自己肯定感が低いとどうなる?10パターンを心理学を交えて解説

自己肯定感が低いと自信がなく、目標を作る意欲がわきにくいだけでなく、無意識に自分を否定する機会が増え、生きづらさやストレスが強くなります

生きづらさの種類は様々で、自分でも気付いていない~でなければならない(~であるべき)思いがあるため、自分で自分を苦しめる(否定する)結果になります。

例えば「しっかりしなければならない」思いが強いと、そうでない自分(例:前向きになれない状態、腹が立っている自分など)を無意識に否定して、自分の本音抑え込んだり、休む罪悪感が出て過労にもつながります。

また、「役に立たなければならない。期待に応えなければならない」思いが強いと、無意識に自分がどうしたいかよりも他人がどう思うか・どうしたいかを優先してしまい、自分がどう思っているか・どうしたいかが見えなくなります

その他悪気無く不快なコミュニケーションを仕掛けたり、恋愛でいつも同じような別れ方になったり、仕事をいつも同じような理由で辞めたり、人生で同じような失敗が繰り返されることもあります。

上記は自己肯定感が低い人全員に当てはまるわけではなく、あくまで一例ですが、様々な生きづらさが出てきます。

この記事では自己肯定感が低いと具体的にどんな状態になるのか、心理学的な観点から私の実体験を含めて解説します。

無意識に自己否定してしまう理由

無意識に自己否定してしまう理由は、上記のような様々なタイプの自分を苦しめる価値観が根付いているからこそです。

その価値観があること自体に自分でも気付いていないため、何かモヤモヤする、よくわからないけど苦しい、何かがおかしいといった感覚が生まれます。

自分が苦しむ価値観が根付いている理由の多くは、その方が育ってきた家庭環境が原因です。

例えば幼い時に虐待やDV(家庭内暴力)などがあった場合、その場で生まれる感情(例:怖さ、憎しみ、怒りなど)をまともに感じてまともに出していると、その家にいられない、生活できなくなります。子供は無力ですので、その場で何とか生きるために無意識に感覚を止めて、何も感じないようにしてやり過ごします。

その結果、感じてはいけないという価値観が無意識に根付きますが、自分でもそれに気づかないため、その生き方をその後も継続します。

マイナスの感情は抑え込めば無くなるわけではありませんので、限界まで達するとブチ切れて感情がコントロールできなくなったり、自律神経失調症につながることもあります。

上記は一例で、TA交流分析という心理学では、こういった自分を苦しめる価値観を禁止令とよんでいます。
その他の禁止令の例は、脚本分析(人生脚本)とは|無意識に繰り返される人生のパターンの記事で解説していますが、心理カウンセリングで多い自己肯定感が低いケースを紹介します。

自己肯定感が低い状態で多い例10パターン

あくまで一例です。1つだけの場合もあれば、複数該当する場合もあります。

1 完璧でない自分をダメ出しする

無意識に完璧でなければならないという価値観が根付いているケースで、完璧でない自分、しっかりしていない自分(または他人)にバツを出す結果になります。

私自身以前、認めてはいけないという思いがありました。自分でもそういう思いがあることに気付いていなかったため、どれだけ頑張っても「まだダメだ」という思いが強く、満たされない感覚が非常に強かったです。

両親のしつけが厳しかった、褒められる機会が少ない、優秀な兄弟姉妹と比較され続ける等でこの思い(完璧でなければならない・しっかりしなければならない)が根付きます。

この価値観があると苦しい具体例が次の2~4です。

2 マイナスの状態の自分を出せない

要するに弱みを出せない、常に明るく元気にふるまってしまう状態です。

特に対人関係で不満を言えない、抱え込む傾向があり、我慢を重ねた結果ブチ切れて関係を壊すことにもつながります。

休む罪悪感が出て、頑張りすぎて過労になる・体を壊す場合もあります。

3 他人を強く否定してしまう

自分の中の認められていない部分を出している他人をみると、無性に腹が立ったり、どうしてもその人が気になってしまうことがあります。

例えばいい加減な人(例:駐車場で車を適当に止める、他人への気遣いなく自由に振る舞う)がどうしても気になる場合があります。

これは自分の中にもその人と同じような部分があるけれど、それを受け入れられていない(否定している)ので、自分は我慢しているのに何でおまえはやっているんだ!という思いが湧き出てくるためです。

当然必要以上にイライラしますし、その人との関係性も悪くなります。

4 否定している人の話を全く聞けない

すべての人の話を聞けないわけではなく、上記2のような自分が否定している人の話を聞けなくなってしまいます。

具体例として、私が以前カウンセリングのトレーニングを行っている時、あるグループカウンセリングで、自分からは行動を起こさない「受け身」な方がおられたんですね。

当時アシスタントとしてその場に関わっていた私は、途中からその人の話しが全く入ってこなくなりました。

理由はシンプルで、私自身の中にも受け身な部分はありましたが、無意識に積極的な自分はOKで、受け身な自分はダメだという思いがあり、受け身な自分を否定していたんですね。

その状態で「受け身な部分を出している他人」に対して、そんなんじゃダメだろ!という意識が働き、他者否定=話が聞けないという状況になっていました。

誰でもプラスマイナス両面あるものですが、自分自身のマイナスの部分を受け入れられていないと、同様にそれが出ている他者に対しても否定してしまう結果になります。

5 無意識に自分よりも他人を優先してしまう

自分はどう思うか、どうしたいかよりも、他人がどう思うか・どうしたいかを無意識に優先させてしまうケースです。

自分の思いを抑え込む傾向があり、他人の期待に応えるように過剰に頑張ったり、仕事を断れずに抱えすぎて過労になることもあります。

何よりこれが苦しいのは、自分自身がどうしたいか・どう思っているかがわからなくなるためです。自分の指針が見えなくなります。

こうなる理由として、役に立たなければならない思いが無意識に根付いているためです。

カウンセリングでは比較的多いケースですが、この思いが根付く理由や対策は頼まれたら断れない理由・心理と改善方法3ステップに詳細を書いています。

6 自分の意見が言えない

自己肯定感が低いと自分の意見が言えない理由は様々ありますが、例えば子供時代に親に何を言っても親から常に言い返されるような状況だと、だんだん自分の意見を言わなくなります。

その結果として良い人でないといけないという価値観が根付き、そうでない自分の本音の意見は言えなくなります

詳細:自分の意見が言えない理由7つと対処法

7 依存されやすい

自己肯定感が低いと依存されやすい理由は、相手の依存に応える事で自分が保てる、相手よりも上に立っている感覚、相手を支配している感覚が得られるためです。

私自身も過去依存されやすかったですが、相手との関係性はどうしても泥沼化しますので非常に苦しいです。

相手に振り回され、強く執着されるだけでなく、食いつぶされるような状態になります。

詳細:依存されやすい人の特徴・心理と依存された場合の対応法3つ

8 人からどう思われるか強く気になる

ある程度人目が気になるのは自然ですが、人目を気にしすぎるとストレスもたまりますし、人と会ったり職場に行くのが怖くなります。

人目が気になるのは自分がどうかよりも、他人がどう思うかのウェイトが強いからこそですが、幼い時に怒られないように親の顔色を気にせざるを得なかった場合が多いです。

詳細:人からどう思われるか気になる、怖い時の対処法7つ

9 不快なコミュニケーションを仕掛ける

自己肯定感が低いと無意識に不快なコミュニケーションを仕掛けてしまうのは、心理学的に確立されていてゲーム分析と呼ばれています。

相談を持ち掛けてきてすべてのアドバイスを断るパターンや、きつい言い方でマウントを取るパターン、よけいなお世話を焼いてマウントを取るパターンなど様々なパターンがあります。
詳細:ゲーム分析とは|不快なコミュニケーションのパターンを掴み、変える心理学

人であれば誰しも仕掛けたり仕掛けられたりするもので、悪気があってやっているわけではなく、低い自己肯定感をなんとかしたい(承認欲求を満たしたい)がために仕掛けています。

時間や労力は使うけれど、結果として生産的なコミュニケーションにならないため、仕掛けられる側はしんどいです。

10 同じような失敗が繰り返される

これは恋愛でいつも同じような別れ方をしたり、仕事を同じような理由で何度も辞めたり、無意識に繰り返される人生の嫌なパターンです。

こうなる理由は何らかの自己否定の元となる価値観があり、その思いを持っている事に気付いてないためです。

その価値観が根付く根付く原因として、その人が育ってきた家庭環境が非常に大きいです。詳細は、脚本分析(人生脚本)とは|無意識に繰り返される人生のパターンの記事をご参照下さい。

これがあると無意識のうちに自己否定が繰り返されて、生きづらいです。

FAQ|よくある質問

自己肯定感が低い人のデメリットは?

様々なケースがありますが、共通しているのは自分にダメ出しをする機会がどうしても多くなるため、そうでない人よりも辛さ、ストレスを感じる機会が多くなる点です。

詳細:自己肯定感が低い状態で多い例10パターン

自己肯定感が低い人の特徴は?

様々なケースがあり、自分も他人も肯定するのが苦手な方、他人は肯定できるが自分は肯定しにくい方、自信がない方、傲慢で人の話を聞けない方などです。

詳細:自己肯定感が低いとどうなる?10パターンを心理学を交えて解説

自己肯定感が低い人の原因は?

否定されて育った(虐待を受けた)、褒められる・認められる機会が少なかった、自分で選択する機会が少なかった、過保護に育てられた、子供時代に甘えられなかった、子供時代に親が話をあまり聞いてくれなかった等です。

詳細:自己肯定感が低い原因6つと、今すぐ出来る高める方法11個

まとめ

自己肯定感が低い例として

  1. 完璧でない自分をダメ出しする
  2. マイナスの状態の自分を出せない
  3. 他人を強く否定してしまう
  4. 否定している人の話を全く聞けない
  5. 無意識に自分よりも他人を優先してしまう
    (自分がどう思うか・どうしたいかが見えなくなる)
  6. 自分の意見が言えない
  7. 依存されやすい
  8. 人からどう思われるか強く気になる
  9. 不快なコミュニケーションを仕掛ける
  10. 同じような失敗が繰り返される

を紹介しました。

自己肯定感が低くて苦しいのは、本当は自分を好きになりたいけれども、今は好きになれないからこそです。

自己肯定感が低くても生きていく事が出来るのが人の強さですが、ストレスは大きいです。高め方については↓の記事をご参照下さい。


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心理資格取得を目指す女性
  • この記事を書いた人

井上 隆裕

心理カウンセラー、傾聴トレーナー、2004年からプロの心理カウンセラーとして活動し、2013年に独立開業。 詳細なプロフィール

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