応用心理士とは
応用心理士資格は、個人や集団ですでに心理関係の活動をしている人々の、社会的地位を上げるために作られた資格です。
日本応用心理学会が認定する資格で、資格自体は1995年に制定。認定元の日本応用心理学会は、創立が1933年と非常に長い歴史があります。心理学者の齊藤勇さんが名誉会員。
この資格は他の多くの心理資格と違っていて、取得するためには会員からの推薦が必要とされています。推薦者が得られにくい場合は学会に相談できます。登録者は、2016年5月23日時点で253名と他の資格と比較して非常に少ないです。
応用心理士になるには
日本応用心理学会に入会後2年を経過していて、現在も会員であることが基礎条件です。その上で次の4つのいずれかに該当する必要があります。
- 大学または大学院において,心理学専攻又はこれに準ずる分野を卒業あるいは修了した者。
- 機関誌『応用心理学研究』に1件以上の研究論文(共著も含む)を発表した人,または本学会の年次大会において2件以上の研究発表をした者。
- 認定審査委員会が応用心理学と関係があると認めた専門職で,3年以上の経験を有する者。
- 応用心理学と関係ある職で3年以上の経験を有し,本学会研修委員会企画の「研修会」に5回以上参加した者。
日本応用心理学会HPより引用
日本応用心理学会に入会するために
以下の3つの条件のうち、どれか1つを満たしていればOKです。入会する時に、既存会員からの推薦が必要になります。
- 四年制以上の大学で心理学およびその隣接分野を専攻した者
- 日本心理学諸学会連合が認定する心理学検定1級合格者で22歳以上の者
- 第1号に準じ常任理事会が認める者
大学は特に指定されていません。
他の多くの認定資格のように、認定元が開催している講座を受ければ良いというものでは無いのは大きな特徴です。
必要な費用
他の心理資格と比べると、大学に行くための費用を除けば非常に安価で取得できます。
継続してかかる費用として年会費8,000円。
資格認定に関する費用として、審査料:10,000円+認定料:30,000円=合計40,000円。
日本応用心理学会で何かを学んで取得するものではないので、妥当な費用かもしれません。
ちなみに応用心理士資格を取得後、学会を退会すると資格は無いものとされます。厳しいですね。
難易度について
難易度は、やや高めです。
日本応用心理学会入会時に、既存会員からの推薦が必要なためです。
更新の有無
更新の必要はありませんが、資格維持のためには年会費8,000円が必要です。
臨床心理士資格との関連について
それぞれ別の団体が認定する資格ですが、全く関連が無い訳ではありません。
臨床心理士資格は、「(財)日本臨床心理士資格認定協会」が1990年に発足させていますが、この協会の元は1955年の「日本応用心理学会」の活動(心理技術者養成教育課程に関する提案を各大学に提出)から流れてきています。
臨床心理士資格のほうが認知度は高いですし、就職や仕事の応募条件にもなっている事が多いです。
※認定心理士を認定している日本心理学会も同じく1955年の「日本応用心理学会」の活動を源流としています。
仕事や就職について
この資格を取得していても日本応用心理学会から、仕事の紹介は特に無いようです。
学会の名前からも「カウンセリング」より、「心理学」に重点を置いていることが見てとれます。
心理学の研究が好きな方には良いかもしれません。すでに大学で心理学を学んでいて、心理関係の活動をしていて、さらなるキャリアアップを目指されている方向けの資格といえます。
カウンセラーになりたい、心理の学びを仕事や日常に活かしたいという方は、他の資格の方が向いています。