受容と共感の違いは、受容は聴く側の心構えで、相手が言った事、相手が感じていることを評価、否定せずにそのまま受け止めること。共感はその上で相手の気持ちを汲み取って伝えることです。
どちらも心理カウンセラーが傾聴する時に使う関わり方、聴き方で、受容と共感はセットで使うことが多いです。
この記事ではそれぞれの違いを具体例を示しながら解説します。
受容は聴く側の心構え、共感は聴き方
最も大きな違いは、受容は聴く側の心構えで、共感は具体的な聴き方という点です。
違いを理解するためには、それぞれを明確に理解すればOKです。
受容とは
受容とは、相手の存在そのものを受け止めることです。
話を聞いて良い悪い、正しい間違っているというジャッジはせず、アドバイスもせず、とにかく相手がそう思っていること、相手がそう感じていることとして受け止めて関わる心構えです。肯定も否定もせず、受け止めます。
詳細:受容とは|心理学での意味と方法、効果を解説
受容の具体例
例えばあなたが友人から、
と言われたら、受容的な返しは
です。受容の姿勢で関わる時はそのまま受け止め、良い悪いは伝えず、自分の意見も伝えません。
受容的ではない関わり方として、
のように自分の意見を伝えるパターンです。この返しは理屈としてはその通りですが、話し手にとってはこれ以上話そうとは思えません。
受容の姿勢で関わるメリットとして、自分が言ったことをそのまま受け止めてくれるため、
- それだけで自己肯定感が高まる
- もっと話してもいいんだなと感じてもらえ、言いにくい事を話しやすくなる
点です。
受容は相手に受け止めてもらえていると感じてもらえる事が非常に重要です。
心理カウンセリング、傾聴では、心理カウンセラーは相談者に受容を感じてもらうために、受容的な態度で接します。
共感とは|具体例
共感とは、相手の気持ちを汲み取って伝えることです。
例えば上記の受容の具体例で紹介した
と言われた場合、
といった感じで相手の気持ちを察し、それを伝えます。
詳細:共感の使い方 |相手の気持ちを汲む方法
共感することで話し手はその感情の自分自身を肯定でき、楽になるのに加え、もっと辛いことを話しても受け止めてくれるだろうと感じてもらえます。
共感の詳細は↓の動画でも解説しています。
受容と共感はセットで行われる
共感は相手を受け止める、受容するからこそできます。そのため傾聴では
- 受容の姿勢で関わる(相手が言ったことをそのまま受け止める)
- その上で共感できそうであれば共感する
という聴き方、関わり方を行います。
まとめ
受容と共感の違いをシンプルにまとめると、受容は相手を受け止める心構えで関わること、共感はその上で相手の気持ちを汲み取って伝えることです。
受容は会話の反応だけでなく、聞き手の表情や姿勢からも感じ取れます。共感は具体的な聴き方のため、聞き手の声のトーンや表情でも現せますが、共感のことばでよりダイレクトに伝わります。
それぞれの定義を的確に理解しておけば、両者の違いは明確です。
どちらも傾聴で使われるかかわり方、聴き方で、心理カウンセリングでは相手に楽になってもらうことはもちろん、ラポール(絶対的な信頼関係)を築くために使われます。