臨床心理士と公認心理師どちらが難しい?と疑問を持つ方がおられますが、基本的に公認心理師の方が難しい(取得難易度が高い)です。
理由はシンプルで、公認心理師の方が受験資格を満たすハードルが高いためです。
(どちらの資格も誰でも受験できるわけではなく、規定の受験資格があります。)
試験自体の難易度については大きな違いがあるとはいえませんが、試験を受ける前の受験資格を満たすのは公認心理師の方が難しいです。この記事ではその詳細を解説します。
目次
先に例外を紹介
2022年まで公認心理師の受験資格として使えていたGルートで受験の場合、公認心理師の方が圧倒的に難易度が低いです。
Gルートは5年の実務経験のみで受験可能でした。私設のカウンセリングルームでの経験もOKで、学歴は問われなかったため、中卒で公認心理師を取得している人もいます。※現在はこのルートでの受験は不可。
公認心理師Gルート受験の場合、心理カウンセラー資格難易度ランキングでは6位程度に落ちます。
そのため公認心理師を持っているけれども、スキルや実力が伴っていない人は多々います。資格は一定の目安にはなりますが、カウンセラーの実力を判断するには経験を重視するのが適切です。
現在高校生以下の方にとっては大差なし
前提として、現在高校生以下の方にとっては、どちらが難しいとは言いにくいです。
というのも、どちらの資格も基本的に心理系の大学+大学院を修了することで受験資格が満たせますが、その過程で両方の受験資格を満たせる大学、大学院がほとんどだからです。
詳細:臨床心理士、公認心理師両方取れる大学について
ただし臨床心理士では心理実践実習について特に定められていませんが、公認心理師は大学で80時間、大学院では合計450時間以上の実習が求められるため、しいていえば公認心理師の方がハードルが高めです。
現在社会人の方にとっての難易度の違い
特に現在大卒の社会人の方にとっては、臨床心理士の方が難易度が低いです。理由は明確で、臨床心理士の方が受験資格を満たすためのハードルが明らかに低いためです。
臨床心理士は心理系に限らず、どの大学の学部でも卒業さえしていればOKです。通信制大学でもかまいません。
受験資格を得るまでの難易度の違いを解説します。
大卒社会人の臨床心理士最短ルート
指定大学院を修了(期間3年)後、受験するだけです。
大学院受験は難しいですが、受験資格を得るために欠かせません。
大学院は通信課程でも可能で、費用は最安で約230万円です。
詳細:臨床心理士取得にかかる費用と期間|社会人向け最短最安有り
大卒社会人の公認心理師最短ルート
心理系の大学を卒業後、心理系の大学院を修了する必要があります。
(期間最短6年、費用は最安で約330万円)
心理系の大学を卒業後、規定の施設で2年以上の実務経験を積むルートもありますが、こちらは施設採用の難易度とリスクが高いためお勧めできません。
詳細:社会人から公認心理師になるには
受験資格の特例を満たしていない方の場合、心理系の大学に入学し直す必要があります。
高卒社会人にとっての難易度の違い
現在高卒の社会人にとっては、どちらの資格も基本大卒+大学院修了が求められ、期間、費用、労力的にたいして難易度の違いはありません。
そのためどちらか迷うのであれば、国家資格の公認心理師を取るべきです。
詳細:高卒から公認心理師になるには
合格率の違い
あくまで試験自体の合格率の違いです。それ以前の受験資格を満たすための難易度は、上記の通り人によって大きな差があります。
※合格率の後ろは資格取得者数。
臨床心理士合格率 | 公認心理師合格率 | |
2020年 | 64.2%(1,148人) | 53.4%(7,282人) |
2021年 | 65.4%(1,179人) | 58.6%(12,329人) |
2022年 | 64.8%(1,173人) | 48.3%(16,084人) |
公認心理師の方が合格率が低い理由として、2022年の試験まで特例措置として心理系の実務経験が5年あれば受験できていたためです。実務経験さえあれば、中卒、高卒の方でも受験できていました。※臨床心理士は心理系の大学院を修了した人のみ受験しています。
特例措置が無くなった2023年以降、公認心理師の合格率は70%台になっています。
臨床心理士は新規取得者数が鈍化
2018年に公認心理師の第1回試験が行われていますが、それを境に臨床心理士は新規取得者がやや減っています。
2018年以前は毎年約1600人が取得していましたが、近年1100人程度になっています。
個人的には思ったより新規取得者が減っていない印象です。
FAQ|よくある質問
臨床心理士と公認心理師どっちがいい?
人によって違うため、詳細を解説します。
現在高校生以下の方
現在高校生以下の方であれば、迷うなら両方取るのが良いです。臨床心理士は無いよりはあった方が就職にも有利です。
どちらか一方にしたいのであれば、公認心理師一択です。理由は明らかで、期間、費用、労力的に大きな違いが無いにもかかわらず、臨床心理士は民間資格で公認心理師は国家資格のためです。
また、病院に勤めるのであれば、診療報酬の関係で公認心理師が求められるようになってきています。
さらに公認心理師は資格の更新の必要がありませんが、臨床心理士は5年に1度更新の必要があります。(更新費用2万円+規定の研修参加が必要)
現在社会人の方
大卒社会人の方であれば、上記の通り臨床心理士の方が取得難易度は低いです。ただし資格取得後に病院での勤務を考えておられるのであれば、基本的に公認心理師が求められます。今後臨床心理士では保険適用にならないためです。
高卒の社会人の方であれば、取得難易度に大差が無いため、国家資格の公認心理師の方が圧倒的にお勧めできます。
臨床心理士 公認心理師 どっちが上?
人によります。公認心理師・臨床心理士とも相談者が納得できるカウンセリングをする人もいれば、社会性の無い人もいます。
ただ、公認心理師は国家資格で、臨床心理士は民間資格という点から、一般的に信頼性が高いのは国家資格(公認心理師)です。
臨床心理士は民間資格ですが公認心理師よりも歴史があり、民間の心理資格の中ではもっとも認知度・信頼性が高いです。
公認心理師はGルートでの取得が出来たため、現場では公認心理師のみの人は力が無いと見られる場合もあります。難易度としては近いため、資格で判断するのではなく経験で判断するのがお勧めです。
まとめ
大卒の社会人であれば、公認心理師よりも臨床心理士の方が取得難易度が低いです。
それ以外の方は似たような難易度です。どちらか迷うのであれば実用性、信頼性から判断しても公認心理師を取るべきです。
この記事では、公認心理師の方が難易度が高い理由を論理的に解説しました。内容に異論がある方は、臨床心理士の方が難易度が高いと思われる理由を具体的にコメント欄にご記入下さい。
また、資格のみでカウンセラーの実力を計るのは非常にナンセンスです。経験やその人がブログや動画で表現しているものから判断する方が適切です。
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