セルフメンタルケア

他人の感情に引きずられるパターン2つと対処法

他人の感情に引きずられると、自分のメンタルが他人に大きく左右されます。

特に不機嫌な人、怒っている人と一緒にいるのは嫌なものですが、こういった人と関わった時のストレスが軽めの人もいれば、相手の影響を大きく受ける人もいます。

他人の感情に引きずられると、特にクレーム対応の仕事や、怒っている相手の対応をしないといけない場合、しんどいです。

HSP(非常に繊細な方)の方は、この問題で悩みやすいです。繊細で感じやすい(感受性が強い)ため、相手の感情の影響をどうしても受けやすいです。

私自身もHSPですが、心理カウンセラーの仕事をしているため、他人の感情に引きずられていては仕事になりません。

この記事では、相手の感情の影響をモロに受けない方法を、心理学的な観点から2つ解説します。特に他人の感情に共鳴しやすい・巻き込まれる感じがする方はご参考下さい。

他人の感情に引きずられるパターン2つ

他人の感情に引きずられるという状態は、大きく次の2つに分けられます

  • 関わっている相手と同じような気持ちになる
    (例:落ち込んだ人と一緒にいると自分も相手と同じように落ち込む)
  • 関わっている相手と違う気持ちだが、自分にマイナスの感情が出る
    (例:他者に怒っている人の話を聞くと、怖くなる)

他人の感情に引っ張られるか、その影響で受けた自分の感情に引っ張られるかの違いですが、これらはいずれも感情の受け止め方を変えるだけでクリアにできます。具体的な方法を3つ紹介します。

他人の感情に引きずられる時の対処法3つ

1 同感ではなく共感で関わる

特に上記の関わっている相手と同じような気持ちになるのは、無意識に同感で関わっているためです。

同感ではなく共感で関わることは、相手の感情と自分の感情を整理する上でも、とても大切な要素です。同感で関わると他人の感情に引きずられますが、共感だと引きずられません。まずは同感と共感の違いについて解説します。

同感とは

同感とは、文字通り関わっている相手と同じ感情になることです。

例えばBさんから「こないだAさんに嫌なこと言われて、殴ってやろうかと思った!」と言われたのであれば、「話を聞いていて、私も腹が立ってきた」というのが同感です。発言したBさんと同じ気持ちになっています。

同感は英語でいうと、I feel so too.(私も同じように感じる)です。

同感で聞くと相手の感情をまともに受けるため、聞く側のストレスも強くなります。

共感とは

共感とは、相手の気持ちを汲み取って伝えることです。

例えばBさんから「こないだAさんに嫌なこと言われて、殴ってやろうかと思った!」と言われたのであれば、「そんな嫌なこと言われたら、腹が立つよね」というのが共感です。発言したBさんの気持ちを汲み取って伝えています。

共感は英語でいうと、You feel so.です。相手の感情にフォーカスを向けます。

共感のスキルが身に付くと、相手の感情と自分の感情の整理がつくようになります。結果として相手の感情に振り回される・引きずられることが無くなります。
詳細:共感の言葉の使い方 |相手の気持ちを汲む方法

共感できない場合

ただし相手の問題と自分の問題がごっちゃになる場合、共感できません。

例えば「こないだAさんに嫌なこと言われて、殴ってやろうかと思った!」と言われ、自分自身も過去にAさんからひどいことをされたため、聞いていてその時の過去の自分の嫌な体験が湧き上がってくるようなケースです。

自分の心の中に未消化の感情が残っている場合、同じような話題に触れるとどうしてもその時のことが思い出され、相手の感情と自分の感情の整理がつかなくなります。

この場合は、心理カウンセリングでその時の感情をクリアにするのが適切です。私自身オンラインカウンセリングを行っておりますので、お気軽にご活用下さい。

続いて同感していないけれど、自分にマイナスの感情が出る場合の対処法を解説します。

2 相手の感情に意識を向け、共感する

これは例えば、他者に怒っている人の話を聞くと、怖くなるように、同感しているわけではないけれど、相手の影響で自分にマイナスの感情が強く出る場合に効果的です。

怒っている相手と関わると、自分の怖さが強い

という状態は、会話中に自分の感情にフォーカスが向いています。

上記の共感のスキルを活用すると、関わっている相手の感情と、自分の感情を整理することができます。その上で自分の感情(例:怖い)に意識を向けるのではなく、相手の感情の方にフォーカスを向け、共感のことばを伝えればOKです。

会話中の自分の感情(例:怖い)は一旦横に置いておき、相手の感情(腹が立つ)の方に意識を向けるのがポイントです。

こういった関わりをする中で、自分自身の怖さ(感情)に意識が向かなくなります
その上で次のポイントも意識すると楽になります。

3 怖さや怒りなどの感情を受け入れる(許容する)

「感情を受け入れる」といってもイメージがつきにくいと思いますので、例を使って解説します。例えば怒っている相手と関わると、その怒りが自分ではなく他者に向けられていても、その人に対して怖さが湧いてきます。この時に

「今怖いとマズイ、怖いのは良くない」

という思いが強いと、「怖さ」を打ち消すことにどうしても意識が強く向かい、結果として怖さが大きくなります。
※森田療法という心理療法では、精神交互作用と呼ばれています。

「怒っている人と接すると、怖さはどうしても出る。怖いのは仕方ないし、怖くなる自分はダメではない。」

という形で自分の怖さを受け入れると、その感情は必ず変わっていきます。

また同時に怒っている相手に対しても、
「そういう状況であれば、腹が立つだろうな」
と相手の怒りや腹立たしさも受け入れていきます。

いずれも自分の感情と相手の感情を客観視し、分析しています。この方法だと聞いている自分が楽になるだけでなく、話している相手もだんだん落ち着きやすいです。

この方法は傾聴のスキルでもあるため、理解すると同時に実際にやってみることで始めて自分の中に馴染んでいきます。

まとめとHSPの方に大切なこと

他人の感情に引きずられる時の対処法として

  1. 同感ではなく共感で関わる
  2. 相手の感情に意識を向け、共感する
  3. 怖さや、怒りなどの感情を受け入れる(許容する)

の3つを紹介しました。

HSPの方はどうしても他人の感情に引きずられやすいですが、これは共感性が高いためではなく、シンプルに繊細で感受性が強いためです。共感と同感の違いを認識するだけで楽になれます。

また、身近に怒っている人や不機嫌な人がいると、どうしても近くにいる人は一定の悪影響を受けます。しかし上記内容を実行して頂ければ、他人の感情にひきずられる・振り回されるという事態は避けられます。


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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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