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ChatGPT等のAIに心理カウンセラーの仕事は奪われる?

ノートPCでチャットGPTに質問している画像

先日以下の質問を頂きました。

ChatGPT、いわゆるAIに対して、大きな不安、懸念を抱いております。
将来的に、公認心理師or臨床心理士、その他のカウンセラー等が、このChatGPT、いわゆるAIに仕事を奪われる可能性はあると思いますか?

確かに心理カウンセリングがどのようなものか体感した事がないと、こういった不安を頂くのも当然だと思います。

結論からお伝えすると、

仕事を奪われる可能性はあるが、完全には無くならない

というのが今の私の考えです。

この記事では、どのような場合に心理カウンセラーの仕事がAIに奪われるのか、またなぜ完全に無くならないのかを解説します。

まずはChatGPTに質問

私の回答の前に、ChatGPTに同様の質問をしてみました。

心理カウンセラーの仕事がChatGPTに奪われる可能性は?

以下はその返答の要約です。

AIテクノロジーは、心理カウンセリングの補完的な役割として活用される可能性はあります。例えば、情報提供や認知行動療法の一部として利用されることが考えられます。しかし、個別の人間関係や深い感情に対する支援という点では、人間の専門家の存在が不可欠です。

↓は回答の詳細ですが、わかりやすい言葉で私の観点を加え、奪われる可能性も含めて解説します。

ChatGPTからの回答画像

現状のテキストベースでは無理

現状のChatGPTは、テキストベースで何らかの質問に対して返答を返す形です。

カウンセリングでいうとメールカウンセリング、LINEでのメッセージのやり取りに近いですが、そういったカウンセリングが今現在流行っているか、病院などで多く使用されているかというと、非常にレアケースです。

そのためChatGPTが今の形のまま(テキストベースで質問に返答する)であれば、ほとんどの心理カウンセラーの仕事は奪われません。

ただしChatGPTが次のようにさらに進化した場合、心理カウンセラーの仕事は減る可能性が高いです。

ChatGPTに心理カウンセラーの仕事を奪われるケース

  • テキストベースではなく、音声会話ベースになる
  • それに加え、こちらの表情、姿勢、声のトーンから感情を汲み取れるようになる
  • ChatGPT自身がロボットのような形になり、自身の表情や音声、姿勢などで感情を汲み取ったことが現せる
  • こちらの質問に対して返答するだけでなく、状況を明確にする質問、問題の本質を見る質問ができるようになる

上記が可能になったとしても、完全には無くなりません。今のChatGPTに心理カウンセラーの仕事が奪われない理由も含め、詳しく解説します。

今のChatGPTに心理カウンセラーの仕事が奪われない理由

理由は以下の3つです。

  1. ChatGPTからの質問が出来ない
  2. わかってもらえたという感覚(承認欲求)が満たされにくい
  3. 大切にされる感覚(もてなしてもらえる感覚)が無い

ChatGPTからの質問が出来ない

通常心理カウンセリングでは、相談者が一方的に話し、それに対してどうすればよいかカウンセラーが返答するというパターンは非常に少ないです。

ほとんどのケースでカウンセラーから相談者に何らかの質問をします。

質問をする理由は、相談者が本当に問題と感じていることは何なのかを客観的に見るのが主な目的です。

特に辛さが大きい時や、悩んでいる時は自分の苦しさ等のマイナスの感情にエネルギーが割かれるため、自分自身を客観的に見れないことが多いです。

また、相談者自身も何が悩みなのか、何が苦しさを生み出す原因なのかがわからないことも多いです。そのため、今本当に問題なのは何か、どんなことが一番つらいと感じているのか、を理解するためにカウンセラーから質問します。
関連:質問技法とは|傾聴・カウンセリングでの質問の仕方

心の問題の根本原因を解決するために、相談者の気持ちを汲み取りながら様々な質問をし、悩みを紐解いていきます。

現状ChatGPTにテキストベースでこちらから質問することはできますが、ChatGPTから状況を詳しく知るための質問をしたり、問題の本質を考える質問は出来ません。そのため心理カウンセラーの代わりにはなり得ません。

わかってもらえたという感覚(承認欲求)が満たされにくい

ChatGPTからの返答にも感情に対する支援は難しいとありますが、現状のAIでは話し手の表情や姿勢、声のトーンから、マイナスの感情を汲み取ることができません。

カウンセリングでは、相談者の感情を汲み取る共感のスキルは必要不可欠です。

自分でも無意識のうちに何らかの感情を排除しようとしたり、ブレーキをかけていたり、感じないようにすることで心の問題が多々起きるためです。

感情は抑え込んでも無くなるものではないため、溜まりに貯まると爆発したり、心身の不調として現れます。

それを防ぐために、自分は本当はどう感じてるのか、なぜその感情にブレーキをかけやすいのかを心理カウンセリングでみていきます。それをサポートするのが共感のスキルです。

感情に全く触れることのない心理カウンセリングも無くはありませんが、非常にレアケースです。

また仮にAIに共感ができるようになったとしても、人に話を聞いてもらったことで得られるわかってもらえたという感覚と、AIに話を聞いてもらった感覚では、承認欲求が満たされる違いは非常に大きいと思います。

承認欲求(自分のことをわかって欲しい、認めて欲しいという感覚)は、心理学者のマズローによると、人であれば誰しも持っている根源的な欲求と言われています。

大切にされる感覚(もてなしてもらえる感覚)が無い

これは現状のテキストベースのChatGPTには無理ですが、ロボットベースのAIになると多少出来るようになるかもしれません。

カウンセリングでの大切にされる感覚(もてなしてもらえる感覚)とは、

  • ウェルカムの笑顔で出迎え、お茶をお出しする
  • 掃除を行い、用紙やペン等の必要物をセットして場を整える
  • 会話時に涙を流された時は、テッシュをお出しする
  • 終了後はカウンセリングルームを出て、エレベーター前まで見送る

などで、現状のAIでは無理です。(人であっても上記のような心使いが出来ないカウンセラーはいます)

他人から大切にされることで、自己肯定感を高める補助ができますが、カウンセリングはシンプルな悩みに対する返答ではなく、こういった関わり方全般を含んでいます。(病院では一部不可)

まとめ

AIが進化し、感情を持つ、汲み取れる、さらに問題を明確にする質問が出来るようになると、心理カウンセラーの仕事は確実に減ると思います。

と同時にAIが感情を持つと、AIとの恋愛含め、AIが人格を持つことに近くなります。そうなると人間と対峙する倫理的な問題も出てきます。

心理カウンセラーを目指す方は繊細な方が多いため、~になったらどうしようという不安感も持ちやすいと思いますが、カウンセリングはAIが苦手とする感情や、承認欲求に関わる会話です。そのためAIに仕事を奪われる可能性は、非常に低いです。

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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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