下記の中の1つだけ該当している場合もあれば、複数該当している場合もあります。

1 そもそも子供や小中学生はまだ自我が弱い

子供や小中学生は、発育途上です。そのため「これが自分なんだ」と思える自我はまだ形成中で、意見を言うための軸が弱いです。ですので自分の意見を言うことは苦手ですし、さみしい、苦しい、不安といった感情を言葉にする事にもまだ慣れていません。

子供は意見を言うのは苦手ですが、嬉しい、楽しいといった感情表現は大人よりも素直です。感情表現が乏しい場合は、次の原因が考えられます。

2 親のしつけが厳しかった

お子さんのしつけは親の役目ですが、子供がはしゃいだり泣いたりした時に常にTPO(時と所と場合)関係なく叱っていると、子供としては

「表現しない事が愛されるんだ」

と無意識で感じてしまいます。そのため自分の意見を言わないだけでなく、無表情で何を考えているかよくわからない子になりやすいです。

3 常に親から言い返されていた

子供時代に親が子の言い分を聞かず、何を言っても親から言い返されるような関わりだと、必然的に子供は自分の意見を言えなくなります。

それでも子は親に愛されようと無意識のうちに努力するため、もっとしっかりしないといけない(良い人であらねばならない)という価値観が根付くことがあります。

こうなると止めてほしい事や、して欲しい事、自分のマイナスの感情等を言いにくくなり、溜め込んだ結果その感情を爆発させて人間関係を悪化させてしまうパターンを繰り返すことになります。

改善方法としては、根本原因の価値観(しっかりしなければならない・良い人であらねばならない)に気付けると大きな一歩です。その上でそれを少し緩めればOKです。(例→良い人であった方が良い)

また、次のような家庭環境が関係しているケースもあります。

4 育ってきた環境で感情を抑えざるを得なかった

例えば幼い時に父親が母親に対して暴力をふるっていたような家庭環境だと、その時に父親に対して怒りや憎しみや悲しさを感じていても、それを口にしたり表に出すと、とてもじゃないですが生活できません。

子供の時は無力なので、我慢してその環境で生活せざるを得ません。そうなると、何とか生き抜くために怒りや苦しさを無意識のうちに抑え込む心のクセを身に付けます。

怒りや苦しさは抑え込めば無くなるものではなく、徐々に蓄積されていきます。

その時期は必要があってそうしたとしても、こういった心のクセは後々心と身体に弊害を及ぼします。もちろん自分の意見が言えない要因にもなります。

ここに思い当たる方は、心理カウンセリングでその時の感情をクリアにしていく方法がお勧めです。

DVなどの暴力はなくとも、育ってきた環境で、自分の思いよりも他人の思いを優先してしまう思考パターンを持っている人も、自分の意見は言いにくいです。
詳細:頼まれたら断れない理由・心理と改善方法3ステップ

5 親が過保護・過干渉だった

これはしつけが厳しいのとは逆に、子供が失敗しないように親が色んな事を先回りして決めたり、お世話していた場合です。

お茶がグラスになくなったら何も言わずに親がお茶をついだり、アレ食べるかコレ食べるかという感じでお世話を焼きすぎていると、子供としては自分からコレが欲しい、こうして欲しいと自分の主張や意見を言う必要がありません

そのため言わなくてもわかるだろうという状態になりやすく、声も小さくなる傾向があります。

6 人に合わせる傾向が強い

心理学・カウンセリングに関心を持たれる方で、周りの人からどう思われるか、嫌われないかが気になって周囲に合わせる人は多いです。自分よりも他人を優先して空気を読みすぎるあまり、自分の意見はおざなりになります。

このタイプの方は、幼い頃から親の顔色を伺う必要性が強かった可能性が高いです。人に合わせられるのは1つの強みですが、過剰になると本人のストレスにもなってしまいます。

対策としては、

  • 他人がどう思うかよりも、自分がどう思うかを大切にする
  • 日常の些細なこと(何を飲むか、食べるか等)を自分で決める
  • 好きだと感じること、やりたいと思ったことを出来るだけ実行にうつす

と良いです。自分自身が浮き上がります

たとえささいな選択であっても、頻繁に行うことで、「自分で環境をコントロールしている」という意識を、意外なほど高めることが出来る。

シーナ・アイエンガー(大学教授)

という言葉もあります。

ちなみにこのタイプの方が、心理テストのTAエゴグラムをやると、AC(自分の中の順応する子供の部分)の要素が必ず高いです。

7 責任を回避したいケース

自分で責任を取りたくないので、自分の意見を言わない、他人に決めてもらいたがるケースもあります。

他人に決めてもらえば失敗しても他人の責任にできますが、自分で決めたら自分の責任です。

例え自分の意見を言ったり、何かを決断して失敗したとしても、その失敗を次に活かせば経験値になります。

他人任せよりも、自分任せにした方が心は安定します。

続いて自分の意見が出てこない・思いつかない場合の対処法を紹介します。

自分の意見が思いつかない場合の対処法

自分の意見が思いつかないと、友達や職場の人との雑談でさえ強く緊張したり、ストレスになる場合があります。対処法を5つ紹介します。

わからない、思いつかないと伝えるのもOK

自分の意見が出てこない時には、素直に「わからない。ちょっと今は思いつかない」と伝えるのも有りです。

自分をよく見せたい思いが強いと緊張感も強くなりますので、等身大の素直な自分を見せられるようになると前進といえます。

出来事、やった事を話す

自分の考えや意見は出しにくいですが、実際にあなたがやった事や、あった出来事なら話しやすいです。

話すうちに自分の考えが浮いてくることもありますので、話しにくい事を無理に話そうとせず、話せることでOKです。

日記をつける

日記だと落ち着いて自分の考えや気持ちを整理しやすいです。

その日にあった出来事で自分がどう思ったのか、どう感じたのか振り返ってみて下さい。

悔しかった、腹が立った等のマイナスの気持ちでもあなたの意見です。日記をつけると、普段の生活でも常に自分の気持ちを意識しやすくなるのでお勧めです。

好きな事、楽しい事を見つける

漫画でも、ゲームでも、好きな事なら何でもOKです。

それのどんなところが好きなのか、どんなキャラが好きなのか振り返ってみると、自分自身が浮き上がってきます。

カウンセリングを使う

自分の思いや気持ちを言葉では表現できない、しにくい事も多いです。

そんな時はカウンセリングを使うのも1つの方法です。特に箱庭療法や絵画療法などを使えるカウンセラーが良いです。

モノや絵を通して自分の内面を見つめる箱庭療法や絵画療法は、心理学的にも確立されており、心の深い部分を見つめるのに役立ちます。

自分自身の内面が見えてきて、本音の部分でどう思っているのか、どう感じているのかが見えてくると、自分自身が浮き上がって意見を言える事にもつながります。

また、人からどう思われるかが強く気になったり、完璧主義傾向が強いと意見を言いにくい場合もありますので、思い当たる方は↓の記事をチェックしてみて下さい。

自分の意見を言えない人へ関わり方

自分の意見を言って欲しい事を伝える

意見が無い人にイライラしてもどうしようもありませんので、ストレートに何か言って欲しい事を相手に伝えます。

その上で「どうしたい?」「どう思う?」と聞いても「なんでもいい」とか、「別に」という返事がくる場合、次の事を意識してみて下さい。

意見を言いやすい質問をする

例えば女性がデートの場所や食事の場所を全く言ってくれない場合、
「何が食べたい?何かしたい事ある?」
という質問だと少し答えにくいのです。

お相手に好きな食べ物を聞いた上でそれを食べに行かないか提案したり、
「和食とフレンチだったらどっちが良い?」という感じでレストランを2つ3つ提示すると、お相手も返答しやすいです。

「~についてどう思う?」というざっくりとした質問は、相手が自由に答えられる反面、少し答えにくい面があります。

そのため意見を言うのが苦手な方には、「~は好き?嫌い?」のようにハイかイイエで答えられたり、答えが限定されている質問だと答えやすいです。イエス・ノーもその人の立派な意見です。

意見でなくても、その人が言ってくれたことはしっかりと聞く

意見に限らず、人は自分が表現したことについて評価されたり怒られると萎縮して自由に思ったことを話せなくなります。

  • 怒られるのではないか?
  • 否定されるのではないか?

と感じられると話しにくいので、とにかく受け止める姿勢で傾聴します。

何かアドバイスしたい気持ちになっても、その人がアドバイスを求めていない限り、逆に今の自分を否定された気持ちになるため、控えます。

受け止めて共感しながら話を聞くことで、意見を言いやすい環境を整えます。

その上で、意見を言ってくれた場合も否定せずに受け止めて聞くと話しやすいです。

好きなことについて聞く

特に小学生・中学生のうちはまだ自分の意見は言いにくいですが、好きな事であれば言いやすいです。

どんな事が好きなのか?どんな漫画、ゲーム、遊びが好きなのか聞いた後は、それに対してさらに好きな所を深く聞いてみます。

  • 具体的にどんな所が好きなのか?
  • どのくらいの期間・量それをやっているのか?

は使いやすい質問です。

また、特定のアニメや漫画が好きな場合、特にどんなキャラが好きなのか?そのキャラのどんな所が好きなのか?を聞くと、そのキャラの特徴がその子が今求めている・なりたい要素を持っていたりします。

これも立派なその人の意見です。好きなことについては言いやすいです。

まとめ

記事内容をまとめます。

改善方法・関わり方として、できるだけ話しやすい雰囲気・環境を作ることも大切ですが、そのためには心理学の受容の関わり方が効果的です。

また、学校や会社では特に評価がつきまとうので、自分の意見を自由に言いにくいケースも多いです。

どうしても自分の思いを言葉にしにくい方は、心理カウンセリングがお勧めです。

カウンセラーは受容的に受け止めながら傾聴してくれますし、自分の思いを言葉にするのが得意でない方には、モノやアートを通して心の深い部分を知る箱庭療法や、絵画療法がお勧めです。

関連:アートセラピー資格講座5つを比較、通信通学の費用と難易度まとめ


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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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