人間関係・対人支援

カウンセリングのやり方|初心者向けにわかりやすくプロが解説

著者とカウンセリングルーム写真

カウンセリングルームでの著者

心理カウンセリングのやり方は、基本的に次の流れで行います。

  1. 傾聴技法で話を聞き、状況を整理する
  2. 感情を明確にする
  3. 思考パターン、価値観を整理する
  4. 理想を明確にし、そのために出来ることを共に考える
    (必要な心理療法、情報提供、アドバイスを行う)

もちろんケースバイケースで、カウンセラーによってもやり方は変わります。話を聞くだけで終わる時もありますし、特定の技法(心理療法)のみ使うカウンセラーもいれば、ケースに合わせて様々な心理療法を使い分けるカウンセラーもいます。この記事では、主に

  • 家族や友人の悩みにどう接すればいいかわからない
  • カウンセリングに興味があり、やり方・流れを知りたい
  • 人の話をうまく聞けるようになりたい

という方に向けて、できるだけ専門用語を使わずに心理カウンセリングのやり方を解説します。

この記事のカウンセリング技法について

マイクロカウンセリングというカウンセリングの基本モデルで、アレン・E・アイビイ(米)が提唱した技法を、私自身のカウンセラー経験を交えつつわかりやすくお伝えします。

参考文献:マイクロカウンセリング

動画で知りたい方はこちら

1 傾聴技法で話を聞き、状況を整理する

いわゆる「話を聴く」段階です。心理カウンセラーは傾聴技法を使って聴きます。傾聴のポイントをシンプルにまとめます。

  • この段階では情報提供・アドバイスしない
  • 良い悪い、正しい間違っているといった評価をしない
  • 否定せずに受け止めながら聞く

詳細:傾聴とは|意味と使い方をわかりやすく動画付きでプロが解説

特に悩みを抱えている時は、辛さや苦しさにエネルギーを取られるため、自分自身を客観視しにくいです。傾聴の聞き方は心の鏡役になることができ、聴くだけで相談者自身が自分の方向性を見つけられるケースもあります。

傾聴する主な目的は次の2つです

  • 相手への理解を深めること
  • 絶対的な信頼関係(ラポール)を築くこと

ラポールがあると、話しやすい浅めの悩みだけでなく、深い悩みを打ち明けてくれたり、この後にカウンセラーからの情報提供やアドバイスを受け取ってくれるメリットがあります。
詳細:ラポールとは|1分でわかるその意味と目的、築く方法

質問のポイント

傾聴技法では受け身で聴くだけでなく、こちらから質問もします。質問のポイント・方向性は次の2点です。

  • 状況、事実関係を整理する
  • その方が辛いこと苦しいことを明確にする

まずは状況、事実関係を整理することで、具体的に何がつらいのかを紐解いていくきっかけになります。
関連:質問技法とは|傾聴・カウンセリングでの質問の仕方

つらい点を詳しく聴く理由

普段の会話であれば、ここはあえて避けます。聞いてもその後の人間関係に影響が出たり、話す心の準備が無いと、心に土足で踏み上がる感じになるためです。

心理カウンセリングで辛いこと・苦しいことを聴く理由は、話してもらうことで次の効果が得られるためです。

  • 気持ちが楽になるカタルシス効果(感情の浄化作用)が得られる
  • 辛い状況が明確になると、具体的に何をどうすれば楽になるかも明確になる

例えば職場の人間関係で苦しい場合、

  • 特に誰との関わりが苦しいのか?
  • その方から具体的にどのように言われたり、されているのか?
  • そうされた時にどう対応しているのか?
    (なんと言って返しているのか?)

などがわかると、共感も深くできますし、具体的にどうすれば楽になるかも明確になります。

結果として辛い点が明確になると、相談者にとって納得感が強いゴールが作れます。ちなみカウンセリングのゴールは、専門用語では統合と呼ばれています。
関連:カウンセリングのゴール、統合とは

状況を明確にしながら辛い点を聞いていると、感情の部分も徐々に浮き上がってきます。

2 感情を明確にする

カウンセリングにおいて感情の扱いは非常に重要です。感情が明確になる=自己理解が深まるともいえ、それだけで楽になることも多いです。例として次のそれぞれの場合では、心の状態が違います。

感情が明確ではない状態

なんとなくしんどい・心がモヤモヤする

感情が明確な状態

無意識に自分にダメだしする傾向があり、苦しい

感情が明確な方が、なぜそうなるのか対策を考えることができ、希望が持てます。

ただし辛いこと・苦しいことは、辛さが強ければ強いほど言いにくいです。そのため共感のスキルで相手の気持ちを汲み取りながらお伺いします。
関連:共感の言葉の使い方 |相手の気持ちを汲む方法

共感だけで自己肯定感が高まる

特に怒りやイラ立ち、恨みなどのマイナスの感情は、仕事や日常生活で出すとうまく回らないことも多いです。そのため、その感情を持っている自分はダメだと無意識に思いやすいです。そんな時にカウンセラーから

  • そう言われると怒りがこみ上げてきますよね。
  • 憎い気持ちが湧き上がってきますよね。

などと共感されると、そう感じていてもいいんだと思え、それだけでその状態の自分を許容でき、結果として自己肯定感も高まります。

感情を抑え込むデメリット

マイナスの感情は感じると非常に嫌なものですが、抑えると無くなるものではなく、徐々に心に積み重なっていきます。そうなると

  • 溜め込んだ怒りが爆発してブチ切れ、人間関係が破綻する
  • 身体が動かなくなるまで我慢し続け、仕事ができなくなる
  • 自律神経失調症、うつに繋がる

などのデメリットがあります。ただし当人も意識してやっているわけではなく、無意識に感じないようにしています

つまり当人も無意識に行っている思考パターン(価値観)が、辛さや問題の本質に大きく関わっています。価値観は相談者自身が発言されるケースもありますが、カウンセラーが紐解くケースの方が多いです。

3 思考パターン、価値観を整理する

価値観とは、

~であるべき。~でなければならない。

という思いです。例えば感じてはいけないという思いが無意識にあると、怒りなどを無意識に我慢し続け、心と体に弊害が出ます。

こういった無意識に根付いている価値観で、自分を苦しめるものを人生脚本という心理学では、禁止令と呼んでいます。カウンセリングで扱う価値観で多いものを以下のリンクに掲載してますので、ご参照下さい。
詳細:人生脚本とは|効率的に書き換える方法を心理学を通して解説

ネックの価値観は、相談者自身がそう思っていると気付いていないことが100%です。そのためそれに気付くだけで緩める大きなきっかけになります。

ネックとなっている価値観を明確にした後は、問題解決のために必要な心理療法を提供します。ここからはケース・カウンセラーによって方法は異なります。

近年はエビデンスがあるということで、認知行動療法が人気です。私自身はTA交流分析を活用し、以下の流れをお伺いすることが多いです。

ネックの価値観が根付いた原因を探る

自分を苦しめているとはいえ、ネックの価値観は「心のクセ」のようなもので、ある意味その人自身の生き方です。

ネックの価値観が根付く理由の多くは、その方の育ってきた家庭環境が影響しています。

というのも、幼少期は誰しも無力で、辛い環境でもそこから離れることはできません。親の愛情を得るために無意識に我慢したり、生き延びるために何とかそこに適応しようとします。

事例

例えば父親が母親に対して常にDVをしている環境で育つと、子が父に対して怒りや憎しみの感情が出るのが自然です。ただしそれをまともに感じてまともに出していると、そこで生活できなくなります。

無意識にそういった感情を抑え込むことで、その場を何とか生き延びようとします。(「感じてはいけない」という価値観が根付く)

その思いは無意識に根付いているため、成長して家を出てもその生き方を続けてしまい、マイナスの感情が心に積み重なって、過呼吸や動機が早くなるなどの弊害が出ることもあります。

自分を苦しめる価値観が根付いた原因がわかるだけでも大きい

ネックの価値観が根付いた原因を探る(育ってきた家庭環境を聞く)のは、その状態の自分自身を許容できることにも繋がります。状況や自分を変えられなくても、自分に対する見方が変わるだけで楽になります。特にそれまで無意識に続けてきた生き方(価値観)は、たとえ気付いてもすぐには変えられません。

育ってきた家庭環境については、相談者の方が自発的に発言されることも多いですが、こちらからお伺いするケースもあります。

4 理想を明確にし、そのために出来ることを共に考える

いわゆる「どうなりたいか?」の部分です。ここについては行わないケースもあります。今までがマイナスの状態から0に戻す(悩みや苦しみが強い状態から、ニュートラルな状態に戻す)イメージで、ここからは0からプラスに移行させるイメージです。

会話の流れ、順番が大切で、カウンセリングの始めにいきなりここを聞くと、具体的なイメージは出てきません。悩みや辛い感情にエネルギーを取られ、ここを考えられないためです。

理想を実現するための方法は、出来るだけ多く考えられると希望も大きくなります。ケースによっては実行する期日も明確にすると、問題解決の行動につながりやすいです。

まとめ|カウンセリングはスキル

カウンセリングのやり方をまとめます。

  1. 傾聴技法で話を聞き、状況を整理する
  2. 感情を明確にし、ネックの価値観を分析する
  3. 理想を明確にし、そのために出来ることを共に考える
    (必要な心理療法、情報提供、アドバイスを行う)

傾聴、カウンセリングは知識も大切ですが、スキルのため習得には実践トレーニング(カウンセリングの聞き方を実際に練習でやってみる)が欠かせません。

世界中で使われているベーシックな心理学を学び、セルフケアに役立てたい方は、セルフケアカウンセラー通信講座をご活用下さい。

傾聴スキルを習得したい方は、私自身傾聴オンライントレーニングを実施しています。お役立て頂ければ幸いです。

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  • この記事を書いた人

井上 隆裕

2004年よりプロの心理カウンセラーとして活動。2013年に独立開業。ジョイカウンセリングスクール代表。 運営者情報

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