独学で本や公式テキストで勉強し、試験に合格後、取得できる心理カウンセラー資格は4つあります。
※通信講座で受講して資格取得するタイプは、受講料や添削が含まれるため独学とはいえません。
独学で資格取得したい方は、できるだけ安くかんたんに資格取得したい思いが強いと思いますが、いずれも通信より難易度が上がるため、再試験になるリスクは高めです。
私自身、独学OKの心理資格、通信、通学と様々なタイプの心理カウンセラー資格を取得していますが、安く簡単に資格取得するのが目的であれば、通信が最も適切です。
関連:通信の心理カウンセラー資格まとめ17種類
この記事では、独学で取得できる心理カウンセラー資格4つと、通信と比較した場合のメリット・デメリットを解説します。
独学で取得できる心理カウンセラー資格4つ
いずれも履歴書に記載できます。ただし試験に合格するだけで取得できるため、ほとんどの資格名は「~検定」という名称になっています。
記載している費用は、公式テキスト代と試験代金、登録料等の合算です。この費用プラス、試験会場までの交通費が別途かかります。
ケアストレスカウンセラー
トータル費用 | 15,640円 |
受験方法 | 会場で受験 |
認定元 | 財団法人 職業技能振興会 |
詳細 | ケアストレスカウンセラー |
独学で取得できるタイプでは唯一「検定」という資格名ではありません。
公式テキストは336ページと範囲が広く、独学では難しいためか専用の通信講座もあります。
試験は年3回(3月、7月、12月)、全国14都市(北は札幌から南は沖縄まで)で受験可能です。
心理学検定
トータル費用 | 12,100円 |
受験方法 | 会場で受験 |
認定元 | 一般社団法人 日本心理学諸学会連合 |
詳細 | 心理学検定とは |
心理学検定は、
大学卒業レベルの心理学の基礎知識・能力の客観的到達度を認定するもの
とされており、通信の心理資格よりも難易度は高いです。実際もっとも低い級の2級の合格率は、例年約30%です。
試験は年1回(例年8月後半)、全国14都市(北は札幌から南は沖縄まで)で受験可能です。
公式テキストはトータル479ページで範囲もかなり広めですが、2,200円とそれほど高いわけではありません。
こころ検定
トータル費用 | 9,520円(4級) |
受験方法 | 会場で受験 |
認定元 | メンタルケア学術学会 |
詳細 | こころ検定 |
こころ検定は2017年からスタートした比較的新しい検定試験です。学びを通して自分自身のストレスケアや、周囲の人の「こころ」を整えるサポートが出来るようになる事を目的としています。
試験は年3回(1、7、11月)、全国14都市(北は札幌から南は沖縄まで)で受験可能です。
独学での受験は可能ですが、メンタルケア心理士を通信講座で学ぶと、こころ検定2級が同時に取得できる仕組みになっています。
メンタルヘルス・マネジメント検定
トータル費用 | 6,600円(Ⅲ種) |
受験方法 | 会場で受験 |
認定元 | 大阪商工会議所 |
詳細 | メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは |
メンタルヘルス・マネジメント検定は、働く人の心の不調の未然防止と、活力ある職場づくりを目的に、2006年にスタートしています。
Ⅲ種、Ⅱ種、Ⅰ種と難易度別に3タイプあり、最も難易度の低いⅢ種は公式テキストと受験料合わせて6,600円です。公式テキストは184ページで、どうしても試験範囲は広くなります。
試験は年2回程度、全国の主要都市で開催されています。
独学のメリット・デメリット
通信と比較した場合の独学での心理資格取得の最も大きなメリットは、費用です。
独学だと通信よりも約2万円程度安く資格取得できますが、一発合格できればの話です。
デメリットは、難易度が通信よりも高めの点です。独学で取得可能なタイプはいずれも勉強範囲が広く、不合格になった場合再受験すると、費用は通信講座にどんどん近づいていきます。
また、すべての独学で取れる心理資格は、受験時期が限定されており、カンニング不可です。(通信には在宅・カンニング可の心理資格も多いです)
通信には動画講義メインでわかりやすく学べるタイプもありますが、独学だと心理関係の本は非常にわかりにくいものが多い点もデメリットです。
独学で心理カウンセラーになれるがお勧めしない理由3つ
独学で心理カウンセラーと名乗り、無資格でカウンセリングすることは可能です。
というのも、カウンセリングは国家資格を必要とする医療行為などとは違い、必ずしも資格を必要としないという性質があるためです。
極端に言えば、カウンセリングについて何も学んでいない、何のスキルを身に付けていない状態でも「私はカウンセラーです」と言い、カウンセリングしても違法でも何でもありません。ただし次の3つの理由でお勧めできません。
動画で知りたい方はこちら
1 資格がないと信頼されにくい
相談者から見ると独学でやっている人は、何か特別な実績がない限り怪しく見えるのが普通です。どこかで学び資格を持っているカウンセラーと、そうでないカウンセラーがいれば、普通の人は資格がある方を選びます。
独学で心理カウンセラーになるということは、まず信頼されにくいというデメリットがあります。
2 スキルが身に付かない
カウンセリングは、相手の方を尊重しながら心の問題解決をサポートする会話です。
話の聴き方や、なぜその出来事がその人にとって悩みとなるのかを掴むための分析の仕方、様々な心理療法を使った問題解決方法など、系統だったスキルとして確立されています。
特に人の心に触れる仕事ですので、これを独学で、ペーパーの学習だけで掴むというのは無理があります。
また、心の問題解決に至るまでは、複数回のカウンセリングになるケースが多いです。初回時に「もう少し通えば何とかなるかも」とクライアントに感じてもらうためには、スキルが欠かせません。
たまにTVで有名人が一般人の悩みを聴き、アドバイスしている番組がありますが、あれはカウンセラーではなく、アドバイザーといえます。影響力がある人だからこそ可能です。
関連:カウンセリングとアドバイスの違い3つ
3 責任が取れない
カウンセリングは人の心を扱う仕事です。深い悩みや過去の辛い体験を聴くということは、話す人にとってはその時の辛い気持ち、苦しい気持ちを思い起こすことでもあります。そのケアが適切に出来ないと、話すことによりかえって状態が悪くなったり、感情が強く不安定になることがあります。自分で生涯を閉じるという最悪の事態にもつながりかねません。
まとめ
セルフメンタルケアが目的であれば独学での心理カウンセラー資格取得も有りですが、そもそもその目的であれば、資格はあまり大きな意味を持たないと思います。
プロの心理カウンセラーとして活動するのが目的であれば
- 資格がないと信頼されにくい
- スキルが身に付かない
- 責任が取れない
理由からオススメできません。
そもそもまったくの独学で心理カウンセラーとして活動している人は、見たことも聞いたこともありません。先人が系統立ててくれている心理学を学ぶ方が、よほど効率的です。
プロを目指されるのであれば、独学ではなくスクールへの通学をお勧めします。こちらは実際のカウンセリングの様子を見れたり、トレーニングではプロからアドバイスももらえます。