カウンセラー資格

障害者職業カウンセラーになるには|仕事内容、年収、難易度を解説

障害者職業カウンセラーとは、主にハローワークと協力して障害者(うつ病などの精神疾患含む)の就職をサポートする職業名です。就職前の支援だけでなく、就職後の職場適応のサポートを個人個人の状況に応じて継続的に行っています。

特に障害のあるお子さんをお持ちの親御さん、メンタルヘルスが理由で休職・退職された方は、こういったサポーターがいるんだなと知っておくと安心感が強いと思います。

この記事では障害者職業カウンセラーになる方法、仕事内容、年収と難易度を解説します。

障害者職業カウンセラーになるには

障害者職業カウンセラーは、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」に「障害者職業カウンセラー」として採用される事で認定される任用資格(その職に就く事で得られる資格)です。何らかの講座や試験に合格して取得できる資格ではありません。採用までの流れは、

  1. 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の採用試験に合格する
  2. その後、同法人が実施している研修を1年受ける(有給)

です。

応募資格として年齢制限があり、

採用予定日において33歳以下の方で、大学卒業程度の学力を有する方

とされています。試験は例年11月頃に実施、三次試験まであります。

第一次試験:基礎能力試験
マークシート試験+小論文800文字+グループ討議。(千葉市、仙台市、大阪市、福岡市で実施)。
第二次試験:専門試験
(心理学、教育学、社会学、社会福祉学のいずれか1つを選択)+面接試験(千葉市)
第三次試験:面接試験(千葉市)

同法人の募集要項より引用

例年9月頃に採用説明会と施設見学が実施されていますので、応募を考えておられる方は具体的な志望動機を得られる貴重な機会だと思います。

難易度・合格率について

難易度はかなり高いです。心理カウンセラー資格難易度ランキングの1位(心理判定員)と2位(公認心理師)の間くらいです。

なぜ国家資格の公認心理師よりも難易度が高いかというと、募集定員が少ないためです。2019年の採用は10名程度、2022年は30名程度で、募集は全国ですので狭き門です。

倍率や合格率については公開されていませんが、かなり高い倍率なのは間違いありません。

他の心理資格と比較して受験資格(応募資格)は大卒で33才以下であればOKと緩めですので、応募自体はしやすいです。

費用について

いわゆる採用面接と同等のため、受験料などはかかりません。
受験にかかる宿泊費や交通費は自己負担です。

更新の有無

任用資格(その職に就く事で得られる資格)のため、更新の概念がありません。

しいて言えば「仕事の継続=更新」となります。

仕事内容について

障害者への就職支援全般です。知的障害者だけではなく、近年はうつ病などのメンタル疾患により職場を休職されている方への職場復帰(リワーク)支援も増えています。

主に全国の地域障害者職業センターに勤務し、障害者に対してハローワーク(公共職業安定所)と協力して、就職相談、職業能力等の評価、就職前の支援から、就職後の職場適応のための援助までを実施しています。

実務的な面だけでなく、セミナー形式で職場で必要とされるコミュニケーションの支援を行っている所もあります。

年収について

募集要項によると、初任給が総額237,935円、賞与が4.45カ月ですので、合計で年収約400万円です。職歴が上がると当然この金額よりもアップします。

病院でカウンセラーとして勤務すると、上限が年収400万円のところも多いので、初任給でこの金額はかなり良い待遇といえます。
関連:心理カウンセラーの年収・給料・勤務体系を解説

勤務時間は8:45~17:00で土日休みです。年収自体は心理関係の仕事にしては良い方ですし、仕事的にも安定しているといえますが、デメリットもあります。

デメリットについて

大きなデメリットとして、全国各地に転勤となる点です。

女性職員の方は転勤しながら子育てしておられる方もいますが、女性が結婚を考えた時には旦那に主夫となってもらうか、どこでも働けるスキルを持っている人と一緒になる必要があります。男性がこの仕事を目指す場合は、結婚した場合は転勤についてこれる女性でなければなりません。

転勤は色んな人に接することが出来るので状況によってはメリットになる人もいるかと思いますが、私個人としては全国各地に転勤の可能性があるのはデメリットだと感じます。

ジョブコーチとの違い

ジョブコーチとは、障害者(身体障害、知的障害、精神疾患などのある人)が職場に定着して長く働けるように支援する人の事です。

障害者への就労支援という役割は、障害者職業カウンセラーと同じです。

資格ではなく、特定の研修を受けると認定されますので、難易度は低いです。

ジョブコーチになるには

  1. 厚労省認定の機関が実施する研修を受ける(合計7日間程度)
  2. 修了後に所定の手続きを行い、認定される

という流れです。ジョブコーチは、社会福祉法人や障害者雇用事業所に所属する方が研修を受けて今の仕事に役立てるケースが多いです。

厚労省ページで紹介されている

配置型ジョブコーチと、障害者職業カウンセラーは同じ。

訪問型ジョブコーチ(福祉機関の職員が、障害者の就職や就職後の定着ができるように企業に訪問して支援する人)
企業在籍型ジョブコーチ(自社の従業員として雇用した障害者の定着を支援する人)
と障害者職業カウンセラーは、所属となり方が違います

まとめ

障害者職業カウンセラーは、心の深い部分を知る・分析するカウンセリングを行いたい方には向いていませんが、障害者の就職支援という役割でハローワークと連携しているため、仕事の安定性はかなり高く、待遇も良いです。ストレートに言ってしまうと、国家資格の公認心理師を取得するよりも仕事面では安定しています。

同じ就職支援の資格、キャリア・コンサルタント(国家資格)の障害者特化型といえます。キャリア・コンサルタント資格は比較的取得しやすいので、取得しておけば採用に有利になるのは間違いありません。

精神疾患を抱える方のサポートをするのであれば、サポートする人自身(カウンセラー)にもある程度の社会経験があった方が良いので、応募資格を40才以下くらいに緩めた方が良いと個人的に感じます。


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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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