心理相談員とは、中央労働災害防止協会が認定する資格で、職場のメンタルヘルス対策、働く人へのストレスケアや、リラクセーション指導などのメンタルヘルス教育を目的として作られています。
難易度、資格取得について
この資格の特徴は、すでに労働者の支援に携わっている人にとって、取得難易度が非常に低い点です。3日間の「心理相談専門研修」を受講するだけで取得できます。
難易度ランキングでいうと、9位と10位の間くらいです。
講座開催場所は、東京、大阪、愛知、福岡、広島などの全国主要都市で、年間15回程度の開催です。
ただし誰にとっても難易度が低いわけではありません。以下の受講資格をすでに満たしている人にとっては取得はかんたんです。
心理相談専門研修の受講資格
次のいずれかを満たしていれば資格取得のための「心理相談専門研修」を受講出来ます。
- 心理系の4年制大学を修了している方
- 保健師の資格取得者
- 看護師・助産師の資格取得者で健康に関する面接又は相談の経験を1年以上有する方
- 衛生管理者の資格取得者で健康に関する面接又は相談の経験を3年以上有する方
- 労働衛生コンサルタント資格取得者で健康に関する面接又は相談の経験を2年以上有する方
- 運動指導専門研修又はヘルスケア・トレーナー養成研修を修了した方
- 精神保健福祉士、臨床心理士、認定心理士、産業カウンセラー、社会福祉士のいずれかの資格取得者
中央労働災害防止協会サイトより引用
取得しやすいだけに、この資格を取得すれば心理の仕事に繋がる質のものではありません。
受講資格から見ても、すでに労働者の何らかの支援に携わっている人が、スキルアップするための資格といえます。
この資格のメリット
なんといっても短期間でコンパクトに次の3つの事柄を学べる点に尽きます。
- メンタルヘルスの基礎知識
- 職場のメンタルヘルス対策
- 働く人へのストレスケア方法
カリキュラム内容に、実際の心理相談担当者の活動や、企業の事例を基にした事例検討も含まれているのが良いですね。
心理学・カウンセリングを学んだ事が無い保健師、看護師、衛生管理者の方が、今の仕事に活かすのにもってこいです。
産業カウンセラー資格だと、心理相談員よりしっかり学べますが、その分受講期間が最短6ヶ月と長いです。
通信課程の学びだと2ヶ月程度で資格取得出来ますが、心理に関するスキルを習得するには、ライブの方が適切です。
心理相談専門でやる訳ではないけれども、今の仕事にメンタルヘルス対策を加えたい方にピッタリの資格といえます。
合格率について
受講するだけのタイプのため、合格率は存在しません。
難易度は、受講資格を満たしている人にとってはかなりやさしいです。
費用について
心理相談専門研修の受講料:48,400円(10%税込)。
更新の有無
更新の必要があります。
登録は3年間有効で、それ以降も更新するためにはその3年の間に同協会が実施している研修を6単位以上取得する必要があります。
仕事内容
中央労働災害防止協会のサイトやブログから判断すると、主な活動内容は、労働者や心理相談員資格取得者(会員)へのメンタルヘルスセミナーです。
対面でのカウンセリングはやらない訳ではありませんが、メインの活動ではありません。
NPO法人「関西心理相談員会」の事務所にはカウンセリングルームもあるようですが、サイトからは対面カウンセリングを受け付けていません。(電話での心理相談は受け付けています。)
まとめ
資格発行元の「特別民間法人中央労働災害防止協会」は、厚生労働省が認可しているので信頼性が高いといえます。ただ、3日間で取得出来る資格ですので「プロのカウンセラーになりたい」という方向けの資格ではありません。
受講内容にもハッキリと、「メンタルヘルス教育や、 相談対応に必要な技法を体験します。 」と書かれています。「必要な技法を習得します」と書かれていない点は、誠実に感じられます。
カウンセリングスキルが身に付く資格というよりは、支援関係の仕事に携わる人が、メンタルヘルスの知識を今の仕事に活かすための資格といえます。